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-149話ー ローソニア 奴隷商


モモタロウはローソン家の領都ローソニアに屋敷を構えると、


前領主と、現領主の家族がやって来て今日食事会が催された。


此の世界ではまず手に入らないであろう食材を贅沢に使って、



現代日本風にアレンジした食事は侯爵家の人々を魅了した。


更に此の世界の風呂は、


人が一人入れる位のバスタブにお湯を入れて入るのが普通なのだが、



モモタロウの屋敷の風呂は、


正に日本の温泉旅館の様に作られて居た。


冬が寒い此の地方では殆ど外出はせずに家に居るのが普通で有り、


人々にとっては退屈な季節でも有るのだ。



今年15才に成って成人した4女のキャンベラは、


現段階では夫と成る貴族を吟味中で、


婚約者はまだ決まっておらず、


退屈な日々を過ごして居たが、


今日頭に雷に打たれたような衝撃を受けたのだ。



とても広い温泉施設、ほっぺたが落ちる様な美味しい食事、


見た事も無い心迄、蕩けて仕舞いそうに成った甘いデザート、


何よりも此の方は暗黒大陸に冒険に行くのだと言う、


私も行きたい!



私も此の方に付いて冒険の旅がしたい!


退屈な毎日から抜け出したいと、


此れ迄一度たりとも自分の思いを表には出さなかった。


其れが貴族の娘である自分の義務なのだと思って居た。



キャンベラは此の時生まれて初めて


自分の思いを告げたのであった。


其れは、初めての事であり、


噛みまくって余り言葉に成って居ないかも知れないが、



「キャンベラ、無理を言う物では有りませんよ、


モモタロウ様の元には既にシドニーが居りますのよ」



「お母様、其れは重々承知致して居ります。


モモタロウ様は一世の英傑で居られます。


ローソン家との絆を深くする為にも、


是非私くしをお側に置いて頂きたいですわ」



「キャンベラ済まない、実はソフィアが一目惚れでな、


実は泣いて頼まれて居るんだよ、


今回の訪問も参加したいと言って居ったのだが、


まだ無理なのでな」



「そ、そんな・・・・・・・・」



「モモタロウ殿は姿子にも優れ、


あの娘にとっては命の恩人だ。


白馬の王子様に見えても不思議ではあるまい。


お前も言った様に絆を深めるのも


良いかもしれない・・・・が」



「何を悩んで居るのか、気前良く二人共やればよかろう」



「父上~犬の子供では無いのですよ~」



「儂など初めて会った時に行き遅れの娘と、


出戻りの娘をセットであげると言ったぞ」



「皆40前後では御座らんか」



「ふむ、そう言ったら流石に断られたわい」



「当たり前です」



『いや、俺もそうですが』



「お父様、私くしも~」



「ノーザン、便乗するんじゃ有りません」



「「でしたら私くし達も~」」



「ウルルとアデレードは嫁ぎ先が決まって居るだろう」



「「ぶ~ぶ~」」



「え~いっ!ぶ~ぶ~言うんじゃ有りません。」



「大変じゃのうアルギニン、しかしモモの所には嫁げんぞ」



「はい?」



「妾もモモを婿にと考えて居ったのじゃがな~


モモはイ〇ポじゃ!」



「侯爵家が~~ん、何ですと~」侯爵家



「皇帝は世継ぎを残さねばならんのでな、残念じゃ」



モモタロウは両手で顔を押さえて悶絶し乍ら



『御免なさい~イ〇ポで御免なさい~』



「侯爵家・・・・・・・・」侯爵家



「モモちゃん大丈夫ですわ!


私くしの黄金の右手でちゃんと処理して差し上げますわ」



「エレンお姉様、私くしもお手伝い致しますわ。


其れはもう、胸やお口の恋人ラッテですわ」



「すんません~そう言う事なんで本当すんません~」



「子が成せないのであれば仕方有りませんなっ<ほっ>」



「さ~て今日のデザートは何かな~(棒読み)」



「はいご主人様、今夜の食後のデザートは」



「皆デザートは?」皆



「ドカ盛りチョコレートパフェで御座います。


此の国には無いチョコレートに合う果物を贅沢にあしらった、


女性の為のスィーツと言って良いでしょう、



チョコレートはご主人様の国のベルギーと言う地方の


最高級品で御座います。


生クリームは北海道乳100パーセントの


贅沢な素材を使用して居ります。


此の帝国ではご主人様にしか入手出来ない


最高の素材と成って居ります。



紅茶はセイロン地方の最高級の物を使って居ります。


さあ、心行く迄ご堪能下さい」



「皆おお~!何か分からないけれど凄い!」皆



チョコレートパフェを配ると、全員無言で食べ、


食器の成る音だけが響いて居た。


真っ先に食べ終わった女帝様が、



「美味しかったのじゃ!妾は満足じゃ~


モモ次はお酒じゃ!


妾はすくりゅうーどらいばあが飲みたいのじゃ~」



「はいはい、ちっぱい師匠お口を拭いて、


口の周りがチョコだらけですよ、


スクリュードライバーですね、カンシンある~?」



「はい、御座います。冷えた物を持って参りますね」



と、カンシンは良く冷えた缶入りカクテルを持って来る。


何で缶?と思うかも知れないが、此の世界には缶は無いのだ。


アルミ缶一つが金の器より貴重だったりする。


そしてデザートを食べ終わると、飲み会が始まる訳だ。



「モモタロウ殿、此の酒の種類が多いのには驚きましたぞ、


しかも美味い。私にも手に入らない物でしょうか?」



「う~ん、其れはちょっと無理かな?」



「何処で手に入れられて居るのですか?」



「はい、国を出る前に


魔法の袋に大量に買い置きして有ります。


ですので売るのはちょっと御勘弁を、


お土産程度ですかね~


自分の分が無くなっても困りますのでね~」



「そうでしょうな~


無くなって仕舞っては元もこうも無いですからな、


其れでモモタロウ殿の国は何方に?行けるのであれば、


是非、交易をしたい物ですな~」



「其れは企業秘密です。飛空艇であってもたどり着けませんし、


国自体他国とかかわりを持ちたがらないのです」



「ほう、正に伝説の国、桃源郷と言う訳ですかな?」



「そんな感じですね~『異世界とは言えないしね~』」



皆、其々に歓談し乍ら飲み会は皆が酔い潰れる迄行われた。


翌朝、朝食を食べた後に侯爵一家はモモタロウと、エレン、


護衛にカンウと、チョウヒを連れて城に向かった。


城に着くと早速敷地内の空いている場所に案内して貰い、



『リリ~どんな感じかな~』



『そうっスね~地下430メートル当たりに有るっスね~』



『じゃあ、ここ等で良い?』



『オーケーっス』



「アルギニン様、


此の地下430メートル当たりに温泉が来て居ます。


今から温泉を掘りますが、見られても困りますので」



「ふむ、企業秘密と言うやつですかな?」



「はい、驚かられても困りますし」



「分かりました。


作業を是非拝見したいと思って居りましたが、


仕方無いでしょう。


では私は執務に向かいますので、宜しくお願いします」



「はい、作業が終わりましたら呼びに参りますので」



侯爵達は残念そうに城に帰って行った。


モモタロウは辺りに人が居無いのを確認すると、



「リリー準備は如何?」



『オッケーっス~温泉旅館の建設から温泉の掘削、導入、


外構、上下水道の施設、


宮殿、城への温泉の引き込み、暖房の設置、


厨房の温泉水の引き込み迄、全て準備完了っス』



「じゃあ行っくよ~


<セイクリッド、ガーデンジャパニーズホテル!>」



すると、雪の積もった草地が輝き出し


雪や草が消えて地面がうねりだして、


建物が生えて来た。


輝きは徐々に広がり城や宮殿も輝き出した。


やがて輝きが収まると、


地上5階、地下2階の巨大な建物が建って居た。



温泉旅館の完成だ。さっきまで雪の積もった草地だった所に、


石畳の回廊が敷かれ、宮殿から温泉旅館の玄関まで続いて居た。


回廊には瓦屋根が取り付けられて


雪や雨の中でも濡れずに行く事が出来る。



モモタロウ達は全館を見回り、


不具合が無い事を確かめると、


城に行き、侯爵に報告したのだった。



「アルギニン様、温泉旅館が完成しました。


城と宮殿の暖房の設置も一緒に完了しました」



「さっきの光は魔法の光ですか?」



「はい、結構大きな土魔法を使いましたので、


もし驚かれたのであれば謝罪します」



「いや、驚いたのは間違いありませんが、


此方がお願いした事ですし謝罪は不要です。


では早速見に行きましょう」



モモタロウはアルギニン達を連れて、温泉旅館に行った。



「此れは凄い。別れてから余り時間も経って居無いのに、


中を見ても良いですか?」



「勿論、是非見て下さい」



玄関の大きな引き戸を開けて中に入ると、


真新しい木の香りが漂ってくる。


玄関に並べられたスリッパに履き替えて、


1階から説明し乍ら、


上の階へと進んで行き。


最後に地下の貯蔵スペースを案内した。



「此れは良い!木の温かみと、


木の香りが何とも言えませんな。


其れに風呂が素晴らしい。


モモタロウ殿の屋敷と甲乙付け難いですな、


露天風呂の庭園も最高です。


備品に寝具、家具調度品まで付けて下さるとは、


今日からでも住めるのでは無いのですか?


地下に有るあの樽は?」



「はい、建築祝いの竜泉酒とワインですね、


其れと、備品に付きましては


我が家と同じ物を揃えて有ります。


厨房の設備と風呂と屋敷の


設備の取り扱い説明をしたいので、


管理される方を呼んで頂けませんか?」



「そうですな、ローマン直ぐに呼んで参れ」



「はっ!承知致しました」



此の後、モモタロウは数時間に渡って


下働きの人に取り扱い説明をした。



「では、アルギニン様


そろそろ時間も押して参りましたので、


私達も失礼します」



「モモタロウ殿、


是非今夜は泊まって行って下され」



「お申し出は嬉しいのですが、


家族が口を開けて待って居りますので、


今日の所は此れで失礼します。


後はご家族で楽しんで下さい」



「そうですか、


近い内に招待させて頂くとしましょう」



モモタロウ達は城を後にすると、屋敷に戻るのであった。



「ふぅい~やっと終わったよ~」



「お疲れ様モモちゃん」



「うん、偉い人の相手をするのは疲れるよね~」



「そうですわね、でも立派にお相手出来て居りましてよ、


もう、何処に出しても恥ずかしく在りませんわ」



「有難うエレン、そう言って貰えると自信が付くよ」



「そうですわね」



屋敷に帰るととっぷりと日が暮れて居た。



「ご主人様お帰りなさいませ」



「只今カンシン、


アルギニンさん達とても喜んで居たよ、ご苦労様」



「執事にとって当然の事をした迄でで御座います。


でも褒めて頂いて嬉しいです。


出来れば皆も褒めて頂ければ、


更に仕事に励む事で御座いましょう」



「そうだね、皆も頑張ってくれたし、労わないとだね」



「はいご主人様、食事に致しますか?」



「皆は風呂は?」



「はい、済ませて居ります」



「じゃあ、ご飯にしようか」



「賛成ですわ」



翌日、暇が出来たモモタロウは、



「エレン今日暇?」



「何ですのデートのお誘い?


私くしモモちゃんの為なら何時でも時間を空けますわ」



「いや、俺今日一日時間が空いたから、


奴隷商に行こうかと思ってさ~」



「そう言えばそうですわね、


まだ馬車が通れるうちに見に行った方が良いですわね」



「だろ~御屋形様~何処か良い所知らないですか~?」



「おお、知って居るぞ、地図を書こう」



「お願いします」



ゴンザレス爺さんに地図を書いて貰うと、



「モモタロウ殿、此れを持って行きなさい」



「此れは侯爵家のメダル?」



「そうじゃ、此れを見せれば変な事は出来んからな。


ローソン家は奴隷は買わないのじゃが、


モモタロウ殿にも利益が有るじゃろうて」



「じゃ遠慮なく、


カンウとチョウヒ、馬車2台出して呉れる~」



「「ははっ御供致します」」



「頼むね~」



モモタロウ達は箱馬車に乗ると、


貴族街の北門を通って、北街に向かった。


外壁近くの新街に有る


領都で一番大きな奴隷商に向かったのである。



「領都は広いね~朝一で出て来たのにもう昼近くだよ」



「そうですわね~」



エレンは御者用の窓を開けると、



「カンウさん、後どれ位掛かりそうですの?」



「はいエレン様、外壁が近く成って参りましたので、


もう着くかと思います」



「そうですか、では宜しくお願い致しますわ」



「承知致しました」



奴隷商に着くと、ドアのノッカーを叩き出て来た店番に、



「奴隷を見に来たのですが」



ローソン家のメダルを見せると、



「お客さんですかい、暫くお待ちを」



と、店番は2階へ上がって行った。


すると、2階から身だしなみの整った女性が現れて、



「お待たせして申し訳有りません。


私は此の店の店主のミリアと申します。


お話を伺いますので2階へどうぞ」



モモタロウとエレンは2階に案内されると、


ソファーに座る様に促されて座った。



「今日はどの様な奴隷をお探しで御座いましょうか?」



「そうですわね、私くし達屋敷を購入いたしましたの、


普段は帝都で暮らして居るので、


留守を任せられる下働きを探して居ますのよ」



「どの程度の大きさのお屋敷で御座いましょうか?」



「地上5階地下2階で、敷地が森林公園位有りますわ」



「ふむ、最近貴族街に出来た


変わった建物のお屋敷ですわね」



「あらご存じですの?」



「はい、お化け屋敷が一夜で


豪華な宮殿に成ったと噂に成って居ますわ。


興味を持ったので、


私も一度外から拝見して居りましてよ、


あの広さですと、下働きを10人と、


警備を3人と言う所でしょうか」



「後、屋敷の管理と、


下働きの人を管理出来る者が1人欲しいですね」



「あら、坊やがご主人様なのかしら?」



「私達に上下の関係は有りませんわ、


二人で冒険者パーティーを組んで居ますのよ」



「此のお姉さんの心をくすぐる坊やが冒険者ですか?」



「心をくすぐるかどうかは分かりませんが、


俺、タンクとヒーラーをやって居ます」



「そうですね、


坊やが剣を持ってモンスターと戦うと言うのは、


ちょっと想像が出来ませんものね」



「ちょいと貴女、


此れでも私くし達ドラゴンスレイヤーですのよ」



「まあ凄い!ワイバーンを討伐したのですね!」



「前に討伐は致しましたが、先日アースドラゴンを討伐して、


真ドラゴンスレイヤーの称号を頂きましたわ」



「!!貴方達金の冒険者ですか?」



「いいえ、銀の冒険者ですの、


余計な仕事が増えるのは嫌だったのですけれど、


護衛の仕事をしたかったものですから仕方なしに」



「でも、金の冒険者であれば貴族待遇を受けられますよ


真ドラゴンスレイヤーであれば昇格出来るのでは?」



「金だと目立つし、


あっ、俺達魔法学院の生徒ですから貴族待遇ですよ」



「お二人共魔法使いですか?羨ましいですわ」



「私くし魔法剣士ですの」



「俺はヒーラーですね」



「私も元金の冒険者ですのよ、


でも魔法適性が無くて、苦労した物ですわ、


たまたま骨竜を発見して財を築く事に成功したので、


引退して今は奴隷商をして居りますの、


興味本位で申し訳無いのですが


ギルドカードを見せて頂いても良いかしら」



「ええ良いですよ」



ミリアさんは銀のギルドカードを見ると、



「凄いですね、アースドラゴンにワイバーン、


グリフォンも討伐して居るのですね。


久し振りに本物の冒険者にお会い出来ましたわ」



エレンは出されたお茶を飲むと、



「やっぱり渋いですわね」



「えっ?お茶とは渋い物ですよ」



エレンはストレージから紅茶セットを出すと、


紅茶を入れて、



「ミリアさんと言ったかしら、


お茶とは此れの事を言うんですのよ。


モモちゃんお茶うけ」



「あ、ああはい、チョコバナナで良い?」



「はい、宜しくてよ」



「あら、良い香り甘くて上品な味ね、<ぱくっ>


何此れ凄く美味しいわ!凄い」



「そうでしょう~モモちゃんのすいーつは最高ですのよ」



と、奴隷商で女主人とのお茶会が始まった。

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