-148話ー 夕食会
昼食後、モモタロウ達3人は、温泉に入り乍ら、
「モモタロウ殿、此の露天風呂と言うのは何と最早、
此の世の物とは思えぬ程に気持ちが良いですな、
雪景色を見ながら飲む酒、至福で御座いますぞ!<くぴっ>」
「うむ、此の岩風呂が良い!
儂もこの景色に溶け込んでいく様じゃわい。
<くぴっ>」
「そうですね~四季の季節を楽しみ乍ら、
水墨画の様な景色に自分も溶け込んで、
詫び寂を感じ乍ら飲む酒、
心落ち着くひと時ですね~<くぴっ>」
「そうですな~<くぴっ>」
「良いのう~<くぴっ>」
「癒されます~ね~<くぴっ>」
「「う~ん~<くぴっ>」」
「「「ほっ」」」
「所でモモタロウ殿<くぴっ>」
「はい~<くぴっ>」
「此の温泉旅館ですが報告によると、
一日で建てたと聞いて居るのですが?<くぴっ>」
「はい、前もって作って有った物ですから<くぴっ>」
「凄いのう<くぴっ>」
「物作りをして、
作った物を魔法の袋に入れて置くのが
趣味ですから<くぴっ>」
「物凄い収納量じゃのう、儂も一つ所有して居るが、
船を一隻入れるのが精一杯じゃ<くぴっ>」
「父上、女帝様の魔法の袋もほぼ無限に収納出来て、
中の時間も止まって居ると言う
最上級の魔法の袋を所有して居ります<くぴっ>」
「羨ましい限りじゃわい、
其れでじゃモモタロウ殿<くぴっ>」
「もし宜しければ、
我が城の敷地にも建てる事は出来ませぬか?
<くぴっ>」
「良いですよ~まだ在庫も有る事ですし<くぴっ>」
「誠で御座いますか?其れは有り難い。
是非建てて下され<くぴっ>」
「うむ、モモタロウ殿が帝都に帰った後も
温泉を楽しめるのか、
其れは有り難いのう<くぴっ>」
「父上、モモタロウ殿に建てて貰ったら、
冬の離宮に致しましょうぞ<くぴっ>」
「アルギニン其れは良い考えじゃ<くぴっ>」
「其れでは、明日アルギニン閣下が城に帰られたら、
早速お伺いしましょう<くぴっ>」
「おお~其れは有り難い。宜しくお願い申す<くぴっ>」
「ではアルギニンと共にモモタロウ殿も、
城に同行されては如何ですかな?<くぴっ>」
「父上、其れは良い考えですな<くぴっ>」
「分かりました。ではアルギニン様について参ります<くぴっ>」
「宜しくお願い申す<くぴっ>」
「其れでモモタロウ殿、
費用なのだが、
どれ位出せば良いのかまるで見当が付かんのだが、
如何であろうか?<くぴっ>」
「さあ?俺にも分かりませんね、そうですね~
住宅ギルドに見積もって貰っては如何ですか?<くぴっ>」
「うむ、其れは良い考えですな、第3者であれば、
中立の立場で見積もれると言う物ですな<くぴっ>」
「じゃあ、そう言う事で<くぴっ>」
「うむ、では早速城に帰ったら
住宅ギルドに依頼しましょう。<くぴっ>」
「うむ、極楽じゃわい。所でアルギニンよ<くぴっ>」
「はい、父上何で御座いましょう?<くぴっ>」
「天然痘の話じゃが、
昨日女帝陛下を交えての話し合いをしたのじゃが、
ワクチン成る物の研究と、
生産を我が領内で極秘で行う事と成った。
費用は帝室とローソン家で折半じゃ。
ワクチンの生産が始まれば、
得られる利益も帝室と折半と成る。
そして、研究員じゃが
帝室から10名派遣される事と成った。
ローソン家からも10名派遣する。
何方も教会の研究員を招集致す予定じゃ、
アルギニンよ、其の研究員の選抜を頼むぞ<くぴっ>」
「承知致しました。で父上、上手く行きそうなのですか?
<くぴっ>」
「生産方法は既に分かって居る。後は、
生産したワクチンを我が領内で試して
問題が無いようであれば、
世界に向けて、発信する予定じゃ。
そして、ワクチンの効き目は
5年から10年の間続くそうである。
後もう一つモモタロウ殿より
黒死病に効く抗生物質成る薬を提供して頂く。
何でも、黒死病と結核に効くそうだが、
梅毒や他の病気に効くかは分からないそうじゃ。
で、此の薬は魔法薬に出来ないか研究して貰う。
更にアオカビからも抗生物質成る物が取れるそうなのだが、
抽出方法が分からぬらしい、其の抽出方法も研究して貰う。
医療器材に薬、研究機材を全てモモタロウ殿が提供して下さる。
研究が成功すれば伝染病による死亡率が激減し、
人口が一気に増えるであろう<くぴっ>」
「何と!全て患ってしまえば命を落とす死病ばかり、
成功すれば歴史上の大偉業と成りましょうぞ!<くぴっ>」
「うむ、我がローソン家が
歴史の中で名を残す事となろう<くぴっ>」
「はい父上!国家を交えた一大事業と成りましょうぞ<くぴっ>」
「其の通りじゃ、先ずはワクチンの開発じゃ、
馬痘に掛かって居る馬を見付けて、其の膿を牛に移して、
牛痘とし、更に牛に移して、
弱毒化した物からワクチンを生成する。
馬痘に掛かった馬を探すのじゃ、
人と同じ様な症状なのだそうだ。
更に馬痘は強毒性だそうだから
研究者に移らぬ様に細心の注意払うのじゃぞ、
研究施設の場所と建設をせよ<くぴっ>」
「はい父上、領都から離れた場所が宜しかろう。
早速手配致しましょう<くぴっ>」
『う~ん、一杯やり乍ら話す内容じゃ無いですよね~』
『そうっスね~』
「「ではモモタロウ殿、研究者の研修と、
薬と機材の手配をお願い致す<くぴっ>」」
「はい、承知しました<くぴっ>」
「う~む、酔っぱらって来たわい。
さうなに行って汗でも流すかの~<くぴっ>」
「「は~いっ<くぴっ>」」
モモタロウ達が風呂から上がり、1階で休憩して居る頃、
1階のゲームコーナーでは女性達が卓球や、テーブルゲームで、
白熱した戦いが繰り広げられていた。
<ピンポンパ~ン
只今から3時間女性の入浴時間と成りましたので、
女性の皆さんは入浴をお楽しみくださいませ。
尚ご夕食は
午後7時からと成って居ります。ピンポンパ~ン>
と言う館内放送が流れて来た。
「女性は~い」女性
「女の人の環境順応力ハンパね~」
「モモタロウ殿、3時間とは?午後7時と言うのは、
何の事ですかな?」
「はい、うちは1日を
26時間に区切って行動して居るのですよ、
午前と午後13時間で区切って居るのです。
俺達は団体行動をして居るので、
時間を区切って行動する方が、
効率が良くなりますのでね」
「如何やって時間を
把握して居るのですかな?腹時計?」
「壁の上に時計が有るでしょう」
「あの壁に掛かって居る四角い箱のような物ですか?」
「はい、時間が出て居るでしょう?」
「そうですね」
「あれが現在の時間です」
「ほうほう成程、便利ですな、私も欲しいですな」
「はい、良いですよ、帰りにビールと一緒に
10台程入れて置きましょう」
「誠で御座いますか?其れは有り難い」
「序でに今年と、来年のカレンダーも付けて置きましょう」
「うん?カレンダーとな?」
「はい、一年を13ヵ月に区切って有る表ですね、
詳しくは城に戻られてから見ると良いでしょう」
「ふむ、そうさせて頂きましょう。しかし、
モモタロウ殿には驚かされるばかりですな、
流石大賢者様の弟子ですな」
「まあ、時間と日にちを区切る事で、
色々と効率が上がりますからね」
「ふむ、そうですな
一年の始まりと終わりは教会が決めて居ますが、
後は、季節ごとに区切って居るだけです。
1日等は朝、昼、晩、夜中、と明け方位で大雑把ですからな」
「モモタロウ殿、おなご達が風呂に行きました故、
酒を抜くのに卓球成る物を致しましょうか?」
「其れは良いですね~負けませんよ~」
「ふっ、ふっ、ふっ、ふっ・・・・
鉄壁のゴンザレスと呼ばれた儂の力をお見せ致そう」
「何の、卓球部モモちゃんの実力に驚く事に成りますよ~」
3人はゲームコーナーに消えて行った。
午後7時に成ると
全員が2階の宴会場に集まって夕食会と成った。
「はい、皆さんお集まり頂けましたね、
では夕食会を始めさせて頂きます。
先ず前菜はコンソメスープと、
エンペラーサーモンのカルパッチョです。
ドサン湖の至宝エンペラーサーモンをご堪能下さいませ」
皆声も出さずに黙々と食べて居る。
「美味~いっ!お代わりなのじゃ~」
「ちっぱい師匠、
最初からそんなに飛ばしたら食べ切らなく成りますよ」
「ちっぱい言うな~其れは大丈夫なのじゃ~」
「師匠は魚が好きなのですね」
「違うぞ~モモ、魚も好きなのじゃ~
パパとママも魚が好きじゃからの、
此方に来たら頼むのじゃ~」
「はい、心得ました」
「うむ、だから妾はモモが好きなのじゃ~
モモ~此の間話した
妾の飛空艇で暗黒大陸に冒険に行く話は如何じゃ?
考えてくれたか~?」
「そうですね~行きたいけど俺、学校が有るしね、
今回は無理かな~」
「バカ者~妾とて学校が有るのじゃ、
お主と同級生なのじゃぞ、
行くのは酷暑期に当たる7,8,9月の3ヵ月じゃ、
此の期間は学院も夏季休暇に入る故丁度良いのじゃ」
「師匠は何で俺を誘う訳?」
「其れはのう、お主の結界シールドに惚れたからじゃ。
妾の最大攻撃魔法、
ファイヤーストームをぶっ放しても弾き返すじゃろうからな、
其れに弟子と一緒に冒険なんて心躍るじゃろう?」
「そんなもんかね~」
「そんなもんじゃとも、そして、儲かるのじゃ!
暗黒大陸は食料不足が常態化して居る故な」
「そうなの?」
「うむ、暗黒大陸は常に濃い魔素に包まれて居る故、
中々草木が育たぬ荒れ地ばかりじゃ、奴らの食料は魔物じゃ、
魔素が濃い故、直ぐに魔物が発生しよる。
こんな厳しい条件じゃから魔族は強いのじゃ、
時々暗黒大陸から飛空艇が貿易に来るのは食料目当てだのう
命懸けの危険を冒して来る訳じゃが、余りに危険なのと、
飛空艇が少ないので此方から行く事は先ず無い。今迄はな、
だが、此れからは違う。妾とモモが居るからのう」
「そんなもんかね~」
「そんなもんじゃ、
アースドラゴンの巨大魔石が2つも手に入ったしのう。
此れで長距離航行が可能と成った。
帝国で、食料と衣料を買い付け、南大陸で香辛料を買い付けて、
疎遠では有るが魔大陸の友好国であるガイア帝国に赴く。
其れはもう、
魔大陸の魔物の素材と魔石がガバガバ手に入る事であろうな」
「何ですと~冒険者ギルドにも一口噛まして下さい」
「ローソン家も一口噛まして欲しい」
「では、私くしも一口」
「で、何を貿易品にするのじゃ?」
「そうですね~食料品は勿論の事、ポーション等の
魔法薬は如何でしょう?」
「うん、其れは良いな、暗黒大陸には草木が育ちにくい事も有り、
まず間違いなく高値で売れるな」
「領地の特産品は鉱石ですので、宝石?鉄鋼?」
「其れはダメじゃな、魔大陸の方が品質が良い」
「モモタロウ殿~何かいい案は無いですか?」
「う~ん、そうですね~
確か此の地方は放牧が多いですよね~
では、チーズと、ヨーグルトと、
羊毛なんて言うのは如何でしょうか?」
「ふむ、保存食に羊毛か何方も良いでは無いか、
流石はモモじゃのう。で、モモとエレンは如何するのじゃ?」
「私くしもちっぱい師匠と同じで買い付けですわ。
でも被らない様にしないと、値段が下がってしまいますわね」
「俺は果物と、野菜、と木材ですかね、後はエレンと同じかな~」
「ほう~木材に野菜と果物かやはり目の付け所が違うの~」
「何処かに開発村を作る予定は無いですかね~」
「ふむ、領都の周りであれば幾ら伐採して貰っても構いませんよ、
森が開ければ勝手に領民が開けた土地を利用するでしょう」
「有難う御座います」
「モモちゃんは良いですわね~」
「エレンも一口噛む?」
「そうですわね、モモちゃんに貰った魔法の袋も有る事ですし、
混ぜて下さいまし」
「そうだね~じゃあ木を何種類かに分けて、伐採するかね~」
「宜しくお願いしますわ」
「アルギニンよ、貿易品の買取と、備蓄の方は頼んだぞ」
「はい父上、モモタロウ殿が帝都に帰る時迄に確保致しましょう」
「お父様、お爺様、交易の方は私くしにお任せ下さいませ。
身命を賭して成功させて見せますわ。」
「うむ、しかし今回は儂も同行しよう。
孫娘一人だけ未知の世界に送った等と言われても叶わんからのう。
宜しいですかなモモタロウ殿」
「勿論構いませんが、領都の方は良いのですか?」
「儂は引退して居るのでな、構わんよ」
「父上、がっちりと胃袋を掴まれて居りますな」
「次にお持ち致しますのは、ミノタウルスのモモ肉のたたきと、
シーサーペントの赤身のユッケで御座います。
非常に珍しく又美味しい素材ですので、
ゆっくりとご賞味ください」
「美味いのう~酒が進むわい」
「皆ウマウマ~」皆
「父上、其の二つの棒は?」
「うむ、箸と言ってな、食べるのにとても便利なのじゃ、
必死で使い方を覚えたわい」
「此れは私も覚えなければ成りませんな。」
「貴方、私くしもっと此処に居たいですわ。」
「済まぬなお前、仕事が有るのでな、
明日には此処を立たねばならぬ。
城の敷地に同じ施設を立てて貰える様に
モモタロウ殿に頼んだ。
其れ迄は我慢してくれ」
「はい、貴方我がままを言って申し訳御座いません。
でも、此の様な食事迄は出来ないのですよね。」
「うむ、余りに違い過ぎるからのう、
モモタロウ殿、如何にか成りませんか?」
「我が家の家族ですので其れは御勘弁ください。・」
「ですよね~」
「モモタロウ殿、
我が家の料理人を幾人か鍛えては頂けませんかのう?」
「ふむ、其れは有りですね、厨房に後3人位なら入りますし、
良いでしょう。お受け致しましょう。」
「本当ですか?有難う御座います。」
「本日のメインディッシュと成ります。
アースドラゴンのさし入りお肉のすき焼きで御座います。
ご主人様の国の生食用の卵、
オード卵に漬けてからお召し上がりください。
お肉は噛む必要が無い位柔らかく、
芳醇な旨みがお口一杯に広がります。
ご主人様の国の
越後ササニシキの御飯も用意致しましたので、
どうぞご堪能下さい」
素焼きで出来た一口コンロの固形燃料に火を点けて、
一人前サイズの材料の盛られた鉄鍋を乗せて行く。
「熱いので、火傷をしない様にお気を付け下さい」
「皆はふ、はふ、・・・・・・・・う、美味い
はふ、はふ、もぐ、もぐ、はふ、はふ、
もぐ、もぐ、はふ、はふ、もぐ、もぐ」皆
引っ繰り返った声で、
「お、おきゃあ様~わちゃくち、
みゃだこんにゃくきみゃってまちえんにょ~
みょみょちゃろうちゃみゃと結婚したいでちゅ~」
『あかん!食事豪華にし過ぎたか?』