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-140話ー ローソン侯爵領と温泉旅館


ドサン湖でのキャンプを終えたモモタロウ達一行は、


10日間の馬車の旅を終えて、


ローソン侯爵領の領都ローソニア郊外の森に


仮家改冬仕様を出して、


一夜を過ごすと翌朝、朝ご飯を食べた後に、



「今からローソン侯爵領の


領都ローソニアに行くけれど、


シドニーさんと、


侍女さん達は如何しますか?一緒に行く?」



「申し訳ありませんモモタロウ様。


私くしは既にローソン家を勘当と成った身、


どの面を下げて戻れましょうか、


死んで行った騎士達の御家族にも会わす顔が御座いません。


私くしは遠慮いたします。」



「侍女 私達も同様に既に家とは縁が切れて居りますので、


此れ以上の恥をさらす訳にも参りませんので、


遠慮いたします。」侍女



「はい、了解しました。


では帝都の屋敷に居ると言う事で話をして置きましょう。


ご遺体に付いては、俺一人居れば済む話ですので、


じゃあ行くのは、


俺とエレン、カンウとチョウヒの4人で向かいましょう。



後、屋敷の購入が決まったら皆を迎えに来ますので、


其れ迄は此の仮家で待機して居て下さい。」



「あの、モモタロウ様。」



「はい何ですか?シドニーさん。」



「お父様との謁見ですが、


すぐには会えないかも知れません。」



「まあ、大領主様ですからね、


其処で冒険者ギルドを使います。


ご遺体の引き渡しは


冒険者ギルドからの正式な依頼ですので、


ギルドから使者を出して貰います。



其の上で日数が掛かる様であれば、


どの道冬を越す訳ですから、


買い入れる屋敷で待つことにしましょう。」



「そうですわね、其れが宜しいかと、」



「冒険者ギルドを通すのであれば、私も行きましょう。


帝都のグランドマスターの肩書は伊達では有りませんからね。」



「そう言う事であれば、ペチカさん宜しくお願いします。」



「はいお願いされました。」



モモタロウは箱馬車にエレン、カンウ、チョウヒ、


ペチカの4人を連れて一路領都ローソニアへと向かうのだった。



領都ローソニアはローソニア湖の畔に有る美しい都市で、


人口は約20万人、


半径約23キロの真円形で、新市街が約3キロ、


旧市街が約12キロ、貴族街が約8キロの巨大な都市だ。


日本で言う所の屋久島よりは二回り程大きいだろうか?


要塞都市は広大であった。


帝都に至ってはアメリカの小さな州位有るのだ。



そして、湖に浮かぶ侯爵城と宮殿が


約6キロも有る島の上に聳え立って居る。


城に行くには城と岸の間に有る湖に浮かぶ


直径約1キロの近衛騎士が詰める


要塞を抜けなければ成らなかった。


此れらは1本の橋でのみ行き来出来るのだ。



都市の外壁には半分埋め込まれた真円の7ヵ所の要塞が有り、


其々に軍隊が駐留し、7方向の街道に繋がって居る。


要塞は直径6キロに及んで其々が一つの街を形成して居る。



侯爵城と合わせて8ヵ所。八芒星を形作り魔術的に、


ローソニアを魔物から守って居るのだ。


此れらは帝都の8ヵ所の


要塞アルテミスの首飾りを模倣して居た。


アルテミスの首飾りの要塞は、


直径が約15キロの真円に成るのであるが、



魔方陣は空からの魔物の侵入を拒んで居る。


外壁や、内外壁、内壁には


深い堀が作られて魔物の侵入を防いで居る。


此の世界の壁に守られた街や都市は非常に広い。


ちょっと考えられない位にだ。其れは魔物の脅威と、


魔法が有るからに他ならなかった。



土魔法のお陰で、


深い堀や高い壁は作りやすく成り、発達したのだ。


長い年月と、莫大な予算を投じて


国家事業として行われて来たのだった。



高い壁の中に普通に森や林が有る世界なのだ。


美しい都市は雪に埋もれだして


其の美しい姿を灰色に変えて居た。


モモタロウの箱馬車は東門から要塞街を抜けて、



大通りを通って旧市街の目抜き通りに有る


冒険者ギルドへとやって来たのは、


お昼を少し回った頃であった。


モモタロウは閑散とした


冒険者ギルドのカウンターへ行くと、



「あの~すいません」



「はい、今日はどんな御用でしょうか?」



背の低い胸の大きな受付嬢が対応してくれる。


ドワーフであろうか?



「はい、シドニー、ローソンさんの依頼で、


ナゴの街付近で盗賊と戦って亡くなった


騎士達の遺体を運んで来ました。


詳しい事は此の依頼書に書いて有りますので、」



と、依頼書を手渡すと、



「はい、確かにお預かり致しました。


報告に暫く時間が掛かりますので、


暫くの間お待ちいただけますか?」



「暫くって何時迄?ご遺体は如何するの?」



「暫くは、暫くですね、


公爵様に何時ご報告出来るのか分かりませんので、


其れ迄ご遺体は保管して置いて下さい。」



「ちょいと貴女、自分が何言ってんのか分かって居るの?


待っている間にご遺体が損傷でもしたら


如何責任を取るつもりなの?


バカなの?死ぬの?貴女じゃ話に成んないわ。


ペチカが来たってギルマスに言いに行って来て!


今すぐに行って来て!」



「は、はい!少々お待ちを」



ペチカさんに捲られて受付嬢のお姉さんは直ぐに席を外すと、


少しして、ドワーフのおっちゃんが勢いよく駆けて来た。



「此れは申し訳ありません。グランドマスター」



「貴方、受付嬢の教育ちゃんとやって居るの?


あんな馬鹿な受け答え、信じられないわ!」



受付嬢のお姉さんはギルマスの後ろに隠れてしまった。



「直ぐに、伝令を走らせますので、


で、遺体の人数は?保管場所は?」



「はい、40人です。


亡くなって居るので魔法の袋に保管して居ます」



「侯爵城迄往復で約70キロに成りますので、


馬で走らせても、帰って来るのは夕方と成るでしょう。」



「では、夜に又来ます。で、此の辺りに不動産屋、


住宅ギルドは有りませんか?其れと宿屋も」



「其れならば、此のギルドの対面の右5軒隣りがそうです。


宿屋は冒険者ギルドの裏に冒険者用の宿屋が有りますので、


其処を利用されると良いでしょう。」



「有難う御座います。又夜に寄せて頂きますね。」



「はい、冒険者殿、


受付の対応が悪かったことを謝罪します。」



「此方こそ無理を言ってすいませんでした。


姫を守って、勇敢に戦って亡くなった勇者を、


何時迄も魔法の袋に入れて置くのは心苦しかった物でね。」



「そうですな、勇者が眠るのに相応しい場所に


早く入れて差し上げたいですな。」



「そうですね、では、」



モモタロウ達は冒険者ギルドを出ると、


取り敢えず宿の確保に冒険者用の宿屋へと向かった。


宿屋は、格安の下級冒険者用と、


中級以上の冒険者用の2軒が軒を連ねて居り、


モモタロウは中級以上の宿屋へと入って行った。


宿屋のカウンターに行くと、受付のお姉さんが居り、



「宿を取りたいんですけれど、部屋は空いて居ますか?」



「はい女性4人と、男性御一人様ですね。


え~っと、亜人の方は隣の下級冒険者用の宿になさいますか?」



「えっ?・・・・皆、同じパーティーなんで、同じ部屋を」



「配下 ご主人様、私達は馬車で充分で御座いますが」配下



「何言ってんの、カンウ、チョウヒ、


俺は仲間がそう言う差別を受けるのが嫌いなんだよ、


其れに護衛は如何すんの?」



「配下 出過ぎた真似をして申し訳ありませんでした。」配下



「はい、承知致しました。女性は4人部屋で宜しいですか?」



「うん、構わない。」



「夜と、朝の食事が付いて、お一人様大銅貨1枚と成ります」



モモタロウは大銅貨5枚を手渡すと、部屋の鍵を受け取り、



「部屋は2階で、カギに書いて有る数字の部屋と成ります。


宿から出掛ける時は、貴重品を宿には置かないで下さい。


鍵もカウンターに預けて下さいね。」



「ああ、うん、今から少し用事が有るので、


宿を開けますから鍵は返して置くよ」



「はい、承知致しました。では、


部屋番だけを覚えて置いて下さいね。」



鍵を返すとモモタロウ達は、住宅ギルドへ向かった。


中へ入ると、閑散期の為か誰も居無い。



「ごめん下さ~い。誰か居ませんか~」



するとギルドの奥の方から、



「は~い、今行きますね~」



と、又背が低く胸の大きなドワーフのお姉さんが出て来た。



「御免なさいね、もう雪の季節に入って居るから、


ギルドも開店休業状態なのよね~


で、今日の御用は何でしょうか?」



「はい、広い土地の家を購入したいのですが、


出来たら安くて、広くて、


問題の物件が有ったら紹介して貰えないですか?


建物は有っても無くても構いません。廃墟でも問題無いですよ」



「と言う事は、冒険者の魔法使いさんですか、


こんな辺鄙な土地ですし、事故物件の類は沢山御座いますが、


どの様な場所が良いでしょうか?」



「そうですね~比較的に治安が良い所が良いですね。」



「はい其れでしたら、貴族街の外れに何件が御座いますが、


事故物件は、SからG迄のランクが有ります。」



「へ~沢山有るんですね~」



「はい、古い都市ですのでね~色々有るんです。」



「色々ね~因みにGランクは?」



「はい、Gランクは女性のパンツが盗まれます。


Fランクは女装した者が現れるそうです。


Eランクは覗きですね、Dランクはちかんです。


Cランクは毎晩、恨み言をこんこんと聞かされます。」



「Cランクは地味に嫌ですね~他には?」



「Bランクは10日以内に死にます。


Aランクは5日以内に死にます。


Sランクは入った瞬間に死にます。


どれも貴族街の北側の外れ近くですね」



「う~ん、SランクよりもC、D、E、F、


Gランクの方が地味に堪えるな~


じゃあ、Sランクの中で一番広い土地の所を、


値段のお安い物件で」



「はいでは、侯爵様からも


冒険者ギルドに討伐依頼が出されて居る。


コーク、スクリュー男爵邸が御座いますが、


近隣の被害が多いので、


確か侯爵家から金貨500枚の賞金が掛かって居ます。



住宅ギルドからも懸賞金、金貨100枚が出て居ますね、


近隣の住宅が売れないので、何度も冒険者や、


教会の魔法使いが討伐に向かって、


返り討ちに有って殺さて居ます。」



「じゃあ其処で良いや、お幾ら?」



「はい~?まじ?死ぬよ、死んじゃいますよ?」



「うん?大丈夫じゃ無いかな?」



「まあ良いです。無料と言いたい所ですが、


手続きの費用、銀貨1枚頂きます。


あの、無理っぽかったら絶対に逃げて下さいね。


死にますよ、本当ですよ、」



モモタロウは御姉さんに銀貨を渡すと、


地図を教えて貰って、


冒険者ギルドによって、


依頼を受けてから幽霊屋敷に向かった。


冒険者ギルドのお姉さんは、口を開けて驚いて居たが、



箱馬車で現地に着くのに2時間も掛ってしまった。


スクリュー男爵邸は確かに広かった。


外壁がずっと続いて居るのだ。正門前に着くと、



観音開きの大きな鉄製の扉が有り、


両側に見張り用の塔が立って居る。


4メートル程有る壁には蔦が生えて居て


中には嫌な靄が掛かっていた。


見たまんまのお化け屋敷だ。


モモタロウはアップスライダーを壁に掛けると、


梯子を上って、敷地内を確認した。



「広いな~此れ万博会場位の広さが有るんじゃね?」



雪景色の敷地内には森が有り、泉迄有った。


御姉さんの話では、男爵は生前狩りが好きで、


屋敷内に狩場を作って居たそうだ。


此の男爵もご多分に漏れず血で血を洗う政争で負けて、


一族郎党皆殺しにされたのだと言う事らしい。



「雪が積もって雰囲気有るわ~


え~っとお化けは何処かな~っと、


まっ良いっか~と、言う事で~<エリアハイヒール!>」



敷地内全体が淡い光に包まれると、


崩れて廃墟になった屋敷から、


真っ黒な霧が空に向かって広がり霧散して行った。


黒い霧が晴れた後には重苦しかった空気は無く成り、


雪景色のみが広がって居た。


モモタロウが梯子を下りると、


心配そうに見て居たエレンが、



「モモちゃん終わりましたの?」



「ああ、中に入って、遺体と遺留品の回収に行こうか?」



「皆 は~い」皆



モモタロウ達は錆びついた門を開け放つと、


箱馬車で邸内に入った。


余りに邸内が広い為に


ストレージに遺留品を一度に集める事が出来なかった為、


箱馬車で邸内を縦断する事と成った。


死体は全て白骨で100体以上回収した。



惨劇の現場も崩れ果てては居るが、


其のままの状態であった。


絵画の類は全てダメに成っては居るが、


貨幣や宝石、魔道具の類は無事の様だ。


全て回収した後門の所まで戻って来ると、



『リリー修復出来る物は修復してくれる?


其れと、温泉旅館は出来てる?』



『リ ばっちりっス。絵画も修復したのでオッケーっス。


貴重な画家の描いた物も有るので、


修復出来て良かったっス~』リ



「じゃあ、行くよ~


<セイクリッド、ガーデンジャパニーズホテル!>」



屋敷の敷地ががうねり出す。


林や泉は整備され、美しい芝生や、庭園が現れて、


石畳の道が敷かれて行き、


其の最奥には日本風の情緒溢れる温泉宿が出現した。



外壁の趣は其のままに、


蔦等は綺麗に取り払われて、良く手入れされて居る様だ。


門のさびも落とされて


錆びついて居た鉄の門も真っ新に成って居た。


地上5階、地下2階の大きな温泉旅館が出現した。


他の4人は口を開けたまま驚いて居たが、



「ぺ まあ、モモちゃんだしね~」ぺ



「カ、チョウ まあ、御主人様ですから」カ、チョウ



「皆 ですよね~」皆



「いや~でかいわ~千と千〇の神隠しだなこりゃ」



『リ いや~あれは感動したっス!』リ



「あっ、やっぱり~


じゃあ冒険者ギルドに戻ろうか、帰ったら夜だな此れは」



「皆 は~いっ」皆



モモタロウ達は温泉旅館の中を見ずに冒険者ギルドへと帰って行った。



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