-139話ー キャンプ合宿 7
モモタロウ達の合宿も予定道りに進み、
其の最終日の夜。
皆で打ち上げを行って居た。
ご馳走は湖で捕れる魚をメインに、
アンコウ鍋、石狩鍋、すき焼き、
お刺身、カルパッチョ、
バター焼き、トロサーモンの焙り焼き等、
皆、舌鼓を打って居た。
何故か神竜様も乱入してからずっと居るのだが、
お酒も、ビールにワイン、缶酎ハイ、
日本酒、スコッチウイスキーに、
1本何万円もする様なコニャックに
ドンペイのシャンパン等々だ。
お腹も膨れて、皆酔っ払い出した頃、
「おいウサギ!踊るにゃ~!」
「ネコちゃんは毎日踊って居るぴょん」
「毎日が楽しいにゃ~
此れが躍られずに居られるかにゃ!
おい、エルフお盆を持って来るにゃ!
大っきいおっぱい見せてやるにゃ!」
「もう見飽きたよ!ほいっお盆」
オカマエルフにはどうでも良い裸踊りなのだが、
楽しい雰囲気を撒き散らすネコとウサギには逆らえない。
ネコは早速、素っ裸に成ると、
「おいうさぎ、さっさと脱ぐにゃ!ほい、お盆にゃ」
「ネコちゃんは思い切りが良すぎだぴょん、
もう少し、乙女の恥じらいが欲しいぴょん、色気が無いぴょん」
<ぱさり、するする>
「うっふんだぴょん」
と、素っ裸で腰を突き出すウサギ、
お尻の上の丸い尻尾が可愛かったりする
「皆やんや、やんや~良いぞ~ネコ~ウサギ~!」皆
「そ~れっ!ほいっ、ほいっ、うっふんにゃ~」
「あ~いや~其れ、あっは~んだぴょん」
「皆わははははは・・・・~良いぞ~やれ、やれ~」皆
「モモタロウよ、楽しいな~ご飯は美味しいし、お酒も美味しい。
最高だな~毎日こうだと夢の様に楽しいよな~」
「女神様、毎日がこうだと飽きてしまいますよ、
たまにだから良いんですよ、こんな楽しみが有るから、
毎日の辛い仕事を頑張れるんですよ」
「そんな物なのか?」
「はい、そんな物です」
「所でモモタロウよ、
明日旅立つのだな~もっと此処におれんのか?」
「はい、ローソン侯爵領に戦士達の亡骸を運ぶ役目が有りますし、
ぐずぐずして居ると、雪に閉ざされてしまいますからね」
「そうだの~冬がもう目の前だな~私も役目が有るからな~」
「へっ?女神様、
フレイヤ様から何か役目を言い使っておいでなのですか?」
「うん、竜の穴の傍に隠しダンジョンが有ってな~
其れが又特級ダンジョンでな~
ほっといたら強力な魔物が溢れるんだよ~
人間では対処不能なんでな~
溢れない様に時々間引きしに行くんだよ~」
「へ~そんな危ないダンジョンが有るんですね~」
「うん、だから私は此処から離れられ無いんだよね~
私と、人化けが出来るエルダードラゴンで、
パーティーを組んで、
森が雪に閉ざされて居る間は
ダンジョンで魔物討伐して居るんだよ
ダンジョンの中は温かいしね~」
「へ~そうなんだ、ちょっと見直しちゃいましたよ、
誰も見て居ない所で人の為に働いて居たんですね~」
「まあ、フレイヤ様には逆らえないしな」
「ご苦労様です」
「所で相談なのだが」
「はい?」
「女神である私は食べる必要は無いのだが、
勿論食べれるし、
美味しいご飯を食べるのと、
美味しいお酒を飲む事が大好きなんだよ、
出来ればモモタロウに
付いて行きたい位だが、無理なのでな、
其処でだ、冬の間のご飯を分けては貰えないだろうか?
見返りと言っては何だが、
ダンジョンで獲れた獲物を全て譲ろう、如何だ?」
「そんな事をしたら女神様の
取り分が無くなってしまうのでは?」
「其れは良いもう充分に宝物は有るし、
魔物の死骸は消し炭にするし、
其れに私達は金銭欲が無いのでな」
「女神様、お宝を入れて居た魔法の袋ですが、
中に時間は流れて居ますか?」
「うん?あの魔法の袋か?
あれは古代エルフの魔法文明の頃に作られた物でな、
其の中でも特に貴重な時間無効の魔法が重ね掛けされて居る。
容量は使う者の魔力量によって変わるらしい」
「まあ、ちっぱい師匠の魔法袋と同じですね」
「うぃ~ひっく、ちっぱい言うな~ひっく~」
「ちょっと魔法の袋をお借りしても良いですか?」
「ああ、構わないよ、ほれ」
モモタロウは女神様から魔法の袋を預かると、
ストレージに入れて、
『リリー此の袋の中にご飯を1食当たり10人前と見て、
春までの分多めに入れて呉れる?
後お酒も、ママゾンで買い足して入れて呉れる?』
『はい了解っス、ホカホカご飯はお櫃に入れて、
おかずは多めに一杯作り置きが有るっスからね~
でも、あれっスよ~ドラゴンの大きさで食べたら
瞬間で無くなりますっス~』
『そうだね、其れは念押しして置くよ』
『はい、出来たっスよ~』
『うん、有難うリリー』
『妻の務めっス~』
モモタロウはストレージから魔法の袋を出すと、
「はい女神様、春迄のご飯入れときました~」
魔法の袋を受け取ると神竜様は、
「うん済まない、で、あれは入れて呉れたか?」
「あれ?」
「くりーむしちゅーだよ」
「ああ~そう言えば女神様
凄く美味しいって言って居ましたね。
タップリ入って居ますよ寸胴で20杯」
「うん、何とも優しい味で甘みすら感じるのに、
色んな具材の旨みが溶け込んで居て、
まろやかで、くりーみーな味だな、
お前の料理は全て美味しいのだが、
私は特に気に入って居るんだ」
「気に入って貰えて嬉しいですよ、女神様」
「うんうん、そうかそうか、
ではお礼の手付に竜泉酒を授けよう。
樽は有るか?」
「直ぐに出せますけど、何樽位?」
「そうだな~?10樽位なら直ぐに一杯に出来るぞ」
「では、ほいっと」
モモタロウが大きな酒樽を10樽ストレージから出すと、
神竜様は樽に向かって手をかざした。
すると樽が輝き出して中に竜泉酒が詰められた。
其れを見て居たちっぱい師匠とペチカさんが、
「モモちゃん帝都に帰ったら1樽売って!」
「妾にも売って欲しいのじゃ」
「良いですよ~」
「「モモちゃん大好き~チュ~ッ」」
「そんなに珍しいの?」
「此処数百年位は市場には出て居無いわね~」
「パパが死ぬ迄に
1度は飲んでみたいと言って居ったのじゃ~」
「はい、はい、了解~
ちっぱい師匠は如何せ何度か帝都に戻るんだろうから、
先に竜泉酒と魔石を渡して置くね~」
とモモタロウは5メートル程の
大きなエンシェントドラゴンの緑色の魔石を、
2個ストレージから出すと、
樽と一緒にちっぱい師匠の魔法の袋に入れた。
「モモよ感謝するぞ、礼は帝都に帰ってからじゃけれどな」
「全然急いで無いから良いよ~
其れと女神様、
ドラゴンの姿でご飯食べたら瞬間で無くなりますからね」
「其の心配は無い、私が本性を出して居る時は、
休眠期間と、手強い敵と遭遇した時だけだ。
美味しいご飯を時間を掛けて
ゆっくりと味わって食べるのが良いんだよ」
「其れが分かって居るならオーケーですね」
「うむ、しかし此の酒は美味いな~此の琥珀色が又良い。
何とも味わい深いな~」
「其れはそうでしょう、
俺の国でも最高級のコニャックですからね」
「うん、コニャックと言うのか、
此の入れ物ガラス製だしな。丸くて、良い感じだな」
「レミーマルちゃんのXOですからね~美味く無い訳が無い」
「女神様はお強いお酒が好みですのね、
私くしは何と言っても
此のどど~んドンペイのシャンパンが好きですわ」
「あら、エレンお姉様気が合いますわ、
私くしも此のシャンパンと言うお酒大好きですの」
「まあ、偉い人はやっぱり口が肥えて居るよね~」
因みに獣人の娘達は日本酒が好みだった。
カンウとチョウヒはコップ酒だ。
何処かの立ち飲み屋みたいだった。
カンシンとコウメイは缶酎ハイを煽って居る。
ハン場のオッサンみたいだ。
「ウィ~ッモモしゃま一つ良いでしゅか~」
「如何したの?カンシン」
「はい、まきょとに言いにくいのでしゅが~
モモしゃま~時々夜中に抜け出して
うっふんなおみしぇに行って居ますよね~」
「ぎくっ!」
「しょんで~ガックリと帰って来て~
右手が恋人でしゅよね~ね~
何ででしゅか~?私じゃらめなの~?」
目が座り、胡坐をかいてコップ酒を煽って居たカンウが、
「其れは私も感じて居りました。
ご主人様の身の周りや行動には
常に気を付けて居りますので、
私達のごときの汚れた者が
ご主人様のお相手に成る筈も御座いませんが、
しかし、商売女よりはましかと
言付けて下さいましたら、
何時でも処理の道具として役に立ちたいかと、
其れが、私達の願いでも有りますのでお願い致します」
「道具だなんて、そんな酷い事出来る訳無いじゃ無いか、
出来たら俺は皆には普通に恋をして、結婚をして、
貧しくても温かい家庭を持って貰いたいんだよ」
「ご主人様のお言葉はとても有難いのですが、
私達は騙され、犯され、奴隷と成った身ゆえ、
普通に家庭を持つ事は最早、叶いません!
しかし、我らご主人様の配下は
100年の恋を致しております。
叶わないと存じては居りますが、
もし、我らの誰かが大きな手柄を立てた時は、
何卒お情けを賜ります様に」
「皆も辛かったんだね~なのに俺の為に有難う。
でも、でもダメなんです。
俺、俺実は立たなく成って居るんです~!」
「皆い〇ぽですと~!!」皆
「そ、そんな大きな声で~ひぃ~~ん」
「其れで・・・・あれだけモーションを掛け捲ったのに、
折れなかった訳ですのね~」
「でも・・・・お風呂場では、
私くしの裸を見てあんなに立派に・・・・」
「はい、でもすぐにしな、しな、しな~っと成るんですぅ~」
「皆何ですと~」皆
「モモタロウ君はきっと
男のお尻の方が興奮するんじゃ無いかな~」
「皆カマエルフは黙っとれ~!!」皆
「モモちゃん、ボクと一緒に可愛い服を着ると良いよ~」
「皆男の娘は喋るな~~!!」皆
56人の女性陣は円陣を組むと会議を始め出した。
何故か神竜様も混ざって、
<・・・・如何やって・・・・
帝族に伝わる・・・・媚薬で・・・・
1週間立ちっぱなし・・・・龍族秘伝の・・・・
1ヵ月立ちっぱなし・・・・
それじゃあ手で・・・・口が良いかも・・・・順番は?・・・・
其の辺はリリー様に・・・・では後程・・・・>
「あの~何の話をしてんの?」
「立たないモモちゃんは黙って居なさい。
本当にもう~今迄の苦労は何だったのかしら」
「私くしはお風呂で立派な物のを見ましたので、
楽しみにして居ましたのよ、
危なく待ち惚けをする所でしたわ」
「モモよ~楽しみにして居れ、息子が鼻血吹く位、
強烈な奴を喰らわしてやるぞぃ~!」
「ぞぃ~って、お・・・・お手柔らかにね」
「女性陣ふっ・・・・楽しみにねっ!にこっ」女性陣
「怖わっ!!」
此の後モモタロウは風呂に入り出て来ると、
「何だか皆楽しそうに歓談して居るね」
合宿最後の夜はお酒を飲んで、
取り留めも無い話をし乍ら更けて行った。
翌朝、朝ご飯を食べると
一行は砦風仮住い改の門の前に集合して居た。
「女神様、砦風仮住い改の鍵を渡して置くので、
自由に使って下さい」
「うん、済まないね、
雪が積もる迄此処で生活する事にするよ」
「一人で寂しくは無いですか?」
「じゃあモモタロウが一緒に居てくれるか?
やらせてやるぞ?」
「立ちませんから、お断りします」
「そうか残念だな、
まあ私の世話はエルダードラゴン達がしてくれるのでなあ、
心配には及ばない。
美味しいご飯と、美味しいお酒が有るからな
大喜びで世話をしてくれるだろう」
「なら安心ですね其れでは女神様、
雪が解けたら又会いましょう」
「うむ、そうだな」
<汝らに此の後も天と地の恵みを、モモタロウ達に幸あらん!>
モモタロウ一行がぼんやりと輝いた。
「女神様?今のは?」
「何だ分らんか?お前達に加護を与えたんだよ、
まあ、あれだ、幸運2割増し位で考えて置くと良い」
「そうなんですか、有難う御座います。」
「其れでは、元気に行ってこい」
「はい、じゃあ行ってきます。」
モモタロウ一行は
深い緑色の髪とエメラルドグリーンの瞳の土の神竜様と、
手を振って別れると、
ローソン領に続く街道に向かって馬車は走り出した。
街道は国境沿いに大きく横たわる
南エルビス山脈に向かって居る。
途中ローソニア山脈に向かって左に折れるのだ。
其れ迄はずっと平坦な道、農村風景が続く大穀倉地帯だ。
ルグレス帝国は
此の豊かな土地の上に成り立って居るとも言えるのだ。
5日程平坦な街道を進み
ローソニア山脈方面に進路を左に取ると、
景色は一変する。起伏の激しい高原地帯に成る為だ。
その為に決して早く無い馬車は更に遅く成る。
高原地帯に入ると、道は曲がりくねり、
牧羊が盛んな地域に入って来るが、
既に、牛や羊、ヤギや馬などの姿は見られない、
もう冬が来ていたのだ。
更に山間部では既に雪が積もり始めて居る。
「モモちゃん此の馬車凄いですわ!
合宿に来た時より静かだし、外は吹雪で真っ白なのに、
ストーブで温かいし、
何時でもお湯が有るから温かいお茶が何時でも飲めるし」
「そうだね~先に作って置いて良かったよ~
この雪で幌とか有り得無いよね~」
既にラミアのシュウユと、アラクネのハットリ君は、
天上に作った2階席のコタツから顔だけを覗かせている。
「シュウユ、ハットリ君、コタツの具合は如何だい?」
「はい、ぬくぬくです~」
「さっきから居眠りばかりして居ますぅ~」
「うん、具合は良さそうだね~」
更に御者側の小窓を開けて、御者をして居るカンウに、
「カンウ寒くは無いかい?」
「はい、大丈夫で御座います。
ご主人様に作って頂いた着ぐるみの、
すのーうーまんちゃん最高で御座います。ぽかぽかです。
馬達も防寒マントで元気いっぱいで御座います」
「うんうん、でも何かあったら直ぐに報告してね、
吹雪で視界も悪いからね」
「ご主人様が合宿の時に敷いて下さった石畳のお陰で、
見やすく走りやすく成って居ますので、問題ありません。
其れに車輪も全然滑らないので安心できます。
エルフや獣人は方向感覚に優れて居ますので、
遭難する事も無いでしょう」
「そうだね、スノータイヤにしておいて正解だったね」
「あっ、ご主人様領都のローソニアが見えて参りました」
「カンウは目が良いね~俺には吹雪で見えないよ~
まあ、マップには映って居るんだけれどね~
今日は領都の近くで野営しようか?
明日から領都で、
遺体の引き渡しと屋敷でも見て回ろうかね~」
10日間の馬車の旅で吹雪の中ローソン侯爵領の領都、
ローソニアに辿り着いたモモタロウ一行であった。