-138話ー キャンプ合宿 6
モモタロウ達は突然現れた地竜アースドラゴンを、
護衛の皆と協力をして、
抜群の連携で何とか倒す事が出来た。が、
焼けた森の中から土の神竜と名乗る一人の少女が現れて、
モモタロウにタイマンを申し出るのであった。
『物凄い威圧だ!此の感じサファイヤやルビーと同質だ。
此のちょっとおバカさんな感じも、
うん、神龍様で間違いは無いだろう』
獣人の護衛達も皆心が折れ、威圧に震えあがって、
土下座し失禁し乍ら、頭を地面に擦り付けている。
もし、戦いにでも成ったら、
間違いなくモモタロウ達は瞬殺されるだろう。
「うっわ~闘気が見えてるよ~何処の拳〇だよ~」
「おいお前、何処からでも掛かって来い!タイマンだ!!」
「ちょっと女神様、掛かって来いって、
俺達が勝てるとでも?勘弁して下さいよ、
マジで、アリがドラゴンに挑むような物でしょ、
俺達が如何あがいても勝負にも成らない事なんて、
女神様も分かって居ますよね~
そんなに一方的に勝負だなんて、ずるいです!」
「仕方ないだろう眷属が殺されたんだ。
私にも面子ってもんが有るんだよ、
だから私と堂々とタイマンを張って殺されろ!」
「何処の組の人だよ~だって仕方ないじゃ無いですか~
俺達、食われ掛けたんだから~正当防衛です!」
「何言ってんのお前、ドラゴンだよドラゴン、
神竜の眷属だよ~勝手に人間を襲うなんて事、
有る訳ないじゃ無いか~だからタイマン!」
「何言ってんですか~もしかして知らないんですか~?」
「何がだよ~タイマン!」
「さっきの竜が毎年冬に成ると村人を襲って、
大勢の人を食って居たのを~」
「何だって~!」
「俺達死んだらフレイヤ様に
神竜様が人を襲わせて居るって言い付けてやる~!
スクルド様に討伐依頼してやる~!」
此の時モモタロウは神竜様が
両手で尻を隠すのを見逃さなかった。
「一寸待った~!
今スクルドって言ったよね~スクルドって、
い、いやちょっと待て!
本当に私の眷属が人を襲って食って居たのか?」
「何でこんな大事な事を
神竜様が知らないんですか~
やっぱりフレイヤ様に言い付けます!
そして鎖につながれた狂犬・・・・
スクルド様を解き放って貰います~」
「う、うん、寝てたからな~
ってスクルド鎖に繋がれてんの?何で?」
「何でって危険だからです。
でも寝てた割には此処に来るのが早かったですよね~
森の最奥って結構な距離だと思うんですが?」
「ああ其れな、私は地中の竜脈を使って
自由に移動が出来るんだ」
「其れは凄い」
「へっへ~っ凄いだろう!えっへん!!」
「神竜様は確かフレイヤ様に
人を殺すのを禁じられて居ましたよね」
「何故それを?」
「教会で聞きました」
「むぅ~~」
「其れを神竜様の
眷属が守って居無いのを知らなかったと」
「うん、知らなかった」
「でも、沢山の人が喰い殺されて居ます。
此れは業務上過失致死に当たります。
つまりは神竜様の責任です。
スクルド様に討伐依頼を出します」
「い、いや、其れはちょっと待て!スクルドはいかん!
あいつはヤバイ!如何やばいかと言うと、
情け無用な上、ドS、限度と言う事を知らん奴だ。
前にえらい目にあった」
「じゃあ、手打ちにしましょう」
と、モモタロウはストレージからチョコバナナを取り出すと、
土の神竜に手渡して、
「凄く美味しいお菓子です。
仲直りのしるしに、どうぞおあがりよ」
「お代わり!」
「早っ!!」
と、次々にお代わりを食べている間に、
「女神様って、もしかして痔に成って居るの?」
「うん、スクルドの奴に大木の杭を尻に打ち込まれてな~
痛いのなんのって、今でも内股でしか歩けないよ、
私の寝床は切れ痔の血と別の血で
賢者の石だらけだな~はっはっは~ぁ」
「賢者の石!欲しい!何故か、リリーが喜ぶから」
「あんなのが欲しいのか?良いよ後で持ってくるよ」
「其れはまあとにかく、お尻の治療をしましょう」
「へっ?治せるのか?」
「ヒールが効けばの話ですが」
「お願いしても良いか?」
「勿論、では、ヒール!」
土の神竜様はぼんやりと輝き始めた。
「おお~お尻が温かい」
輝きが収まると、
「お尻の具合は如何ですか?」
「お尻のジュクジュク感が無くなって居る。
おお~何千年振りかに全快した~
清々しいな~おい、
有難う~有難う~本当に有難う~」
「其れじゃあ、
全快祝いにバーベキューパーティーでもしますかね~
カンウ悪いけれど、此処でバーベキューパーティーするから、
皆呼んで来てくれる?」
「はっ!承知致しました」
カンウは少し躓いたが、拠点に向かって
風のように走り去って行った。
「バーベキューパーティーか、
楽しみだな、バーベキューパーティーって、
何か分からないけれどワクワクするな、と、
其の前にお前の名は?」
「はい、帝都の冒険者でモモタロウと言います。
以後お見知りおきを」
「うん、モモタロウ、少し時間を貰おう、
私も地竜アースドラゴンの里、竜の穴で少し用事が出来た。
何、時間は掛からんよ、では暫し待って居て呉れ」
と言うと神竜様は土に吸い込まれる様に消えた。凄い!
暫くすると遥か遠くで爆発音が鳴り響いて来た。遠雷の様だ。
彼方の方で何かの影の様な巨大な物が暴れて居るのが分かる。
「デイダラボッチかよ~でか過ぎんだろ~!何処の特撮だよ!」
何故か此の世界の魔物も動物もデカい。
「全く生物の巨大化の限界を無視して居るよな~
あり得んデカさだわ~」
「ご、ご主人様は凄いです。
神竜様と対等に話し合われただけで無く、
意見まで述べられて合意迄なされるとは、
私達はまだ震えが止まりません。
腰が抜けて立ち上がる事さえ出来ませんのに、
本当に凄いです」
モモタロウは、チョウヒの頭を撫でながら、
「幾ら強くってもチョウヒも女の子だからね~
まあ俺は少し耐性が有るからね、
無かったら大小漏らして居るよ」
「まあ、私くしはまだ耐性が有りませんから、
漏らしても許されるのですわ」
「エレン、其れは良いから早くパンツを履き替えて来なさい。
少し匂いますよ」
「モモちゃん女性に其れは言ってはいけない事ですわ、
其れに私くしも腰が抜けて立てませんのよ、
履き替えさせて下さいまし、
お漏らししたのも私だけでは有りませんし」
そう、余りに強烈な威圧の為に殆どの者が失禁して居た。
中には顔を地面に擦り付けたまま
失神して居る者も居るのだ。
そう考えると、
モモタロウの命令を受けて直ぐに拠点へ向かったカンウは、
大変な豪胆者と言えるであろう。
此の後、モモタロウは失禁して居る
娘達のパンツを履き返えさせていくのだった。
「役得だな~皆大丈夫~?」
「皆はい、新しい何かに目覚めました!」皆
モモタロウが待って居るとふわっと神竜様が現れた。
「モモタロウ待たせたな」
と宝の山を目の前に積み上げた。
「此れは、私が間違えて襲おうとしたお詫びと、
切れ痔を治してくれたお礼だ。
少ないが受け取って呉れぬか?」
「って、地竜アースドラゴンの死体が10匹
混じって居るんですけど~
しかも倒したやつよりずっと大きいんですけど~
宝の山も倒した地竜アースドラゴン位有るんですけど~
良いんですか?」
「ああ構わんよ、
此の10人は私に内緒で煽ってた居たやつらだ。
見せしめに殴り殺した。
お宝は地竜アースドラゴンが集めていた物だ。
ドラゴンは光る物が好きだからな、
エルフ時代のお宝もかなり含まれては居るな」
「地竜アースドラゴンの骨や魔石も沢山有る様ですが、
良いんですか?」
「長生きなドラゴンは
死んだ者にはあまり興味が無いからな、構わない、
むしろ骨や牙は素材としての価値が高いと聞いたのでな、
其れに持って来たのがお宝の全てでは無い、まあ、2割位だ」
「其れでは有難く頂いて置きます」
「うむ、貰ってくれ」
「ごっあんです」
と話して居る内に皆がやって来た。皆、神竜様の前に来ると、
土下座して頭を地面に擦り付けて、
「此度は地龍アースドラゴン様を倒してしまったにも拘らず、
お許し頂き心より感謝申し上げまする」
何故かちっぱい師匠が謝って居た。
「何、此度は私の眷属が迷惑を掛けたのでな、
モモタロウの忠言で分かったのだが、此の10匹が、
若い地竜アースドラゴンが人里に居りて
悪さする様にそそのかして居たのだ。
其れが分かったので、見せしめとさせて貰った。
更には、モモタロウに古傷を癒して貰った上に、
バーベキューパーティー成る物をしてくれると言う
此の宝物は其のお礼だな」
「はい、委細承知致しました。
皆の者!此処に積まれた宝物の全てモモタロウの物である。
何人であっても奪っては成らぬ!
もしもその様な者が現れたなら厳罰と処す!良いか!!」
「って、ちっぱい師匠が何で仕切ってんの?」
「ちっぱい・・・・バカ者~まだ分からぬか~
妾はアンジュ・・アンジュ、ルグレス。
ルグレス帝国女帝じゃ!」
<ちゃらら~ん、ちゃら、ららら~ん>
「皆へ、へへ~~っ」皆
『何故か音楽が~其れに神竜様も土下座して居るし~』
「よっ!神竜様~結構腰が低いね!
でも、ちっぱい師匠が女帝様だなんて、
全然分らなかったよ~」
「バカ者~他の皆は既に分かって居ったわ、
此のたわけめが~」
「皆・・・・・・・・」皆
<すって~~ん>
「あ~あ、ちっぱい師匠がすっ転んじゃったよ~
皆~分かんなかったの~?
全然気付かなかった俺が言うのも何だけど~」
「お前ら~
特に学院長、グランドマスター、マドカ、アモンは、
何度も謁見してるだろうが~」
「我は居眠りして居った」
「私は何時も難題吹っ掛けられて下向いてた」
「私は見ても直ぐに忘れていた」
「私はジャーキーおじ様が邪魔で見えませんでした~」
「お前らは~じゃが、
何時もうやうやしく接してくれるメイド達は如何じゃ?
お前達は妾が女帝だと気付いて居たのでは無いか?のう」
「メイドいえ、私達はご主人様の師匠と聞いて居りましたので、
ご主人様は神!其の上におわすお師匠様は絶対神で御座います。
私達にとって女帝様の遥か上に居られる存在で御座います」メイド
「う~ん、女帝を飛び越してしまったのう、
まあ良い、そう言う事じゃから
お宝は全てモモの物じゃ、良いか!」
「皆え~っぶ~ぶ~」皆
「え~い、ぶ~ぶ~言うんじゃ無いわさ!バカ者共め~!
お前達散々儲けさせて貰っただろうが~いい加減にせんか~!」
「皆は~いっ」皆
「じゃあ、遠慮なくお宝は貰って置くね~」
指をくわえて居る皆を尻目に
モモタロウはお宝をストレージに仕舞うと、
「さあ皆、バーベキューパーティーを始めよう!」
ついさっき迄、死闘を繰り広げた戦場で、
今度は美味しそうな肉の焼ける匂いが立ち込めるのだった。
「焼き肉には此れだ!アバラ白金のタレだ~
此のタレににんにくを入れて神竜様はいどうぞ~」
「おう、何だか凄く食欲をそそる匂いだな、
此のソースの匂いも凄く良いでは無いか、
何時も食べて居るヤギとは大違いだな」
「ヤギ?そんなの比べ物に成んないですよ~
おっ、焼けましたよ、カルビをどうぞ~」
「おお、済まないな、もぐもぐもぐ、
うっ、美味い、美味いぞ此れは、
こんな美味い肉は初めてだ」
<プシュッ!>
「神竜様~ビールもどうぞ~焼肉に最高に合いますよ~」
「うむ、ごきゅ、ごきゅ、ごきゅ~ぷっは~
う、美味い!美味過ぎる~生きて居て良かった~最高じゃ~」
「神竜様~沢山有りますからね~一杯食べて下さい」
「うん、遠慮なく頂こう!今日は無礼講じゃ~
わははははは~~!ぱくぱくぱく、
ごきゅごきゅごきゅ~ぷっは~」
「う~ん美味しいのじゃ~ぱくぱく、此のタレは最高じゃ~
所でモモよ頼みが有るのじゃが」
「何ですか~?ちっぱい師匠~」
「ちっぱい言うな~実はのうさっきの
お宝の中に大きな魔石が有ったじゃろう?」
「ああ、有りましたね~でっかいのが~上げましょうか~?」
「バカ者~さっきお前の物じゃと宣言したばかりじゃろうに、
売って欲しいのじゃ」
「良いですよ~値段分からないから、師匠の方で決めてね~」
「本当にモモは欲が無いのう、まあ良い、
帝国の国家事業に成るだろうから、正式に買取価格を、
帝国議会から通達する様にする。
まあ、何方にしても
帝国に戻ってからの話にはなるがのう。
如何じゃモモよ、学院を卒業したら
妾と一緒に暗黒大陸に行ってみんか?
モモからあのでっかい魔石を買えれば
飛空艇の航続距離が一気に伸びる。
飛空艇の改造にも時間は何年も掛かるしのう、
今現在では魔大陸からの
飛空艇しか就航して居らぬが、非定期じゃ、
此方からも交易船を出したいでは無いか。
如何じゃ?冒険が待って居るぞ」
「そうですね~エレンがオーケーを出すなら
行っても良いですよ」
「あら、私くしはオーケーですわよ、
モモちゃんと冒険の旅なんて、
私くしの大きな胸が踊り狂いますわ」
「其れではオーケーじゃな」
「はい、何かお金の匂いがプンプンしますわ」
「ちっぱい師匠様、冒険者ギルドも一口かませてせて下さな、
私が同行致します」
「ちっぱい言うな~
うむ、冒険者ギルドも一口乗るか、良いだろう。
後、商業ギルドも嚙ませようかいのう」
「モモちゃん冒険者ギルドも骨竜と言って居たのを、
地竜アースドラゴンの死骸を1体買い取らせて下さいな、
1体なら何とか買い取れるでしょう」
「ペチカさん良いですよ」
「有難う!資金が出来たら又買い取らせてね」
「はい、其れ迄は死蔵して置きますね」
「後、お宝の山の中に、
旧エルフ魔法国家のミスリルコインが有りましたよね~」
「そんなの有ったんですか?」
「はい有りました。私は此れでも、
冒険者ギルドのグランドマスターですからね、
目が効きます
あんなお宝は見逃しません。
帝都に戻ったら10枚売って下さいませんか?」
「其れは構いませんが、貴重な物なのですか?」
「はい、凄く貴重な物です。ミスリルは普通溶かして、
武器か魔道具にする為に残って居ません。幻のコインです。
ミスリルは金より貴重な為に
お宝としての価値も非常に高いのです。
好事家にとっては喉から手が出るくらい
欲しがるでしょう。
ギルドは此のコインに
王金貨5枚の値を付けたいと思って居ます。如何ですか?」
「良いですよ商談成立ですね、
帝都に帰ったらギルド本部に行きましょう」
此の日は神竜様を囲んで、
和やかにバーベキューパーティーが行われて、
皆、酔い潰れる迄食べて、飲んで、歌って、騒いだ。
「今日は何だか儲かったし、
魔大陸に行くと言う新しい目標も決まったし、
冒険の旅か~心躍るな~其の前に冬を越さないとな~」
新しい目標に心躍るモモタロウだった。