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-134話ー キャンプ合宿 2


ドサン湖到着初日は寝泊まりの準備と、


魚、山菜、キノコ、沢蟹等、


食材探しで終わった。


晩御飯は昼間に釣ったエンペラーサーモン尽くしだ。


今日釣ったエンペラーサーモンは


体長5メートル越えの体重600キロ越えだ、



でっかいおおまのクロマグロの


サーモン版とでも言おうか、でかい、


小さな鯨位あるのだ。


其れをストレージ内で、リリーが血抜きをして、


ブロックごとに捌いてくれている。


解体ショウをすると大変だからね、



トロ、中トロ、大トロ、鎌トロ、赤身、のブロックを、


モモタロウと、弟子のコックメイドで


捌いて船盛を幾つも作り、


サーモンステーキにバター焼き、ムニエルにカルパッチョ、


茶碗蒸しにあら炊きと超豪華版だ、在庫分も忘れない。



他には、越前ガニ位の大きさの沢蟹のボイルとかにグラタン。


山菜とキノコのバター炒めだ。


其れと、夜に成って冷えて来たので、熱燗だね。



皆、風呂に入り浴衣を着て、


畳みの大広間で、まあ宴会場だね、


座布団に座って気分はもう温泉旅館だ!


全員舌鼓を打った所で、



「全員頂きま~すっ!」皆



「エ、エレン姉様」



「うん?何ですのシドニーさん」



「船に乗って居るのはお魚ですよね?」



「そうですわ」



「とても綺麗なのですが」



「はい、食べるのが勿体ないですわ」



「いや、そうじゃ無くて、生ですよね?」



「はい、生ですわよ」



「食べれるのですか?」



「勿論!甘みが有って凄く美味しいのですわ」



「しかし・・・・流石に生は」



「お刺身と言うのですよ、


新鮮なお魚しか生で食べる事は出来ませんのよ、


モモちゃんが出して呉れるお刺身はとれとれで、


寄生虫の心配も無いのですわ」



此の世界に魚や肉を生で食べる習慣は無いのだ。


生食の保存方法が無いので、痛む寸前か塩漬け、


痛んだものが普通なのである。



「エレン姉様分かりましたわ、


でも如何やって食べれば良いのでしょうか?


手で掴んで食べるのでしょうか?」



そしてまだこの世界ではフォーク等は無い、


ナイフで肉を切りわけ、手掴みで食べテーブルクロス等で、


汚れを拭くのが当たり前の世界だ。



「え~っと、シドニーはまだ箸は使え無いですね、


フォークで刺身をぶっ刺して食べると良いですわ。


船の所に緑色の物が盛って有るでしょう、



其れを此の小さな皿に少し入れて、


醤油を垂らして混ぜますの、


此れ位ですね、入れ過ぎるとつーんと来て


涙が出ますので、少なめにねっ、


此れがお刺身用のソースですのよ、


癖に成りますわよ、さ、やってみて」



「フォークって此れでしたわね、


此れに緑色の物を少し乗せて、


此のちっちゃな皿に入れて、


ショウユでしたわね、少し入れて掻きまわして、


エレン姉様出来ました。」



「はい、そんな感じですね、ではお刺身を食べてみて」



「はい、お魚を一切れ取って少しソースに付けて、


!!!・・・・もぐもぐもぐ」



「如何ですか?」



「はい、はいっ、辛くてつーんとして、凄く不思議な味!


でも、癖に成る様な美味しさですわ!


あっ涙が出て来ましたわ」



シドニーのお付きの侍女達も真似をして、


美味しそうに食べて居る。



「でしょでしょ、モモちゃんは料理の天才なのですわ!


シドニー此の大トロも食べてみて、口の中で蕩けますわよ」



「本当ですわ、嚙む必要が有りませんわ」



「そして此れ、熱燗!お刺身に最高に合いますのよ」



「きゅ~っプッハ~お、美味しい~


香りだけでも酔っちゃいそうです~」



「シドニーさんも早くお箸の使い方を覚えると良いですわ。


美味しいモモちゃんの料理を効率よく食べる事が出来ますわ」



「はい、エレンお姉様!死ぬ気で練習します。


で、如何練習すれば良いのでしょうか?」



「シドニーの其の意気や良しですわ。


私くしはモモちゃんに、


お箸で小石を摘まむ練習をする様に教えて頂きましたわ」



「お姉様、どれ位掛かりましたの?」



「食べたい一心で、一日で憶えましたわ」



「私くしも死ぬ気で頑張りますわ!」



「宜しいですわ、今日は大いに食べて飲みましょう、


ベロベロに成ってモモちゃんに


押し倒されたらラッキーですわ」



「はいお姉様、死ぬ気でベロベロに成りますわ!」



「モモよ、モモよお主、此の様な隠し玉を持って居ったのか。


凄く美味しいのじゃ」



「まあ、別に隠し玉とかじゃあ無いですけどね~


満足してくれたのなら嬉しいですよちっぱい師匠」



「ちっぱい言うな~此の様な美しく、しかも美味しい料理は、


王侯貴族でも食べる事は出来ぬな~


こんな料理が毎日食べれるのであれば、如何じゃお主、


妾の婿に成らぬか?贅沢し放題だぞ」



「今でも充分に贅沢して居るし、


要らないですよお金も有りますしね、


其れに結婚なんて、毛が生えて胸が出てからにしましょうね、


お父さんが、悲しみますよ~何か犯罪臭いし~」



「バカ者~妾は成人しておる、


毛位生えて居るわ、お主も見たであろう。


胸はこう、上と下から皮を寄せれば何とか揉む位は有るぞ!」



「あ~そう言えば生えてたね~忘れてたわ~」



「バカ者~忘れるな~・・・・はあ・・」



「あれ?如何したの?ちっぱい師匠」



「ちっぱい言う・・・・ああパパとママにも、


食べさせて上げたいと思ってな」



「ちっぱい師匠、時間の流れて居無い魔法の袋出して」



「ちっぱい言う・・ん?うむ」



多めに作った在庫の船盛と、


料理の各種と、デザート、日本酒の熱燗と、


カニの詰め合わせを魔法の袋に詰め込むと、



「パパさんとママさんにお土産ねっ」



ちっぱい師匠は、モモタロウに抱き付くと、



「だから妾はモモが好きなのじゃ!


如何じゃ今晩、元気一発!」



「はははは・・・・おっぱいが膨らんだらね~」



「むう~」



此の後皆、喋る事無く黙々と食べるのであった。


お腹も膨らみデザートのゆずシャーベットも食べ終わり、


皆、酔い始めた頃、唐突に学院長が、



「え~明日からの予定じゃが、


明日は午前中湖の畔で魔法の訓練、


午後からを自由時間とする」



「皆ちっ!」皆



「ちっとか言った~!」



「学院長~折角のキャンプなのですから~


ゆっくりしたいです~」



「バカ者~!!お主其れでも教師か~!


学院の合宿である以上成果は出さねば成らぬからの~


合宿の後、ローソン侯爵領まで行って


帝都迄帰らねばならん。



今回の合宿は帝都から此処迄来るのに5日、合宿で7日、


ドサン湖からローソン侯爵領の領都、


ローソニア迄10日は掛かるじゃろう。


更にローソニアで3日、


帰り道がナゴの街にも寄らねば成らぬので、


14日として、全部で、39日は見ておかねばならん。



帰りは雪に阻まれるかも知れぬのじゃ、


そう成ると春の雪解け迄帰れぬかもしれんのじゃ」



「皆ラッキ~!」皆



「バカ者~!教師のお前までもが~


此のままではお主ら全員、留年じゃ~!!」



「皆え~~其れは無いよ~」皆



「じゃから魔法の実地と座学を日替わりで行う。


幾ら出席扱いと言っても


勉強が出来なければ留年じゃからのう。


幸い此のバカ教師は魔法担当じゃ、


そしてSクラスじゃからな、



試験の必要はまあ、無いじゃろう。


実技に付いては何時卒業しても良いレベルじゃからのう、


ドラゴンスレイヤーが居る位じゃしな、



じゃが、脳みそが空っぽでは話に成らん!


で、座学じゃ、まあ移動教室じゃな、


雪で移動が困難な場合、


我と此のバカ教師で座学中心で冬を越す。


学院の方には我から手紙を送って置く、


以上じゃ!」



「皆ぶ~ぶ~」皆



「え~い、ぶ~垂れるでないわ!マドカ、


お主は教師であろう!」



「え~っ、だって~冬は暖っかい所で


食っちゃ寝したいじゃ無いですか~」



「お前、給料無しな!」



「いや~真面目に働きます~


給料無しは勘弁して下さい~」



「では、きりきり働け~!!」



「サ~、イエッサー、マム!!」



「モモは座学の後、


時間と、カレンダーに付いて相談したい」



「はい、良いですよ~」



「うむ、良い返事じゃ、我からは以上じゃ!


では、飲むとするか」



「皆は~い、カンパ~イ」皆



皆良い感じに酔って、


ネコとウサギがお盆を持って裸踊りを始めた頃、



「さて、俺も一っ風呂浴びてこようかね~


エレン、風呂入って来るわ~後宜しく」



「はいモモちゃん、任せて下さいな」



モモタロウが中座して風呂場に向かうと、


シドニーも後を追う様に立ち上がった。



「ちょいとシドニーさん、何処に行かれますの?」



「はい、モモ様のお背中を流しに行こうかと」



「シドニーさんちょっと此処にお座りなさい」



「はい?」



シドニーが訳も分からず座ると、



「良いですか、何故モモちゃんが


皆がお風呂に入った後に入るのかを、


少し考えて見なさい」



「何故でしょうか?エレンお姉様」



「モモちゃんは私くし達の家長です。


当然お風呂や何かは一番でなければ成りませんが、


敢えて最後に入ろうとします。



モモちゃんは言いませんが、


何時も私くし達、家族に気を使って居るのです。


死なない様に、何時も、気疲れも大変でしょう、


だから、風呂に入る時や寝る時位は


一人に成ってゆっくりしたいのでしょう、



私くし達も何となく其の事が分かって居るので、


誰もモモちゃんの邪魔をしない様にしています。


本当は皆、構って欲しいし構いたいのですが、


我慢して居ます。


だからシドニーさんも我慢して下さい。


モモちゃんから声が掛かる迄は、



まあ、でも、お風呂から上がって来たら、


思いっ切り甘えて下さいな」



「ああ、其れで皆さん


モモ様の後を追わなかったのですね。


合点が行きましたわ。


エレンお姉様、


此れからも居たらない所をご指導して下さいね」



「はい、心得ましたわ、


私くしは最初から魔法剣士を目指して居たので、


社交界の事が不得手ですの、


だからシドニーに期待して居ますのよ」



「はい、エレンお姉様お任せ下さい。


私くしはローソン家からは勘当されますが、


私くしのお兄様は、


私の事をとても可愛がってくれて居りますので、


力に成って呉れるでしょう」



「あら、頼もしいですわね、


私くしのお姉様も婿を取って、


家を継いで居りますのよ、


何かあったら言いなさいと言われて居りますの」



「まあ素敵、両家の力が有れば、其処らの貴族何て」



「踏み潰して差し上げますわ、プチッとね」



「あらエレンお姉様、凄く悪い笑顔ですわ」



「貴方もね、シドニー」



「「うふふふふ・・・・」」



スタンダールローソン同盟が出来た瞬間であった。



モモタロウが畳の大広間に戻って来ると、


既にメイド以外の大半の者が酔い潰れて居た。


ネコもウサギも素っ裸で、


大股を開いて一升瓶を抱き締めて、酔い潰れて居る。


モモタロウは二人の前でしゃがみ込んで、



「う~ん、獣人のあそこって、こうなってんだ~ふ~ん、


レントゲンで撮ってみたいな~」



獣人の体は、ほぼ人族と変わらないが、腰骨、


つまりお尻の割れ目から尻尾が生えて居るのだ。


まじまじと、其れを見て居るとチョウヒが、



「ご主人様、あそこが見たいのであれば、


何時でも仰って下さい。存分にお見せ致しましょう。


勿論お触りOKで」



「いやいや、たまたま目の前で転がってからさ、


たまたまだよ、たまたま」



「そうで御座いますか、残念」



「うちのメイド達は流石だね、誰も潰れて居無い


まだ酒盛りをして居る。強者揃いだね」



と、カンウがモモタロウの隣に座り、しなを作って寄り掛かり、


おしゃくをしてくれた。


カンウは色っぽいダークエルフの御姉さんだ。


白い髪、流れる様な脚線、


着崩した浴衣の胸元から谷間が覗いている。


カンウから上質のトリートメントの香りが・・・・



「あかん、此れはアカン奴や、鼻血が出そうやわ」



「ご主人様、私、少し酔いました。


潰れたら介抱して呉れますか?」



「介抱は他の娘に任せます。襲っちゃいそうだし」



「襲って頂いて構いませんが」



「御免、まだ無理です」



「今で無くても構いません、


何時かきっと、約束して頂けませんか?」



「そうですね、約束しましょう、


まあエレンが最初に成るでしょうけれど」



「当然です。エレン様は尊敬出来るお方ですし、


順番は守ります。其れに付いては皆で話し合いましょう」



「お願いしますね」



「心得ました。しかし此の日本酒、


越後の大吟醸は素晴らしいですね、


冷酒でも美味しいのですが、熱燗は更に美味しいですね。


火酒の様に強い訳では無いのですが飲みやすい。


ついつい飲み過ぎてしまいますね、酔ってしまいました」



暫くモモタロウはカンウのお酌で、ちびちびと飲み、



「さて、今夜はそろそろお開きにしようか、


皆、片付けと酔い潰れた娘達を寝かせて上げてね、


あっ男共はほっといても良いからね~」



「皆は~いっ、承知致しました~」皆



男にはぞんざいなモモタロウだった。


ドサン湖到着初日の夜は静かに更けて行った。

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