-133話ー キャンプ合宿 1
翌日朝食を取った後、
モモタロウ達は街に戻ると兵舎に行き、
ユンケル隊長と面会して、
「ユンケル隊長、昨夜の討伐は上手く行きましたか?」
「はい、盗賊共の寝込みを襲って、
残り10名の盗賊を打ち取りました。
此方の兵も怪我人は出ましたが、死者は出ませんでした。
拉致されて居た女性達も30人居りましたが、
救出する事が出来ました」
「被害者の女性達は如何なるのでしょう?」
「彼女達は現在教会で保護して居ますが、
被害者の女性達の家族は皆殺しにされて居て、
頼る者も居無いので、
修道院に行くことを望んで居ります」
「女性達の中で怪我人は?」
「全員、酷い暴行を受けて居りまして、
奴隷商に売るつもりだったのでしょう、
顔には傷は付いて居ませんが、
殴る蹴るの暴行を受けて居り、
酷く怯えて居りまして」
「そうですか、俺は治癒師なので怪我人の治療をしましょう、
教会に怪我人を集めて頂けますか?」
「それは助かります。応急処置は済まして有りますが、
街の教会の治癒師は一人だけなので手が足りなくて、
皆、教会で治療中ですので、ご案内いたします」
モモタロウはユンケル隊長に案内され、
盗賊の死体の山を通り過ぎて、
「ユンケル隊長、此奴らの死体は?」
「はい、此奴らは
既に首を改めて罪状を調べて有りますので、
帝都から検察官が来た後に、晒し首にします。
体の方は穴を掘って、埋めます。
放置しておくと魔物が寄ってきますので、
賞金首も多く居たので、報奨金は期待して居て下さい。
最も支払いは、手続きが有るので5日位掛かりますが、
此奴らの持ち物も全てモモタロウ殿の物と成ります」
「いや、俺達此れから湖で合宿が有るので、
今日には出発したいのですが」
「そうですか、魔法学院の生徒でしたな、では、
帰りに寄って頂けませんか?」
「承知しました」
モモタロウ達は教会へ行き、女性達の所へ行くと、
皆、殴られたのだろう、
傷は無い物の顔は腫れて、体にも痣が出来ていた。
一人ずつヒールと唱えてハイヒールを掛けて行った。
女性達を犯される前の状態に戻す為だ。
「だってさ~家族皆殺しにされた上に孕ませられたとか、
シャレに成んないよね~俺なら普通に死ねる」
勿論皆には内緒である。
「ヒール、ムニャムニャ~」
「ムニャムニャ~って何ですの~」
「あ、うん、避妊の呪文だよ~」
シドニーさん達の事が有ったので、
如何やって妊娠はしないよ~って、
安心させられるか考えた結果、
オリジナルの避妊魔法のスキルにする事にした
だって、ハイヒールが
使えるとは言えないからね~命が危ない。
其の事を女性達に伝えると、泣きながら聖者様と言われた。
其の女性達の一人が、懺悔して来た。
な、何と助けに来た兵隊に強要されて
蹂躙されたと言って泣いて居るのだ。
モモタロウの形相が変わり血管を浮かせて、
ユンケル隊長を見ると、
ユンケル隊長は、後ろに飛びずさり
見事にジャンピング土下座を決めた。
「も、申し訳御座らん~!!その様な不埒者が居ったとは~」
ユンケルは直ぐに昨夜討伐に向かった兵隊70人を集めると、
陰から女性に面通しを行い5人を逮捕すると、
魔道具を使って、犯罪を確定させた。
魔道具は街に入る時に使う魔道具で、
犯罪者の罪が分かるものだ。
其の魔道具に強姦と言う文字が浮き出た。
他の兵隊も其の後一緒に調べられたが、
犯罪を犯したのは其の5人だけであった。
調べている間、ちっぱい師匠の腕がプルプル震えて居た。
直ぐに全軍が集められると、街の人々も集まって来た。
ユンケル隊長が大きな声で、5人の罪状を叫んで、
如何に其の5人が許されない罪を犯したのかを述べた後、
隊長自らの手で5人の首を跳ねた。すると、
街の人々から大歓声が上がった。帝国万歳と、
「ユンケル隊長、此の国では強姦は死刑なの?」
「重い罪ですが死刑では有りません。
しかし軍規は別です。私達は武力集団です。使い方を誤れば、
民を不幸にしてしまう、私達は民の剣であり、盾なのです。
女帝様の意向でも有ります。
女帝様の顔に泥を塗る様な行為は許されません。
例えどんな高官であってもです。
厳然として我々には鉄の軍規が有るのです。
民に対しての不当な暴力行為は即決裁判の後、打ち首です」
「いや、其処まで厳しく無くても」
「いいえ、私達は帝国民の税金で雇われて居るのです。
其の雇い主を蹂躙する等、
言語道断!八つ裂きにしたい位です。
ましてや敬愛する女帝様の顔に泥を塗ったのです。
打ち首と成るのは当たり前で有ります。
蹂躙された女性に何と詫びたら良いのか、
申し開き様も有りません」
すると、近くに居た女性が、土下座をして、
「頭を上げて下せい隊長様~
兵隊さんには命を救って頂きました。
だから、おら、
蹂躙される位は仕方無いんだと思って居ました。
だども、聖者様にはおらの汚れた心を聞いて貰いたくて、
懺悔させて貰いましただ。隊長さんは悪くないだ~
悪いのはおらだ~申し訳ありません~申し訳ありません~」
ユンケルさんは、泣きじゃくる村娘の手を握り、
「何を申す、娘子よ~被害者の君に何の罪が有ろうか!
悪いのは兵の指揮をとり切れなかった私なのだ。
本当に申し訳ない!」
「頭を上げて下さい。隊長様~おら、
おら如何して良いか分かんないだ~」
呆然とそのやり取りを見て居るモモタロウに、
貰い泣きして居るエレンが、
「モモちゃん、都会から離れる程、
情報の少ない村々では、
人々は純粋ですの、学校も無いし、
文字の読み書きも教会位でしか習え無いの、
都会の情報も定期的に来る商人からですのよ、
其れに女性が多いので、
皆、女神様を信じて女帝様を崇め、
牧師様や兵隊を尊敬して居るの、私くし達と違って、
とても純真なの、傷付いた此の娘達の明日の為に、
何か一言、言ってあげて、聖者様。うふふふふ・・・・」
モモタロウは土下座して居る女性の元に行き、
両膝を付けると、女性の手を取り、
「皆さん本当に辛い目に会いましたね」
「も、勿体無い、おら生き残りました。
おっ父も、おっ母も、あ兄様、弟も皆、殺されました。
けんど、おらまだ生きて居ますだ、蹂躙されはしましたけんど、
生き残る事が出来ましただ。
おら、此れから行く修道院の皆様の役に立てる様に、
必死で働いて行きますだ」
「そうですね、一生懸命に働いて居れば、
辛い記憶も少しは紛れるでしょう。
修道院には恐らく色んな境遇の人達が来るでしょう。
其の人達の心を支える様な強い人と成って下さい。
其の為にも良く働き、
良く学んで強い心を育ててくれると嬉しいです」
「はい、はい、聖者様。おら、頑張りますだ。
おら、農家の娘で畑には詳しいです。
其処から役に立ちたいですだ」
「皆さんも辛いでしょうが頑張って下さい」
「女性達はい!頑張りますだ」女性達
此の世界の女性達のメンタルは強い。
何度挫けても命さえ有れば、必ず立ち直って行く、
死が隣り合わせの世界の為なのであろう、
男が少ない為でもあろう、
男に対しても同じだ、肉食系女子が殆どで、
逆ナンは当たり前、
気に入った男の前だと平然と素っ裸に成ったりする。
女性にとって男女の関係が出来るのは
バッチ来いなのだ。一夫多妻だしね~
貴族は貴族同士でしか婚姻は出来ない。
平民の女性が入ると、不利に成るからね~まあ、
裏道は有るのだけれどね、
平民でも貴族の養子に成って、貴族と結婚出来るからね、
其れにはお金も掛かるのであまりしない様だけれどね、
モモタロウはユンケル隊長に帰りに寄る事を約束すると、
ナゴの街を後にした。
「モモちゃん、とんだ寄り道に成って仕舞いましたね、
二日は遅れて仕舞いましたわね」
「良いんじゃね、見て見ぬふりは出来ないしね、
二日って言うか、
帰りにはローソン侯爵領に行くんですけれど、
皆は先に帝都に帰る?」
「皆面白そうだから一緒に行く~」皆
「おいおい、遺体の護送だぞ~
面白いは不謹慎じゃ無いか?」
「皆御免なさ~い」皆
「分かってんのかね~本当に」
「まあ、良いんじゃ無いかのう、
帰ったら儂が許可申請して置くぞい」
「学院長有難うって、爺臭い幼女だな~」
「うむ、妾も許可するぞモモよ」
「えっ、ちっぱい師匠の許可っていんの?」
「皆さあ?」皆
「皆適当だな~」
湖に続く深い森で一泊した後、
次の日の昼前にドサン湖の畔に辿り着いた。
モモタロウは土魔法で木々をストージに仕舞って、
更地を作ると整地して、
ストレージから、砦風仮住い改を出すと一旦中に入った。
砦風仮住い改は仮住まいの強化版で、
大人数を収容する事が出来るのだ。
今回のキャンプは既に50人を超えて居るのだ。
建物は石造りの2階建てで、大きな食堂、厨房、風呂に、
幾つかの大部屋だ。ちょっとした旅館だね、
更に外側は、石壁で囲んで有り、
モンスターの襲来にも備えている。
勿論庭もある。
大人数でバーベキューパーティーが出来る位には広い、
昼ご飯は、庭でカレーライスを作った。
キャンプにカレーライスは外せ無いよね!
「ご主人様」
「うん?何ですか?カンウ」
「はい、昼ごはんの後、
私達は湖に食材を釣りに行こうかと」
「おっ、良いね~俺も行きたい」
「モモちゃん一人ずるいですわ、
私くしも行きたいですわ」
「うん、良いよ~で、釣り道具は?」
「はっ、カンシンに頼んで、
既にママゾンから購入済みで御座います」
「良し!じゃあ誰が一番大きいのを沢山釣れるか競争だね」
「妾も混ぜるのじゃ~」
「我も~」
「私も~」
「カンシン大丈夫~?」
「ご主人様お任せ有れ!」
「うん任したよ~で、何が釣れるの?イワナ?」
「モモちゃん何を言って居ますの、
ドサン湖は有名な釣りスポットですのよ
獲物はずばりエンペラーサーモンですわ」
「おお~!何かデカくて旨そうな名前だね~
メーター級も夢ではない?」
メイド長のコウメイと、メイド達がやって来て、
「ではご主人様、私達メイドは
山菜とキノコと沢蟹を獲って来ますね」
「おう、任せた」
「メイドは~い」メイド
と言う事で、釣り組は屋敷の警備組とエレン、
師匠、学院長、先生、モモタロウだ。
ドサン湖の畔に着くと、
「じゃあカンウ、釣り道具を出して~」
「はっ、承知致しました」
≪どさどさ~≫
「えっ、何此れ、マグロやカジキを釣る様なぶっ太い竿や、
デッカイリール?糸太っと~餌はマンテスノ肉~?
ね~カンウ~エンペラーサーモンって大きいの?」
「いえ、モンスターフィッシュとしては中型?
いや、小型の部類に入るのでしょうか?」
「どの位の大きさなの?」
「はい、大きい物で4メートル位ですね、
後、外道に鬼イワナと、キラーナマズが居ますが何方も、
6メートルを超えて人を襲うので注意が必要です」
「湖で泳いだら?」
「はあ?もって5分でしょうか」
「で、如何成るの?」
「食べられます」
「・・・・・・・・」
「あでもエンペラーサーモンは昆虫食なので、
たまに外道が掛かりますが、
エレン様も居ますので大丈夫ですよ」
「何でエレン?」
「はい、モンスターフィッシュは雷に弱いので、
魚が掛かったら浮かせて雷を落とします。
そうしたら気絶してしまいますので、その間に陸に上げて」
「上げて?」
「〆ます」
「直ぐに〆るの?」
「はい、意識が戻ったら暴れて危険ですからね~」
「本マグロ漁なんかでは掛かったマグロに
電気ショックを与えて、
気絶させて釣り上げると言う様なのが有った様な」
釣りの方は入れ食いだった。
雷を使える魔法使いが居ないと
釣りが出来ないと言う事も有って、
漁が出来る者が限定されて居る為だとか、
ナイロンの糸が電気を通したので、モモタロウも、
魚を釣り上げる事が出来た。
3回ほど湖に引きずり込まれたが、
カンウに引っ張り上げて貰い事無きを得ていた。
何度か意識が戻った魚に食べられ掛けては居たが、
って言うか食べられていた。
その都度カンウに引っ張り出されて居た。
シールド結界が体に張られているので、
怪我などはしなかったが
ナマズの口から引き出された
モモタロウはナマズを見乍ら、
「あ~怖かった。
でもこのナマズ如何見てもアンコウだよね~」
ナマズを湖に捨て様とするカンウを引き留めて、
ナマズを鑑定すると、極上食材と、出て居た。
「やった~アンコウ鍋だ~!」
「はい?こんな気持ちの悪い魚を食べるのですか?」
「何言ってんのカンウ此れ、
極上食材だよ~此れから寒くなるし、
鍋にしたら最高じゃん~温まるよ~
顔の醜い魚ってのは無茶苦茶美味しいんだよね~」
「そんなもんですかね~」
「そんなもんですよ~」
日暮れ前に釣りは終わり、回りの景色を見て見ると、
真っ赤な夕焼けに、紅葉が真っ赤に染まって居た。
釣果も素晴らしく、大量だ。
「美しい夕焼けだね~」
「ええ、紅葉に染まって居る景色が、更に赤みを帯びて、
幻想的で素敵ですわね~」
暫し、モモタロウ達は紅葉に染まる湖の美しい景色を、
只呆然と眺めて居るのだった。