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-132話ー 盗賊討伐 其の後 2


翌朝、朝食を取った後、


一路ナゴの街に向けて出発した。


モモタロウ達のキャラバンは大人数の為に


宿屋に泊まる事も出来ないので、


本来は、スルーする予定であったのだが、


モモタロウの持って居る仮家の方が豪華だったりする。



昼前にはナゴの街に着いた。


ナゴの街はドサン湖を覆う深い森に隣接して居る為に、


魔物が多いので有ろう、


市壁は10メートルに及ぶ高さで有った。


市壁門には商人などは居らず、


門を閉ざして兵が配置されて厳戒態勢を取って居た。


モモタロウ一行は市壁門に到着すると、



「モモちゃん此処は


グランドマスターである私が行きますね」



「了解!」



帝都の冒険者ギルドのグランドマスターである


ペチカさんが番兵の所に行き、


ギルドカードを渡すと、番兵は大急ぎで門の中に、


暫くすると、騎士風の男性が出て来た。



男性はペチカさんと暫く話をすると、門を開きモモタロウ達を、


中に招き入れた。


モモタロウ達は門前町に入り、馬車を止めて全員が降りると、



「代表者は何方か?」



「皆モモちゃんで~すっ」皆



「俺かよ!」



「貴方がキャラバンの代表者ですか、


私は守備隊長のユンケルと申す。


大方の話はグランドマスターからお聞きいたしました。


盗賊共の死体をお持ちだとか、


此処に出しては頂けますまいか?」



「俺は魔法学院の生徒でモモタロウと言います。


死体は引き渡しますが、門前町が血で汚れますので、


筵を引いて頂けますか?


何せ120人分ですので場所を取ります」



「承知致しました」



守備隊長の号令で、番兵たちが筵を敷き始めた。


人数が人数なので、


陸上のトラック並みの広さに成って仕舞う。



「ユンケルさん、申し訳無いのですが、


この娘達を守る為に


亡くなった40人の騎士達の棺を


用意して頂けませんか?」



「何と!姫の為に一身を犠牲にする!


騎士の鏡では御座らんか!」



と、又兵を呼ぶと、筵を綺麗に敷いて行った。


モモタロウは先ず盗賊の死体120体をボンと筵の上に出すと、


次に亡くなった遺体を一人ずつ丁寧に筵に寝かせて行った。



と、盗賊の死体に街の人々が集まり、


殴る蹴るの暴行を行い始めた。


其れとは別に、女性達が騎士の周りに集まって、


血で汚れた体を綺麗に拭き始めた。



綺麗に成った遺体に少女たちが集って、


花を捧げている。


女性達、後から駆け付けた牧師が、


勇敢に戦って亡くなった騎士に、


祈りを捧げて涙して居た。少し落ち着くと、


兵達が街の人達を死体から遠ざけ、


魔道具を使って首を改めて、


帳簿に書いて行った。



輿入れに来たシドニーさん達は馬車から、


空の長持ちを降ろすと、


名札を付けて、鎧と、武具、遺品を其々詰めて行った。


皆、泣いて居る。特に同僚で有った女騎士の、


レノアさん、フローラさんは、


号泣して居た。



「シドニーさん遺品を国に送るのですか?」



「はい、其々の家族への


詫び状を添えて葬儀が済み次第、


父上への手紙と共に冒険者ギルドを通じて


国に送りたいと思って居ります。


騎士達の御家族、侍女達の御家族に対して


申し訳ない気持ちで一杯で御座います」



「侍女お妃衣様!勿体無いお言葉で御座います」侍女



「モモタロウ殿、お妃衣様って凄い家柄だとか?」



「はあ、何かローソン侯爵家だって~」



「何と、地方の王族並では御座らんか~」



「そうなの?」



貰い泣きして居るエレンが、



「帝国の国土は広大ですからね、


侯爵家の領地は小国の国土に匹敵致しますわ。


オロロ~ン!オロロ~ン!オロロ~ン!」



「ハクショ〇大魔王かよ!」



「で、モモタロウ殿、我々は此の後、


盗賊共が根城にして居る村に攻め込みますので、


明日また来て頂けますか?」



「其れは良いのですが、


盗賊団の規模等分かって居るのですか?」



「はい、斥候による報告だと、


総勢130人で御座います。


120人を既に討って居るので、


残りは留守番の10人程度で御座いましょう。


この街の守備兵が100人なので、


籠城して帝都に応援を呼んで居りますが、


今暫くは掛かりそうですので、



盗賊の兵の配置や、見張りの様子などで、


素人ではない事は分かって居りました。


しかし、残り10人程度であれば、


今夜、夜襲を掛けたいと思います。


奴ら近隣の村々を襲い、キャラバンを壊滅させて、



男は皆殺し、女は攫うで、好き放題に振舞って居ります。


此の街にも多大の被害が出て居りました。


人数的にも負ける公算が大きい為、籠城して居りましたが、


此れで、仕返しが出来ます。見て居ろよ~」



「国外から来ている奴らだから、


ほんと好き放題やって来た訳だ。


しかし、此れだけ罪を重ねると、


街には入れないのでは?」



「入れません、だからこその傭兵です。


奴らは対人戦のプロで、


一たび戦争や、領主間の紛争が起こるとやって来ます。


武勲を上げる事で、罪を赦免されるのです。



けれど又同じことを繰り返す訳ですが、


戦闘集団としては一流な為に、


どの国も手を焼いて居るのが実情でしょうか。


そいつらが盗賊に成ると


守備隊程度では太刀打ち出来ませんね」



「う~ん、男の数が圧倒的に少ない此の世では、


上手く立ち回れば地方貴族位には成れそうですけどね~」



「あいつら基本的にバカですからね~


金品は奪うもの、女は蹂躙す物だと思って居るのでしょう」



「何かゴブリンやオーク並みのおつむですね~」



「だから盗賊は生け捕りでは無く


殺す事を帝国では推奨する訳です。


賞金も出ますし、賞金首が居れば高く成ります。


まあ、素材は取れませんけれどね~」



守備隊長のユンケルさんが、盗賊の死体の方へ行くと、


棺桶を乗せた馬車がやって来た。



「此の度はとんだ事で、ご愁傷様です。


私、葬儀屋のタンゲと申します」



「ご苦労様です。で、棺の方は有りますか?」




「此の数は・・・・はい無理です。3日は掛かります」



「じゃあ此れは?」



「有るやつ搔き集めて来ました」



「んじゃ、一番いい奴頂戴」



「はい、此れに成ります」



大理石で出来た立派な棺で、土に埋める物ではなく、


其のまま墓地に置く物であった。



「おいくら?」



「金貨2枚です」



「はい、買います。」



「毎度~」



モモタロウは棺をストレージに納めると、


シドニーさんに家紋の入ったペナントを


一つ貰ってストレージに、



亡くなった騎士の前へ行き、



「シドニーさん彼の名は?年は?」



「はい、彼はポテー、アイダホ、


アイダホ騎士爵家の四男で、25才です」



「はい分かりました」



ストレージから石棺を出すと、ローソン家の家紋と、


名前、年齢、没年、更には、


シドニー、ローソン姫を守り命の限り戦い抜いて、


姫を守りし勇者此処に眠る。と彫られて居た。



そして、死者には、ストレージ内で作ったローソン家の旗で、


身を包んで棺に納めストレージに入れた。


其れを40人分繰り返した。


シドニーさんは、


真っ赤に腫らした目でモモタロウを見つめると、



「モモタロウ様、


私くしの家臣の為に過分な措置をして頂き、


心よりお礼申し上げます。心残りが有るとすれば、


騎士達を故郷の地で眠らせて上げたい・・・・うっ・・・・」



と、泣き崩れるシドニーさん、



「そお?俺達冒険者だから、依頼されれば届けるよ


只、此れからドサン湖の畔で合宿が有るから


其れが終わってからだけれどね」



「はい、嬉しいです」



「じゃあ、取り敢えず冒険者ギルドへ行きますか」



「皆は~い」皆



ナゴの街の冒険者ギルドに着くと、


グランドマスターのペチカさんが話をしてくれて、


シドニーさんと、お付きの人達は各家への手紙と、



亡くなった騎士達の遺品を


お詫びの手紙を添えて送るようにした。


まだ、街は戒厳令が解けて居無いので、


後日出発と成る様だ。


モモタロウ達はユンケル隊長の所へ行って、



「俺達人数が多いんで、街の外で野営しますんで~」



「いや、教会を開放して貰うので、


今夜は其処で泊まって下さい」



「俺達修行中の身なので、


気持ちだけ頂いて置きますよ、んじゃ又明日」



と、街の外に出て、


暫く行った所で、砦風仮住い改を出すと、


皆で入って行った。



「カンウ馬車と馬を宜しくね~」



「はっ!行くぞチョウヒ、チョウウン、


バタイ、リュウビ、シュウユ、ハットリ君、」



「「「「「「はっ!」」」」」」



「先ず女子からお風呂に入って来て~」



「女子は~い」女子



「さて、晩御飯は如何しようかね~え~っと、


昨日は豚バラ炒めだったよね~


じゃあ今夜は~皆大好きワラジハンバーグ定食にするかね~


先ずはご飯を炊いてっと、300グラムの冷凍ハンバーグを、



ママゾンで購入、キャベツにレタス、


ピーマンにニンジン、玉ねぎで、


真ん中に乗せるポテトサラダっと、


ドレッシングをかけて出来上がり、


サラダを作りながら、


ハンバーグをどんどん焼いて行くよ~



人数が多いから大変だ~ハンバーグが出来たら


目玉焼きを乗せてっと


デザートは如何しようかな~


今日はバケツプリンの


プリンアラモードにしますか~



後は今夜のお酒だね~ビールにウイスキーに


酎ハイッと~


お摘まみの、チーズと、サラミ、柿の種~」



女子達が上がって来たので、


男子達が入れ替わりに風呂に行っている間に、


晩御飯の用意をして貰って、男子が風呂から上がって来たら~



「皆頂きま~すっ!」皆



「!!!」



「シドニーさん如何?美味しい?」



「はい、初めてです。こんなに美味しい食事は、


昨晩は美味しいとは思いましたが、


余り味はしませんでしたので、


お父様は美食家でも有りますが、


次元が違います!」



「侍女美味しいで~す」侍女



「あっと、其れと、


うちはメイド達と一緒にご飯を食べるので、


そこん所宜しくね~」



「シドニー、侍女は~い」シドニー、侍女



「シドニー、侍女モモ様~私達も雇って~」シドニー、侍女



「はい、良いですよ~後の事は、カンシンと相談してね~


俺んちの執事ですから~」



「シドニー、侍女カンシン様~宜しくお願いしま~す」シドニー、侍女



「此方こそ宜しくお願い致します」



「シドニー、侍女は~い」シドニー、侍女



食後のデザートが出ると又、大変だった。


皆が酒盛りを始めた頃、モモタロウが一っ風呂浴びに行くと、


其の後をシドニーが付いて行った。



「よう、エレン~良いのかにゃお姫さんが、


モモの後を付いて居ったにゃ~こりゃ~元気一発にゃ~」



「ふんバカネコ、


モモちゃんが其れ位で落ちる訳有りませんわ、


そんなんで落ちるなら、私くし苦労はして居ませんわ、


まあ、今日は特別ですわね・・・・」



「プッハ~良い湯だね~一日の疲れが取れるわ~」



<ガラガラ>



「あの、モモ様、お背中を流しに来てしまいました。


ご迷惑で御座いましょうか?」



「いいや、迷惑じゃ無いよ、其処じゃ寒いでしょう、


もう、冬も近いしね、掛湯して入っておいで」



「はい、では、お言葉に甘えまして」



<ザ、ザ~>



「では、失礼いたしますね」



<ちゃぷ>



「ふ~でも、不思議ですね、


此の様な大きなお屋敷が入ってしまう、


アイテムボックス何て聞いた事が無いですよ」



「まあ、うちの家族に成る


シドニーさんだから言っちゃうけど、この能力は、


ストレージって言って無限収納プラス時間ストップの、


ユニークスキルなんだよね、あ、此れ他言無用で」



「はい、他言無用ですね、私くし墓に迄持って行きますわ!


モモ様が秘密を話して下さって私くし嬉しいです。けれど、


私くしは女としての魅力が無いのでしょうか?



其れとも、盗賊に蹂躙されて汚れているからでしょうか?


其れとも、エレン様に操を立てて居るのでしょうか?


此れでも、殿方の前で裸に成るのはとても勇気が行ったのですよ」



「全部違いますね、ほれ湯の中を見て」



「あら、まあ、こんなに・・・・ぽっ」



「シドニーさんは知性的でとても綺麗だし、


エレンにだって負けて居ませんよ、


でもダメなんです。怖いんです。


皆、優しいのは分かって居るんですけれど、


俺、へたれで、怖くて怖くて仕方無いんです。


あれ?涙が止まんないや」



ぽろぽろと涙があふれて来る。


シドニーさんはモモタロウの顔を抱き締めると、



「大丈夫、大丈夫ですよ、私くしがきっと・・・・


だからモモ様、泣かないで下さいな」



モモタロウは暫く泣いて、落ち着いて来ると、



「ハハ、見っとも無い所を見せて仕舞いましたね、


すいません。


俺の秘密を知って居るのは、


魂の繋がる奴隷契約を結んでいるメイド達と、


主従契約を結んでいるエレンだけです」



「皆さん魂が繋がって居るのですか?」



「はい、一生もんなのですが」



「羨ましいです。


私くしとも主従契約を結んで頂けないでしょうか?


なんなら奴隷契約でも構いません」



「えっ!一生もんですよ?」



「はい、構いません、出来れば主の方で」



「其処は主なんだ~流石大貴族エレンと一緒だ~」



「モモ様は何だか弟の様で、可愛いので下は凶暴ですが」



「うん、ではモモタロウを弟分として認めますか?」



「はい、認めます」



シドニーさんの体が薄ぼんやりと輝き出した。



「あの~モモ様、頭の中にリリー様と言う方が


挨拶して居るんですけれど~?」



「はい、リリーは俺の相棒の、大賢者です。


此れから分からない事が有ったら色々な事を


リリーに聞いて下さいね」



此の後、モモタロウはシドニーさんに体を洗って貰い、


夢見心地のバスタイムを過ごすのであった。



「あ~何時も獅子丸君を丁寧に洗うんだよな~」

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