-128話ー 報告
俺達は、ギルド本部で、
ウォーマンティスの素材の引き渡しと、
中級ダンジョンでの討伐報酬の支払いを受けた後、
南街の冒険者ギルドへやって来た。
「ギルド本部と違って、此方はガラガラだね~」
「そうですわね~帝都の主な冒険者は皆
討伐に参加して居ますし、
初級の冒険者も、後方支援などで雇われていたそうですわ、
此方の冒険者も報酬を受け取りに
ギルド本部へ行って居るのでは無くて?」
「ふ~ん、そうなんだ~」
ギルドのカウンターに行くと、
ギルマスのエニーさんが居た。
「あらモモちゃんいらっしゃい、待つていたわ」
「エニーさん他の受付の方は?」
「はい、本部の応援に出かけて居ますよ、
ではモモちゃん裏に回ってくれるかしら」
「は~い」
俺は裏の解体場へ行くとストレージから、
初級ダンジョンで狩った獲物を、
ドバ~ッと出した。
「こ、此れは又凄い量ですね、直ぐには計算しきれないですよ」
付いて来た解体所の責任者も、
「此奴は、今すぐに結果は出せないな~
三日は掛かると思って居て呉れるかい?」
「俺は良いけれど、皆は?」
「皆良いよ~美味しいご飯が食べられるし~」皆
「此奴ら清算済むまで俺ん家に、居座るつもりだよ~」
「皆は~い、メイドさんが世話をしてくれるしね~」皆
「まあ、良いけどさ~」
「ん?モモちゃん何か忘れて居ませんか?」
「ん?エレン何?」
「そうですわね~何か忘れて居る様な?」
「ん~何かね~・・・・
ああ、そう言えば学院に報告に行って無いわ~」
「あら、そうですわね~其れと、
医務室にも行かなくてはですわ~」
「そうだね~討伐期間長かったし、すっかり忘れて居たよ~
帰りに寄るかね~で、先生気付かなかったの?」
「私もすっかり忘れて居ました。
そう言えば私、先生でしたね~」
「此の人自分が先生だって忘れて居るよ~
此れで良いのかよ~」
「まあ、失業しても
懐は温かいですから~ほほほほ・・・・」
「本当にしょうがない先生だよ~
そんじゃあエニーさん、此れから俺達、
魔法学院に報告に行くので、
四日後に又来ますね」
「はい了解しました。では四日後に」
此の後、魔法学院に行って事務所に報告に行くと、
「お局様~報告に来ました~」
「お局様言うな~って、モモタロウさん久し振りですね、
初級ダンジョンで死んだのかと思って居ましたよ」
「死んでねぇよ!初級ダンジョンでの遠征授業の後、
中級ダンジョンのウォーマンティス討伐に、巻き込まれて、
今日やっと報告に来れたんですよ」
「あら、まあそうなの?じゃあ討伐報酬でお金持ちね、
じゃあ、2か月分の授業料払って」
「おお~流石お局様!金にさとい!」
皆は白金貨しか持って居無いので、
又今度と言う事で話が付いた。
俺達は既に6か月分の
授業料を入学の時に納めて居るのだ。
「そうそうマドカ先生、学院長が、
帰って来たら学院長室に来る様に言って居ましたよ、
何だか大声でクビじゃ~って言って叫んで居ましたので、
直ぐに行った方が身のためですよ」
「何ですと~!!」
と、叫ぶや否や直ぐに事務室を飛び出して行った。
「じゃあお局様、俺達此れから医務室に
行かなくては成らないので、
失礼しますね」
「お局様言うな~何やら
保健室も大変な事に成って居る様ですので、
早く行ってあげて下さいな」
「は~い」
俺達が保健室に行くと保険医のアカシヤ先生が泣き崩れた。
「モモタロウ君、モモタロウ君、
モモタロウ君~生きて居たのね~ッ!
良かった~良かったよ~!」
「おお!こんなに俺の事を心配して居てくれるとは~
モモちゃん感激~!」
「モモタロウ君~怪我人で一杯なの~助けて頂戴~!」
「俺の身が心配で、泣いて居たんじゃ無いのかよ~!」
「忙しくって、まともにご飯も食べて無いのよ~
もうずっとパンツも履き替えて居無いの~凄い匂いだよ~
そっちの趣味の人に高額で売れる位なのよ~助けて~!」
「俺の感激を返せ~っ!」
俺はストレージから、替えの下着と服、そして、
出来合いのかつ丼定食を手渡すと、
「有難う~有難う~
私の使用済みのハイレベルのパンツをあげるよ~」
「要らね~よっ!」
アカシヤ先生は人目も憚らずに着替えると、
がつ、がつとかつ丼を食べ始めた。
周りを見てみると、怪我人がベットに収まり切れずに、
床にも寝かされて居り、皆女生徒だ。
「何人居るんだよ~!エリアヒール~!」
と怪我人達の体が輝き出して、怪我が治って行った。
怪我の治った20人程の生徒達が一斉に俺の周りに集まると、
「怪我人 お腹減った~!!」怪我人
「はいはい、分かりました~」
かつ丼を手渡して行った。
「怪我人 パンツも~」怪我人
「はい、はい、下着と服ね、はいどうぞ」
と、下着と服も配ると、
「怪我人 モモタロウ様、有難う!」怪我人
と、言って着替えて、
使用済みのパンツを俺の前に積み上げたのだった。
「あらあら、まあまあ、
モモちゃんの変態さん!良かったですわね」
「で~っ!違~う!!」
「あ~っ美味しかった!
モモちゃん有難う!やっと落ち着いたわ」
「で、アカシヤ先生、
何でこんなに怪我人が溜まって居るの?」
「ア はい、実はモモちゃんが
初級ダンジョンに行っている間に、
ある男を巡っての大きな抗争が有ってね、
其れがエスカレートして、大乱闘が起こったのよ、
大怪我をした女生徒が続出したのよ、
男はさっさと逃げ出すし本当に困ったもんだわ」ア
「え~っそうなの~抗争って何処の国のギャングだよ!
逃げ出すような男に入れ込むなんて、皆バカだね~」
「怪我人 あんなクズ男に最早興味は有りませ~ん!
モモタロウ様に首ったけで~すっ!!」怪我人
「此れはいかん!!おい、男の娘ちょっとこっちに来い!」
「オ なぁに~モモタロウ君~」オ
「おい、お前達~!俺の恋人は此奴だ~!!」
「怪我人 が~~ん!モモタロウ様が・・・・
変態だったなんて、わ~~ん!!」怪我人
と、怪我人達は泣き乍ら保健室を飛び出して行った。
「オ モモタロウ君、
ボクの事を好きだったんだね、嬉しいなボク」オ
「エ モモちゃん、
私くしになびかないと思ったら、やっぱり・・・・」エ
「違~~うっ!こら、男の娘、抱き付くんじゃ無い!」
「エ モモタロウ君、やはり君は僕と同じだったんだね!」エ
「変態エルフ!一緒にすんな!」
「ネ モモおみゃ~そっち側のにゃんげんだったのにゃ」ネ
「ウ 玉の輿に乗れなかったぴょん」ウ
「って~お前ら王女だろうが~
プリンセスが玉の腰って何なんだ~!」
「ネ えっへん!獣人族の国なんて、貧乏にゃのにゃ!」ネ
「ウ 殆どの獣人族の国は狩りが主要産業で貧乏だぴょん」ウ
「お姫様の意味ね~!此れは、
この場を切り抜ける方便だ~っ!」
モモタロウは、自分の名誉と引き換えに、
我が身を守ったのだった。
「ア で、モモちゃん」ア
「何なんです、アカシヤ先生?」
「ア 貴方の家、大きなお風呂が有るそうじゃ無い?
私も今晩泊めてくれるかしら?」ア
「先生の家、風呂無いの?」
「ア 学生寮なのだけれど、お風呂なんて無いわよ、
お湯で体を拭くんだけれど、もう冬じゃない?
とても寒いのよ、お願い泊めて頂戴」ア
「まあ、良いですけれど」
「ア 有難う、私を味方に付けて置くと良いわよ、
モモちゃんの評価、良にして置くわね!」ア
「賄賂じゃね~か魔法学院、良いのか其れで!」
「ア 良いのよ、どの道良だし~」ア
此の後、屋敷に帰ると暫くして、
学院からマドカ先生が戻って来た。
「マ 酷いわ~モモちゃん置いてけぼりにするなんて~」マ
「ああ、はい、すっかり忘れてましたよ~」
「マ 忘れていたなんて薄情ですね~もう、
学長室に呼び出されてから、大変だったんですよ、
其れはもう学長がカンカンに怒ってしまって、
其れはもう長い間、説教を喰らったんですから」マ
「いやいや、其れはマドカ先生が勝手に屋外授業とか言って、
初級ダンジョン討伐実習とかで、
学院を休んだのが原因でしょう?」
「マ いえ、出席扱いですよ、
其れに中級ダンジョンでのウォーマンティスの討伐で、
活躍して学園の名声を高めたので、
今回の一件は不問に成りました・・・・
良かった~首の皮一枚で繋がりましたわ」マ
「まあ、其れは良いから早く風呂に入って来て下さい。
皆もう風呂に入って居ますよ」
「マ は~い」マ
皆、風呂に行っている間に夕食の用意をして居た。
皆で晩御飯を食べて、
酒盛りをしている間に俺も一風呂浴びて、
「あ~あ、今日も忙しかったわ~
明日からやっと通常生活だな~
まだまだ屋敷は賑やかだけれどね」
『リ さあ、そう上手く居くっスかね~』リ
「リリー何で?」
『リ 何となくっス』リ
「そんなもんかね~」
『リ そんなもんっスね~』リ
翌朝から馬車での通学と成った。早朝から貧乏貴族達が、
娘を嫁にと毎朝、居座って居る為である。
馬車の幌の隙間から、娘を連れて居る貴族達が見えるのだが、
「何か、昨日より連れて来て居る娘の容姿変わって居ない?」
「エ そうですわね、流石に売れ残りの娘では、
話に成らないと気付いたのでしょうか?」エ
「ネ そうにゃ、モモの周りの娘達は美人ばかりにゃ」ネ
「ウ でも、何だか男っぽい娘ばかりだぴょん。」ウ
「モモちゃんが、
男の娘にコクったのが広まったのですかね?」
「昨日の今日だよ?まさかね~?」
「エ いやいや、モモちゃん貴族の
情報の速さを侮っては成りませんわ、
そんな話の広がり方は光よりも早いのですわ」エ
「貴族、怖ぇ~!」
馬車は俺達を送ると、一度屋敷に帰って下校の時に又、
迎えに来てくれるのだ。
そして急ぎの時は、念話で来てもらう事も出来る。
登校すると、何やら女生徒がひそひそ話をして居る。
「ねえねえ、聞いた?あのモモタロウって、
オカマらしいわよ、」
「まあ怖いわね、ショタ顔で割と好みだったんだけれど、
おかまじゃあね~」
「私は保健室で、何週間も入院して居た
娘達に新しい下着を配って、
履き古した下着を回収して居たって聞いて居るわ。
きっと家に帰って匂いを嗅いで、頭に被って居るのね!」
「えっ、新しい下着って何時も持ち歩いて居るの?」
「きゃ~筋金入りの変態じゃない!」
「陰口 変態っ!変態っ!変態っ!変態っ!・・・・・・・・」陰口
「エレン、あの娘達俺を見て何をコソコソ話してるの?」
「聞かない方が良いですわ、
知らないと言う事も重要なのですわ」
と一人の女生徒が俺に向かって走り寄って来て、
「女生徒 あの、モモタロウ君、此れを使って」女生徒
と、何やら手製の木綿の巾着を手渡すと、
走り去って行った。
「何だろう此れ?」
巾着を開けて中の物を出すと、
使用済みのパンツが入って居た。
俺は気付かず其れを一瞬広げて、巾着に戻した。
「・・・・・・・・」
エレンが頭を抱えて、
「エ まああれですわ、
大勢の女生徒に言い寄られるよりはましですわ。」エ
他の皆は、お腹を抱えて笑いをこらえて居る。
「皆 ぷっ、くっ、くすっ、くっ・・・・・・・・」皆
そして、陰口を言って居た娘達が手を振りリズムを取り乍ら、
「陰口変態っ!変態っ!変態っ!変態っ!・・・・・・・・」陰口
モモタロウは、四つん這いに成って、さめざめと泣くのであった。