-126話ー 中級ダンジョン ウォーマンティス討伐 其の後
約2か月に渡る、ウォーマンティスの討伐を終えた
俺達約七千の軍は、
ダンジョンの出口に有る死闘を繰り広げた広場で、
バーベキューをして居た。
再度ダンジョンの入り口を大岩で塞ぐと、
3メートル位の通路を作って、
次の大量発生に備えて、鋼鉄製の頑丈な観音扉を付けて置いた。
宴会は丸二日目に突入して居り、兵士達は生きて帰れたことを、
互いに喜び合い、
ウォーマンティスを討伐出来た事を祝いあって居た。
「モモちゃ~ん、生きて帰れたよ~
此れも全部モモちゃんのお陰だからね~」
「ペチカさん、
お礼を言ってくれるのは有り難いんですけれど、
亡くなった人達の事は良いんですか?」
「そう、其れなんだけれどね、もう既に葬儀も済んで、
遺品も遺族の方々に渡って居るからね。
良いと言う訳では無いけれど、
私からも帝都での葬儀をして貰える様に
働き掛ける積りなんだ」
「そうですか、其れで、
遺族の方々が少しでも報われてくれるのであれば、
良いのですが」
脳筋の副隊長が俺達を見付けて駆け寄って来た。
「モモタロウ殿~ペチカ殿~大変で御座る~」
「「如何したの?脳筋副隊長~」」
「たった今帝都より使者が参ったのだが、帝都で今回、
我らの凱旋の知らせが届くと大騒ぎに成って、
待って居たらしいのだが、
何時まで経っても帰ってこないもんだから、
女帝様が、早よ帰ってこんか~いっ!!って
言って居るそうです!」
「や、やばっ!モモちゃん、明日には帝都に帰るわよ!」
「えっ、女帝様って怒るとやばい人?」
「はい、癇癪持ちです。今迄に何人も燃やされて居ます。
明日帰って、早速報告に上がりますよ」
「は~っ、大変なんだな~まあ、頑張って下さいね~」
「何を他人事みたいに、
総大将のモモちゃんが行かないで如何するんですか!」
「えっ、嫌だよ~大体、俺、
唯の冒険者でそんなに偉くは無いんだからね、
絶対に会えなんて言ったら、俺、
此の国から出て行くからね!」
「い、いや、帝国から出て行くのは勘弁して、お願い!
でも、今回の最大の戦功をあげて居るのだから、間違い無く、
貴族に叙勲されるわよ」
「貴族?義務が付くじゃん、絶対無理~帝国から出て行くわ、
お~い皆~帝国から出て行くから準備して~」
「皆は~いっ!」皆
「止めて~!お願い其れだけは勘弁して~何でもするから~」
「じゃあ、俺は行かないからね~」
「分かりました。女帝様には私から話を通しておくわ」
「流っ石グランドマスター、話が早いね!
いよっ、帝国一の美人エルフのペチカさん
カッコ良いよ~!」
「おだてるんじゃ無いわよ、命懸けなんだからね、
本当に!」
「御免なさい」
「まあ良いわ、目立ちたく無いのは良く分りましたから」
「もぐもぐ、弟子よお主も我がままじゃの~ごっくん!
うん、美味い!流石弟子!良い腕じゃのう」
「う~ん?・・・・・・・・誰?」
「妾じゃ、妾~もう忘れたのか~お主はもう~
砂漠で妾にご飯と、お風呂を提供してくれたでは無いか」
「ああ~!空飛ぶ師匠~!」
「空飛ぶ師匠って、まあ良い。
女帝の事は妾に任せて置くと良い」
「師匠、女帝様と知り合い?」
「おお~良く知って居るぞ!」
「じゃあ、お願いするわ~」
「おう、任せて置くのじゃ!」
と、無い胸を叩くのであった。
「う~ん?何処かで有った様な?」
「如何したのペチカさん?」
「うん、今の娘何処かであったのよね~
思い出せんけど~」
「「「わ~い、姉ちゃんボケが始まった~や~いっ」」」
「あんたらしばくよ!」
「「「きゃ~っ!姉ちゃんが怒った~」」」
「あかん、此奴ら完全に酔っぱらって居やがる!」
「で、師匠は何で此処に居んの?」
「うむ、何やら旨そうな物を食って居る様な、
予感がしての~」
「流石、師匠~食い物の感が凄い!」
「モモよ、そう褒めるでない、
それにしても獣人の従者ばかりじゃの~
お主、そっちの趣味が有るのか?ケモナー?アニマルラブ?」
「いえ、単に傷付いた奴隷を買ったのですが、
獣人が多かっただけですね」
「モモよ、其れは当たりかも知れぬぞ、
獣人は忠誠心が高いからの~」
「うん、俺もそう聞きましたよ」
「うむ、従者達よ我が弟子のモモは、お人好しじゃからの、
主が、悪者に騙されぬ様心を配るが良い」
「従者ははっ!ご主人様のお師匠様!」従者
「モモちゃん、師匠って事は此の娘が大賢者様?」
「いいえ、此の娘は飛行魔法を教えて呉れた、
ちっパイ師匠です」
「ちっパイは余計じゃ!!」
「お嬢ちゃん、私の妹の南街のギルマスの
エニーよりは有るからねっ、
まだこれから成長するだろうし、諦めないでね!」
「妾は此れでも15才じゃ!成人して居る。バカ者め!」
「うんうん、15ね、まだまだ成長期だから、
諦めないで!ファイト~!」
「う~ん、まあ良いモモよ、妾はもっと食べたいのじゃ」
「オ~ケ~、エレン~師匠にご飯~食べさせて~」
「は~いですわ~、
ちっパイ師匠様~此方にどうぞですわ~」
「ちっパイは余計じゃ!」
「で、師匠様~私くしにも飛行魔法を教えて欲しいのですわ~」
ちっパイ師匠はエレンを凝視すると、
「ほほう~モモに大分鍛えられた様じゃのう~
良い感じで魔力が体を巡って居るの」
「あら、良く分りましたね、もう10回は死にましたわ」
「エレンとやら、あの翼人を見て見よ、
彼女は如何やって飛ぶと思う?」
「えっと、前に聞いた時には、羽根に魔力を貯めて飛んで居ると、
言って居りましたわ」
「じゃあ、人だと何処に魔力を貯めると思うかの?」
「腕ですわね、そう思って魔力を貯めて見たのですけれど」
「腕力が上がっただけであったであろう?」
「はい、其の通りですわ」
「妾や、モモは天才じゃからの、人にその真似は出来ん、
其れに魔力も豊富じゃ、じゃからヒントをやろう」
「はいですわ」
「背中に羽を生やした気に成って、魔力を貯めるのじゃ、
先ずは其処からじゃの」
「ふむふむ、確かモモちゃんから聞いたわね、
魔力を体中に巡らせる様にっと、
そして背中に架空の羽根を作って、魔力を貯めるっと、
こんな感じかしら」
エレンの体がふわりと浮き上がった。
「あらあら、まあまあ、浮かびましたわ」
と、ストンと落ちた。
「もぐもぐ、中々筋が良いのう一発で浮かび上がるとはのう、
毎日その訓練をするが良い、
慣れてくれば飛べる様に成るであろう、もぐもぐ」
「はい、お師匠様そう致しますわ、有難う御座いますわ」
「うむ、良い良い、妾も感の良い娘は好きじゃからのう、
もぐもぐ」
「モモちゃん、飛べるの?」
「ペチカさん、内緒ですよ」
「上級魔法よ、凄いのね、
攻撃魔法が使えないのは惜しいわ」
「何じゃ、モモ、飛行魔法を隠して居るのか?」
「はあ、バレると厄介なもんで」
「うむ、まあそうじゃろうな」
「と言う事で、内緒でね」
「うむ、分かったぞよ」
此の日も遅く迄、食って、飲んで、
その辺で雑魚寝したのだった。
翌朝起きると、
ちっパイ師匠が俺のポンチョの中で丸く成って寝て居た。
まあ、俺の胸の上で、丸く成って寝て居て、
ネコみたいで可愛かった・・・・
「よだれこいてるよ~此のちっパイ師匠は~!汚ぇ~!」
「う、う~ん、お早う~パパ~ママ~」
「オマケに寝ぼけて居るし~」
「あ~~モモか~お早うなのじゃ~ふぁ~~っつ」
「あい、お早う御座います師匠、よだれ~」
「うん?うむ、じゅる~~っ」
「汚ぇ~」
「モモ~朝ご飯~~」
「はいはい、炭をおこして、焼きそばでも作るかね~」
と、俺が起きると、従者たちが起き出して準備を始めた。
ダンジョン内で散々やって来た事なので、
皆テキパキとして居る。
香ばしい、良い匂いがし出すと、皆が起き始めて、
其々準備を始める。そして誰かが大声で、
「さ~今日も食って、飲むわよ~」
「皆おお~~!!」皆
「だ~~っ!!ダメ~っ!今日は帝都に凱旋するんだからね~
食べて、片づけたら出発するよ~!!」
「皆ええ~~っ、ぶ~ぶ~!!」皆
「え~い!黙らっしゃい~!あんたら女帝様に燃やされるよ~」
「皆びくっ!は~いっ!」皆
「女帝様怖ぇ~」
朝ご飯の後、俺達は帝都に向かって凱旋した。
七千の真っ赤に統一された軍は、
帝国の正規軍並みに統一されて居て、戻る街道の道すがら、
近くの農村から娘達が花束を持って、
指揮官に手渡して感謝して居る。
ちっパイ師匠は途中で、
「では、モモよ又帝都で会おうぞ!」
と、大笑いし乍ら飛んで行った。
「わはははははは・・・・・・・・」
「俺?俺はもうお役御免で、
学院の皆と一緒に馬車に揺られて居る」
「なあモモタロウ~にゃんで、先頭で目立たないんにゃ?」
「ああ、俺は目立つのが苦手なんでな、
ネコちゃん前に行く?」
「良いにゃ、騎士は苦手にゃ」
「ネコちゃんは何時も騎士に追い掛けられて居るぴょん」
「ウサギは黙って居るにゃ!」
「おいネコ、ウサギが何だって?」
「ウォーラビットのチョウウン姉さんの事じゃ無いにゃ、
トラ族のチョウヒ姉さん助けてにゃ、
チョウウン姉さんが怖いにゃ」
「ネコちゃんがラビット族の悪口を言うからだね」
「にゃ~・・・・・・・・御免なさいにゃ」
「私は気にして居無いぴょん、
こんなにおっかない御姉さん達が膝まづく、
モモちゃんは凄いぴょん、尊敬するぴょん」
俺は、大空に流れる雲をぼんやりと眺めていた。
やがて帝都の城壁が見えて来ると、
大勢の人々が門から溢れ出して、
手を振って居るのが見えて来た。
歓声が風に乗って聞こえて来る。
「凄く沢山の人が出迎えて居るね~モモちゃんビックリだ~」
「そうですわね~かん口令が敷かれて居ると聞いて居たのですけれど、
長い討伐期間でしたから、何時の間にか広がって居たのですね」
帝都の入場門に着くと、
住民の歓声に迎えられて門の中の広場に集合して、
筋肉親父と、グランドマスターが、
「騎士隊は、此のまま城に凱旋致す!」
「騎士隊おお~~っ!!」騎士隊
「冒険者諸君は、
此のまま冒険者ギルド本部に集合する様に~!!」
「冒険者おお~~っ!!」冒険者
首脳陣は、騎士隊と共に城に向かって
隊列を作って去って行った。
俺達もギルド本部に向かおうとすると、
ヒーラーの僧侶達が、
「モモタロウ殿、我らも、
教会に報告に上がらねば成りませんので、
此処でお別れで御座います」
「皆さん、お疲れ様で御座いました」
「いえ、今回の討伐に付いては、
学ぶ事ばかりで御座いました。
此方の方こそ、色々有難う御座いました。
お陰様で生きて帰る事が出来ましたのは、
ひとえにモモタロウ殿のお陰で御座います。
私共は、生きて、帝都には帰れないだろうと覚悟して居たのですが、
モモタロウ殿、感謝しても感謝しきれません。
私達教会は何時もモモタロウ様の味方を致します。
では、此れにて、」
「またお会い致しましょう」
「ははっ!必ずや」
僧侶達が去って行くと俺達も民衆に、
揉みくちゃにされ乍ら、
ギルド本部の広い中庭に集まったのである。
「こりゃ広いね~俺の屋敷の何倍も有るわ~」
「そりゃそうですわ、
北大陸の冒険者を束ねる総本山ですからね、
此処では、ドラゴンの解体をした記録が有るそうですわ」
「ふ~ん、そうなの?凄いね~」
「そう、凄いのですわ」
日が暮れる頃まで待たされたが、ギルマス達が帰って来た。
グランドマスターが、
「皆待たせたね~!!」
「皆おお~~待ったぜ~!!」皆
「今回はお疲れ様~!」
「皆おお~~!!」皆
「女帝様との話し合いで、今回の報酬だが~」
「皆報酬は~?!」皆
「当初、金貨10枚だったけれど~!!」
「皆いくらだ~っ!!」皆
「クエスト完了のボーナス込みで、
一人金貨100枚だぞ~~!!」
「皆おお~~バンザ~イッ!!」皆
「モモタロウに感謝しな~っ!!」
「皆おお~~モモタロウさんアリアト~ヤァ~ス!!」皆
「明日からギルド本部で、名簿と冒険者カードを照らし合わせて、
配るからねぇ~忘れるんじゃ無いよ~良いね~っ!!」
「皆おお~~!!」皆
「そんじゃあ~お疲れ様~解散!!」
「皆おお~~っ!!」皆
「モモタロウは別で話が有るからこっちに来ておくれ~」
「チィ~ッス!!」
グランドマスターの小会議室位ある執務室に呼ばれると、
皆、座っておくれ、
「皆は~いっ」皆
「先ずはモモタロウ軍に瓦解しかけた軍を、
最初の攻防で支えてくれた全員に
金貨100枚を上乗せして、200枚にする」
「皆万歳~!!」皆
「其れと、モモタロウだが
今回の戦いの功績を讃えて、
金貨1万枚と、新しい装備の費用を、
金貨100万枚を出す事が決まった。
其れと、筋肉バカの装備だ、
部下や私達もだが既に伝説級だと、判明して居るので、
筋肉バカが、部下共々で、
別に金貨100万枚出すと言って居る。
私達も金貨100万枚を出す。
モモタロウ、赤竜の鱗で作られて居るのには驚いたぞ
金で如何こうと言う様な装備では無いな此れは、
各家の家宝と成った」
「え~っ、装備は無料で良いですよ~
此れじゃあ名前が売れちゃうじゃ無いですか~」
「其れがそう言う訳にも行かないんだよ、
女帝様がな、
モモタロウにちょっかい出す者には、直接死を与えると、
仰ってな、女帝様はな世界最強の魔導士でな、
其の女帝様が明言されたのだよ、
モモにちょっかい掛けたら殺すよってな、
誰も逆らえないのさ、其れ位女帝様は強いんだよ、
しかも、今迄そんな発言はしたことが無い。よっぽどだな、
だから、騎士団もギルドも
装備に見合った礼金を出す事に決まった。
何でそこ迄モモが気に入られたのかは分からないが、
私と同じで、モモの事を高く評価して居る様だな、けれど、
女帝様って、何処かで見たんだが思い出せんな~
距離も遠かったし~」
「でも~そんな大金、如何しよう~」
「私くしも、又お金が増えて仕舞いましたわ」
「従者私達が得たお金は全て
ご主人様のもので御座います」従者
「何言ってんの、君達は充分に働いた其の正当な報酬だよ、
自分の為に使いなさい。良いね、此れは命令だよ」
「従者はっ!」従者
「儲かったにゃ~大金持ちだにゃ~」
「ネコちゃん、博打の良いカモだねぴょん」
「ウサギは・・・・にゃにゃにゃにゃ~」
「あんた、其のお金博打ですったら殺すよ」
「モモ~チョウウンの姉御が怖いにゃ~」
「うん、墓は立ててやる」
「其れと、此れは大事な事なのだが、
モモに付いての事だが、
帝国でかん口令が敷かれた。
口外する者も殺すと言明されて居た。
だからモモちゃん逃げるなよ~」
「ぐっつ!!バレたか~だって重圧が凄いんだもん」
「帝国内では普通に一般人として、
暮らせる様にしてくれるとさ、
良かったね、逃げたら殺されるよマジで」
「あい、分かりました」
そんな訳で、俺は又大金を手に入れる事に成ったのだった。