-123話ー 中級ダンジョン ウォーマンティス討伐 4
昨日から俺達は、約七千の兵を引き連れて、
中級ダンジョンで発生して居る、
ウォーマンティスの討伐に当たっている。
ウォーマンティスは、5メートル位で動きも俊敏、
鎌は金属鎧も切り裂く位に強力で、
冒険者ギルドでもCランクに指定されて居る。
そんな恐ろしい魔獣が、
トレイン状態で、出口に向かって進んで居るのだ。
此奴がダンジョンから放たれる事が有ったら、
周辺に大きな被害をもたらす事に成る。
ダンジョン内にどれ位の数が居るのか、
今の所見当も付かないと言う所だ。
俺はマップで見当は付いては居るのだけれどね、
唯、現在も増え続けて居るし、
今は、五万位としか言えない現状では有る。
兵の朝ご飯も終わり、部隊配置が終わると、
「ねえ、ペチカさん、
何でこんな大量発生が起こったりするの?」
「そうね~基本的にダンジョン内で、発生するモンスターは、
オスばかりなのよ、
ダンジョン内では自然発生するからメスの必要が無いの、
何かの加減でメスが入ったか、
イレギュラーで生まれたかの何方かなのよ、
でも、何方も大変珍しくて、
数百年に一度有るか無いかなんですけれどね、
今迄に何度もモンスターがダンジョンの外に
溢れ出して大変な被害を出した訳なのだけれど、
ウォーマンティス程の強力なモンスターの記録は無いわ。
こんなのがダンジョンの外に放たれたらどれ程の被害が出るのか、
考えただけでも恐ろしいわ、で、昨日集めた魔石の数だけれど、
どの位集まったか分かるかしら。」
「そうですね~1万二~三千って所ですかね」
「そうですか、まだ1階層の途中だし、
正確には分からないけれど、
五万以上はいそうですね、其れにマザーが居るだろうから、
まだまだ増えそうだわ。本当に長丁場に成りそうですね、
矢とか大丈夫?数は足りるの?」
「ああ、其れは十分に、其れに回収もして居るんで」
「其れなら良いんだけれど、あの矢って特殊よね?
あの硬いウォーマンティスの殻をいとも容易く貫くんだから、
本来なら、剣も殻は狙わずにマンティスのお腹を狙うのよ、
あの矢なら、フルプレイトメイルも貫くんじゃ無いかしら?
其れに、弩も凄くしなやかで強力で、女の私でさえ扱えるわ、
其れを千二百本も持って居るのには驚きました」
「ああ、矢は矢じりに極小の竜の牙を使って居るんですよ、
弩も特殊な素材を使って居るんでね、
暇な時に作って居たら増えちゃって、
まだまだ一杯有るんですよね~
俺は色々と作るのが趣味なんですよ、
分解と合成のスキルが有るし」
「竜の牙って、貴方・・・・
大賢者様に教えを頂いたってのは伊達では無いって事ね、
モモちゃん、賢者様を名乗って問題無いわよ、だって凄すぎるわ」
「そんな大袈裟ですよ」
「いえ、竜の素材を持って居ること自体凄い事なのよ、
えっと確か、モモちゃん確か飛竜を討伐してるよね?
其れも飛び切りデカい奴」
「ええ、倒したのはエレンですけれどね」
「えっへんですわ」
「其れもモモちゃんの結界シールドが有っての事でしょう?」
「その通りですわ」
「で、モモちゃん他に竜の素材は無いの?」
「有りますよ、大賢者様が倒した邪竜の素材なら」
「買った!!この遠征が終わったらうちに来てお願い!」
「はい、そしたら、
討伐が無事に済んで生きて帰って、落ち着いたらね、
邪竜と、竜の骨と、牙と、鱗をお譲りしましょう」
「きゃ~約束よ~モモちゃん愛して居るわ~」
≪チュ~ッ!!≫
キスされてしまった。其れもベロチュ~の強力な奴。
「な、何をして居ますの~!!」
と、エレンが引き剥がしてくれた。
「有難うエレン、やばかった。ペチカさん超美人だし、
其の気に成る所でしたわ~」
「ん~もう、エレンちゃんのいけず~っ
遠い国で、ドラゴンの素材が出たのを聞いて居てね、
ずっと私も欲しいと思って居たのよ~
モモちゃん有難う!愛して居るわよ~」
と、又抱き付いたのをエレンが剥がして居る。
「私くしも、せ、せっ、接吻何てしたことが無いのに~
何てことをしてくれるのですか~!」
「まあ、大賢者様と原始の森を旅した時の物ですがね~」
「あの原始の森に入った事が有るの?益々惚れるわ~」
「そうですの?私くしも初めて聞きましたわ、
益々モモちゃんを尊敬しますわ」
「えっ?原始の森に入るのって、そんなに凄い事なの?」
「其れはもう、危険さでは北大陸屈指ですからね」
「モンスターの強さも段違いですのよ」
「へ~そうなんだ~
まあ大賢者様が一緒だったから良いんじゃね、
俺の戦闘レベルは1だし~」
「え~モモちゃんそんなに弱いの?レベル1って、
其の辺のオッサンより弱いですよ~?」
「はい、その辺の酔っ払いのオッサンより弱いですよ~」
「天は二物を与えずと言うけれど、
モモちゃんの場合三物を与えずですのね~」
「いや、ヒーラーと、タンクだけでも、
十分にお釣りが来ますけれどね~」
「じゃあ、準備も整った所で、一狩りしましょうか?」
「「は~いっ」」
「皆~準備は出来てるかい~っ!!」
「皆は~いっ!!」皆
「じゃあ~死骸を回収したら攻撃を始めるよ~!」
と、俺は、ホイッスルを出すと、
死骸を回収、生きて居る物は回収され無いので、
生きたウォーマンティスの群れが現れる。
群れが結界シールドに阻まれた所で、
≪ピィ~~ッ!!≫
「・・・・・・・・」
≪ピッ!≫
≪ザァ~ッ、ザァ~ッ、ザァ~ッ、ザァ~ッ≫
≪ピッ、ピッ、ピッ!≫
一列目が、二列目と入れ替わると、
≪ピィ~~ッ!!≫
「・・・・・・・・」
≪ピッ!≫
≪ザァ~ッ、ザァ~ッ、ザァ~ッ、ザァ~ッ≫
≪ピッ、ピッ、ピッ!≫
三段撃ちを繰り返して行き、
出来た死骸の山をストレージに回収して行く、
そして、少しづつ前進を繰り返した。
此の日の夕方位に、
やっと1階層のボス部屋の所に辿り着いた。
ボス部屋の扉はウォーマンティスの群れに破壊されて居て、
ボス部屋のボスは、
ウォーマンティスの群れに食われて居るのだろう、居無かった。
此の日の討伐はボス部屋の前で終了した。
1階層に二日掛かった計算に成る。
翌朝又討伐を始めると、2階層も洞窟で、
2階層のボス部屋に行く迄に三日掛かった。
やはり、此のダンジョンでも下に行くにつれて、
広がっている様だ。次の日に3階層に、
此処迄が洞窟で4階層、5階層が草原と成り、
森などが点在すると聞いている。
予想通りに3階層踏破に四日掛かった。
次の4階層からは草原地帯と成る為に、
陣形を変えなければいけない。
全方位からの襲撃を受ける事に成って仕舞うのだ。
其れに、五日掛かるのであれば、
夜営地を確保しなければならず、大変なのである。
俺は、4階層に降りて愕然とした。
青天井で、何処まで続いて居るのか、見当も付かない、
マップで見ても横幅がおおよそ20キロ、
奥行きが100キロ程だ。しかも草一本生えて居無い、
マンティスの群れに食べ尽くされたのであろう、
結界シールドは俺達の軍を円形に囲んで有るが・・・・
「此れは・・・・如何しようかね~しかし、
凄い荒れ地だね~」
「はい、凄い荒れ地ですね~
此れは後ろに回り込まれますね~
如何しましょう?」
「そんなのは簡単ですわ、
洞窟の入り口を塞いでしまえば良いのですわ」
「「おお~~っパチパチパチパチ・・・・エレン偉~い」」
「ふふん、当たり前ですわ」
『何か、ドヤ顔がむかつく』
洞窟の入り口を分厚い岩盤で塞いで、
出口と成る階層主部屋を、
マップで検索してみると、
やはり破壊されて居て階層主も居無かった。
流石に100キロも離れた
5階層の入り口を塞ぐ事は出来ないので、
最短で階層主部屋のエリア迄行き、
岩盤で蓋をしてからの殲滅戦と成る。
4階層のエリアは30に分かれているが、
現在全て荒れ地だ。草原や、森などは
ウォーマンティスの群れに食べ尽くされて居る。
「正にデカくて、凶暴な軍隊アリだな~」
此処で、陣形の変更を加える事にした。
「は~い、皆、此れからの4階層、
5階層は~荒れ地に成りますので~
陣形を変えたいと思いま~すっ!良いですか~」
「皆は~いっ!!」皆
「此れからは全方位でウォーマンティスに攻撃されますので、
本体を中心に円陣を組みま~っす!」
「皆は~いっ!!」皆
「先ずは、弓隊を前後左右の四方に展開しま~すっ!」
「皆は~いっ!!」皆
「其れから後詰めの千人の冒険者の皆には新たに弩を配るので、
前方の弓隊の強化に当たって貰いま~すっ!」
「皆は~いっ!!」皆
「は~い、そうしたら後詰目の人は並んで下さ~い。
弩と矢を配りま~すっ」
「皆は~いっ!!」皆
と先ずは、弓隊を千人増やすと陣形を円陣に変えて、
前方を強化して、千三百人にした。
迅速に階層主部屋に迄行く為だ。
其れでも、五日は掛かるだろう、
其の後、5階層からの殲滅戦を開始する訳だが、
恐らくは、此の階層だけで二週間以上は掛かる見込みだ。
「は~い、意見のある人は~?首脳陣の皆は~?」
「首脳陣俺達脳筋なので、賢者様に従いま~すっ!「首脳陣
「う~ん、何の為の首脳陣なのやら」
「は~いモモちゃん質問~」
「は~い、綺麗なペチカちゃん、どうぞ~」
「まあ、綺麗だなんて嬉しいわ、えっと其れでね、其れでね、
此の階層何日位で、クリアする予定ですか~?」
「はい、流石はグランドマスターですね、綺麗だし、
良い質問ですね、階層を一つ下がる事にダンジョンは、
広がって居るので、
階層主部屋に辿り着くのに一日づつ増えて居ますので、
取り敢えず、階層主部屋に行くのに五日見て居ます。
戦い乍らなので、
数日の誤差は有る物と心得て下さいね、
下の階層からのマンティスのお代わりが無くなった所で、
今度は、此の階層のウォーマンティスの群れの、
殲滅戦を行います。
一直線に階層主部屋に行くのと比べても、
大幅に日にちが掛かると予想して居ますね、
まあ、大体二週間、14~15日位でしょうか、
数が減った所で温存して居た主力軍で、
フルボッコにします。他には?」
「は~い、モモちゃ~ん」
「はい、次女の可愛いソノカちゃん、どうぞ~」
「まあ、可愛いって嬉しいわね、
私あんまり目立って居無い様なので、
此処で一発、出口の通路を塞いだので、
補給が来ませんが如何しますか?」
「はい、此れも良い質問ですね、
流石、可愛くってボインの北街のギルマスです」
「まあ、可愛くってボインで天使の様だって、
可愛い坊やね」
「まあ、天使の様だとは言って居ませんが、
俺のアイテムボックス宝物庫に大量に食料と水の備蓄が有り、
更には、魔法の袋にも大量に食料を備蓄して居るので、
七千人の軍隊でも1年以上は食べるのには困りません。
今日の討伐が終わったら、
皆でバーベキュウでもしましょうか?」
「皆は~いっ!!
バーベキューって何か分かりませんけど~」皆
「はい、他に質問は有りますか~?」
「皆・・・・・・・・」皆
「では、早速陣替えを行って下さ~い!」
「皆は~いっ!!」皆
もう既にウォーマンティスの群れが周囲に集まって来て居り、
全方位見渡す限りカマキリだったが、円陣を組んで、
≪ピィ~~ッ!!≫
「・・・・・・・・」
≪ピッ!≫
≪ザァ~ッ、ザァ~ッ、ザァ~ッ、ザァ~ッ≫
≪ピッ、ピッ、ピッ!≫
と繰り返して、死骸をストレージに回収して行く、
円形に張り巡らされた結界シールドは強力で、
ウォーマンティスの攻撃位ではビクともしなかった。
此の防壁は、軍全体の安心感を培い、
殆ど狩りの様相を呈して居た。
やがて、軍はウォーマンティスの群れを
かき分ける様に進みだして行き、
ダンジョンの外では日が暮れる頃に成ると」
「は~い皆~お疲れ様~今日は此処迄にしましょう~!」
「モモちゃんマンティスまだまだ居ますけれどって言うか、
周りマンティスだらけなんですけど~」
「ああ、ペチカちゃん大丈夫、大丈夫」
と、俺は土魔法で軍の全員が入る様な大きな岩のドームを作ると、
メイド達を使って、バーベキューの準備を始めると、
騎士隊や、冒険者の女性に手伝って貰い、バーベキューを始めた。
まあ、軍隊とは言っても8割は女性なので、
従順でやり易かった。此れは有り難い事でもあった。
余り不満も出無いしね、
そんでもって、此処で風呂の準備をして、
食後に風呂に入って貰う事にした。
そう、もう十日以上も
体を拭く事も出来ない様な状態が続いた為であった。
人数が人数なので、
時間を決めて食後に順番に入って貰ったのだ。
男性は人数も少ないので、スムーズだったが、
女性は大混雑したのは言うまでも無い、が、
其れでも大いに喜ばれた。
こうして、連日の戦いの疲れを癒して貰い、
更に連戦の日々が続くのであった。
そうして、4階層に来て五日目、
予定通りに最終エリアにやって来た。
5階層の入り口を岩で塞ぐと、翌日から殲滅戦が開始された。
と言っても、エリア事に
ウォーマンティスの群れを潰して行くのだが、
最初の間は、全方位からの攻撃が続いた。が、
お代わりのウォーマンティスが無くなった事で、
徐々に数を減らして行った。
やがて此方の戦力が、
圧倒的に上回ると全軍を持って、最終決戦に挑んだ。
弩による攻撃の他に、
前衛を本軍がタコな殴りにし始めた。
数千の残ったウォーマンティスもやがては、
力尽きて、全滅した。
此れでやっと、時間は掛かったけれども
4階層のウォーマンティスは駆逐された。
俺達は怪我人を治療すると、
すぐさま最終エリアに向かって移動した。
最終エリアに到着すると、
「さあ、明日からは、いよいよ最終の5階層に挑むよ~」
「皆おお~~っ!!」皆