-109話ー ルビー参上
俺達は、北街に有る奴隷商で、
28人の奴隷を購入した。
全員前の主人に、大変な虐待を受けて居り、
全員が重傷者ばかりであったが、
モモタロウのリザレクションにより、
死んで居た女性迄もが、全回復した。
俺は、生き返った女性に、
「何処か痛い所は無いかい?」
「ご主人様、如何して私を生き返らせたのですか?
私はやっと死ねると考えて居たのです。
私は、幼い頃に親に口減らしの為に奴隷商に売られて、
ロリコンの変態貴族に買われて、
毎日のように玩具にされ、
貴族が飽きたら又売られて、
私がキャットピープルのトラ族であった為に、
剣闘士にされました。戦って居る時以外は、
売春婦として、働かされて、
絶望の毎日を送って居ました。
毎日、死ぬ事ばかりを考えて居たのです。
でも、魂の契約の為に自殺する事は出来ません。
そして、罠に嵌りやっと、死ぬ事が出来たのに・・・・」
「君は、本当に死にたいと思って居ますか?」
「・・・・・・・・あの頃みたいに、あの頃みたいに、
お花畑で、お花を摘んで、花の冠を作って居た頃の様に・・・・」
「では、そんな日々を楽しみなさい。
勿論、仕事はしなくては成りません。
其れは、一方的な物では無く、
楽しむ為に、働くと言う事です。
その為に、もう一度、
頑張ってみては呉れませんか?」
「・・・・・・・・うっ、うっ、う~っうぇ~ん!うぇ~ん!
うわ~ん!うわ~ん!うわ~ん!うわ~ん!」
「辛かったんだから、思いっ切り泣きなさい」
女性は、子供の様に俺の胸に顔を埋めて、大泣きし出した。
其れを皮切りに、全員大泣きし出した。
「皆、思いっ切り泣いて良いんだからね、
って、何でエレン迄泣いて居るんだよ~」
皆、抱き合って暫く大泣きした後、誰かが、
「ひっく、ひっく、ひっく、えへっ、
えへへ、えへへへへ~っあは、あははははは~」
と笑いだすと、今度は、お互いの顔を見て大笑いし始めた。
「此処、笑う所なの~?」
ひとしきり、笑い終わると、俺の前に皆集まって片膝を付いて、
「皆ご主人様、私達の生涯の忠誠を!!」皆
「そんなに畏まらなくて良いから、って何でエレン迄~?
俺の親分じゃ無かったの~?
其れより、皆お腹が減っただろう?簡単なご飯を食べようね」
ママゾンで、菓子パン二つずつとペットボトルの紅茶を、
全員分購入して皆に配った。
全員、無言でもそもそと食べ始めた。
食べている間、誰も一言も発する事も無く、
「俺も腹減っちゃったよ~
此のクロワッサンのチョコクリーム入りパン、
甘くて美味し~疲れが取れるよ~」
「モモちゃんお代わりですわ~」
「皆、二つずつなんだから我慢しなさい」
「ふぇ~ん~足りませんわ~」
「しょうが無いな~じゃあ俺の、一つあげるよ」
「きゃ~モモちゃん、愛して居ますわ~」
「愛やっす!分かったから、
おっぱい、頭の上に乗せるの止めて~」
パンを食べ終わった娘達が、
「こんなに柔らかくて、美味しいパン初めてにゃ」
「何時も食べて居る、黒パンと大違いぴょん」
「此のお茶も甘くて優しい味、うさ」
「皆幸せ~・・・・もう死んでも良いかも?
(にゃ~)(うさ)(ぴょん)」皆
「いや、死んじゃダメだから、皆、ゴミ持って来て~
片ずけるから」
「皆は~いっ!」皆
ゴミをストレージのゴミ箱に入れると、
「さあ、一息ついた所で、俺たちの家に帰るよ~
皆、馬車に乗って~」
「皆は~い」皆
御者台にエレンが乗ると、秘書、妹が、
「奥様、操車は私が致します」
「あら、嫌だ嬉しい、奥様だなんて、貴方中々見所が有るわね」
「違うので御座いますか?此れは飛んだ失礼を、
良い雰囲気でしたので、つい」
「あらん、益々見所が有るわね、貴方、
残念だけれど、同んなじパーティメンバーなのよ、
所で、操車は任せて大丈夫なのかしら」
「はい、荷馬車から貴族用馬車迄、全てオーケイで御座います」
「まっ!有能な娘は好きよ、じゃお任せするわね」
「はい、お嬢様」
操車は、秘書妹が、その横に秘書姉が、
反対側にエレン、そして俺だ。
エレンは、ブレーキの利き具合と、
サイドブレーキに付いて、
説明して、他の者は荷台に、
ケンタウロスちゃんはでかいので、馬車の横に添って、
ラミアちゃんは幌の上に、
アラクネちゃんは荷台の天井に張り付いて居る。
馬車は、竜骨で補強されて居て、
幌も頑丈な飛竜の翼の皮膜仕様なので、
100人乗っても大丈夫なのだ、動かんだろうけど、
俺達は夜の北街の大通りを、
一路貴族街に向かって、走り出した。
「う~ん、夜明けまでに着けるかな~
エレン~手紙明日、出せるの~?
帰り着くの夜明け頃に成るよ~」
モエー子爵家は此の一月後、御取り潰しに成った。
重税、領民虐待、賄賂、献金、横領等、次々と悪行が晒され、
子爵一家は、鉱山送りとなった。実質の死刑判決である。
奴隷とは言え異常な虐待をして居た、子爵が、
他に悪行をして居無い筈が無いのである。
叩いたら、埃だらけと言う事であった。
「明後日出しても、問題有りませんわ」
「ですよね~着いたら寝るよね~でも、
皆を風呂に入れてからね、其れ迄は我慢するんだよ」
「エ あら、私くしが寝たら
モモちゃんが入れて上げれば良いじゃ無い」エ
「ダ~メ、皆、年頃の女の子なんだからね、
俺はダメだろ、女性同士と言う事で風呂の使い方から、
新しい服の着付けも頼んだよ、明日美味しいデザート、
1品多く付けるからさ」
「エ ・・・・喜んで、引き受けますわ」エ
「一瞬考え込んだよ、こいつ、よっぽど朝が苦手なのかね、」
夜の闇の中馬車は走る。ランタンの光だけを頼りに、
LEDランタンなので、消えないし、
油のランタンより、何倍も明るいのだが、
其れでも、そんなに先迄は見えない、
走り出して直ぐに、エレンは寝てしまい俺の膝の上で、
鼾を掻いている。秘書姉妹は凄く楽しそうに会話して、
荷台の皆、疲れて居たのだろう、皆寝ている。
何故か俺は視線を感じて居るのだが、
ケンタウロスちゃんは馬車と一緒に走り乍ら、
此方をチラチラと見て居る。
幌の上では、ラミアちゃんの瞳が赤く光っている。怖い、
荷台の天井からも多眼が怪しく光り、
俺を凝視している。怖い、
荷台からも起きて居る数人は、俺をじっと見て居る
夜も夜半を過ぎて少し寒く成って来たので、
「秘書、姉と妹君、少し冷えて来たけれど大丈夫かい?」
「ヒ ご主人様、此れ位の冷え込み何て、問題に成りません」ヒ
「ヒ はい、前の主人の時は、
雪の日に全裸で木に縛られた事が有ります。」ヒ
「う~ん、何て言ったら良いか?」
俺は、二人に俺のローブを着せてやり、
温かい缶コーヒーを飲ませてやった。
馬車の横を走って居るケンタウロスちゃんにも、
ローブを着せてやり、
幌の上で動きが鈍く成った、
ラミアちゃんに毛布と、ローブを手袋を渡して、
荷台の天井に張り付いて居る、アラクネちゃんにも毛布を、
起きている皆にもローブを渡して、
寝ている娘には毛布を渡して、
掛ける様に頼んで、起きているほかの皆に、
温かい缶コーヒーを配った。そして最後に、
俺の横で鼾を掻いて居る、エレンにローブを掛けてやった。
日中は温かいのだが、
夜は何時の間にか冷える様に成って居た。
「季節はいつの間にか進んで居るんだね~」
「ヒ ご主人様、此のままですと
もう直き貴族門に着きますが」ヒ
「はい、屋敷は南街の近くなんで其のまま貴族門へ」
「ヒ いや、迂回して行かないと南街には行けませんが?」ヒ
「いや、屋敷は貴族街の外れですよ」
「ヒ 私達の馬車は獣人が居るので、
入れないのでは?」ヒ
「へっ、そうなの?」
「ヒ 貴族様の許可が無いと入る事は出来ませんが?」ヒ
「エレンは貴族だよ?ダメ?」
「ヒ じゃあ、入れるかも?」ヒ
と、言って居る内に貴族門に着いた。門番が此方に来て、
「エ 遅い時間の入門ですね、何方の貴族の方ですか?」エ
「はい、エレノワ、スタンダール様の従者ですが、お嬢様は、
お疲れに成って、寝て居られます、」
と、ジュリアナちゃんのメダルを見せて、
「今日は、新しい屋敷を購入しましたので、
北街に下働きの者達を購入に行ったのですが、屋敷が、
南街の方に有る物で、時間が掛かってしまいこんな時間に」
「エ ふむ、メダルは間違い無いですが、
連れて居るのは獣人ですよね、
おい、隊長を呼んで来い。
悪いのですが、少しお待ち頂けますかな」エ
暫くして、隊長がやって来た。
そして、荷台や幌に居る、獣人を見て、
「タ 申し訳無いが獣人を通す訳には参りませんので、
出直して下さるか?」タ
イラッ
「はい、では出直しましょう、其の前に隊長様、
お名前を教えて頂けますか?」
「タ 何故、名乗らなければ成らんのだ!」タ
「やだな~スタンダール伯爵家と、ウインスレット侯爵家に、
喧嘩売ったんだし、当然でしょう。」
更にもう一つメダルを出した。
其のメダルを見て、門番の隊長は青ざめて、
「タ も、申し訳御座らん!」た
と、ジャンピング土下座を、鮮やかに決めた。
と、直ぐに通してくれた。
「エ 隊長、如何したんだろ?」エ
「タ バカあれ、あのメダル、帝室の紋章だ、あらためただけでも、
本当の意味で首が飛ぶわ~!
おい、馬車に獣人何人居た?」タ
「エ 一杯?」エ
「タ バカ者~!まあ、大型の馬車だし、
30個も有れば足りるか?」タ
「エ で、隊長、如何するんです?」エ
「タ 直ぐにスタンダール伯爵家の獣人、
入街証作って届けなきゃ、
俺の首が飛ぶわい、今夜は忙しいぞ~」タ
「エ は~い」エ
と言う事で、少し揉めました。
「いや~師匠のメダル良く効くな~
こんなに騒いでんのに、エレンの奴まだ爆睡して居るよ~
大変な時に役に立たね~」
「ヒ ・・・・・・・・」ヒ
お化け屋敷に帰って来たのは、夜明け前だった。
「ド ・・・・・・・」ド
ー 此処、リザレクションを掛けて、獣人達を治療した路地、ー
夜中に、空から、一人の少女舞い降りて来た。
背中には蝙蝠の翼を生やして居る。
「ル 間違いね~此の魔力、タカシの物だ!やっと、
やっと見付けたぜ!」ル
血の付いた、石畳の上にボタ、ボタ、ボタと、雫が落ちる。
少女の真っ赤な瞳は潤み、顔をクシャクシャにし乍ら、
溢れる涙を止める事も出来ずに、石畳に付いた血が滲んで行く。
『ル サファイア、聞こえるか?』ル
『サ ルビーかい?』サ
『ル ああ、感知した魔力はタカシの物で間違いね~』ル
『サ で、タカシ君は見付けたのかい?』サ
『ル いや、空から周辺を探したが、見当たらね~』ル
『サ 其れは残念だね~、でも、生きて居る確認が取れただけでも、
良いんじゃ無いかな、ルビーその街に、拠点を作って、
本拠地と、繋いで呉れるかい?』サ
『ル ああ、了解した!』ル
『サ 其れと、くれぐれも言って置くけど、見付けても、
決して接触しちゃダメだからね、前にも話し合った様に、
僕達は、タカシ君が成長して、
ボク達を必要として、会いに来てくれる迄は、
陰から、タカシ君のサポートに徹するからね、
遠回りの様だけれど、此れが一番の近道だからね、
君も、タカシ君には嫌われたくは無いだろう?』サ
『ル 分かって居るさ、俺のせいで、
タカシを怯えさせちまったんだ。
もう、あんな思いをするのは御免だぜ』ル
『サ 其れはボクだって同じさ、今なら分かる。
ボクはタカシ君無しでは、もう生きて行けない、
じゃあ、予定通り頼んだよ』サ
『ル ああ、任せてくれ』ル
ー・・・・・・・・ー
「ああ~やっと、お化け屋敷に帰って来たわ~
凄っげ~疲れたよ~」
通用門の鍵を開けて中から正門を開け、
馬車を玄関先に付けて、
皆を降ろすと、獣人の娘達は感嘆の声をあげて居た。
「さあ、今日から此処が皆の家だからね~
門の外では、差別されるかも知れないけど~中は、
自由空間だからね~
立ち入り禁止も無いから、自由に使ってね~」
「皆 は~い」皆
「じゃあ今から、皆、お風呂に入って長かった、
人生の苦労を洗い流して来て下さい。
エレンお姉さんが、
使い方を教えて呉れるので、憶えてね~
じゃあ皆行っといで~」
「皆 は~い」皆
「ヒ ではご主人様、私は先に馬車を厩に連れて参ります。」ヒ
「じゃあ終わったら、3階の大浴場に行ってね~」
「ヒ はい、承知致しました。」ヒ
俺は皆と、秘書、妹を見送った後、
「リリー」
『リ はい、ダーリン、何スか~』リ
「皆の着替え3セットと、メイド服3セットと、
警備の鎧1セットと、武器一式、各自に配って上げて~」
『リ はい、全員奴隷で、魂が繋がって居ますので、
各自にメニュウ画面の取り扱い説明と、
此処での暮らしの説明、給料に関しての取り決め、
仕事内容、各自の部屋割、休日の割り当て、業務時間、
防具は竜の鱗で、武器に関しましても、
竜の鱗で作りたいと思うっス。
と、まあ、最初はこんな所っスかね~』リ
「そんな所じゃね?後は、追い追いと言う事で、良いんじゃね」
『リ 了解っス~』リ
朝日を浴びながら、暫くぼ~っとして居ると、
開けっ放しの正門から、早馬が、
「エ エレノア、スタンダール様の屋敷は、
此方で間違いありませんか~」エ
「何ですか?朝っぱらから」
「エ 私は、北の貴族門の守備隊の者で御座います。」エ
「あ~夜の」
「エ はい、隊長より獣人達が
自由に貴族門の出入りが出来る
獣人入街証を、大急ぎで作って、
持って参りました~
此れが有りましたら自由に平民街へ
買い出しに行ける様に成りますので~
此方は、ペンダントと成って居りますので、
ネックレスにして頂くと、
なお便利で御座います。隊長からの伝言で、
此れで何卒、
昨夜の無礼をお許し下さいとのことで御座います。
30個用意しましたので、お受け取り下さい」エ
「はい、有難う御座います。
此れで、朝ご飯でも食べて下さい」
と、銀貨を、1枚、チップに握らせた。
「エ しかし、見事なお屋敷で御座いますな~
羨ましい限りです。では、私は此れで」エ
と帰って行ったので、門の所まで行って正門を閉めて、
通用門も閉めて、屋敷に戻った。
「長い一日だったわ~」