私が好きな佐藤くん。
受験経験0、高校生経験0、電車にあんまり乗らない者が書きました。
いつも寝ている佐藤くん。
授業中も寝ているからいつも先生に怒られている。
でも、そんな佐藤くんが私は好きだ。
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2年前の冬、高校の受験日だったその日、私は電車で会場に向かった。
電車は混んでいて、私はつり革につかまっていた。
『隣りのおじさんに肩をぶつけてしまって何回謝ったんだろう。もしかして今日はついてない日?』
そうネガティブになっていた時、前の席に座っていた男の子が「ここ座れよ」そう言って立ち上がった。
『見知らぬ人が私に言う訳ない。別の人に言ったんだろう』
そう思ったけど誰も動かない。
「……もしかして、私に言ってる?」
もしかしてと思って聞いてみた。
「お前以外誰がいるんだよ。早く座れよ」
「う、うん」
私は男の子のお言葉に甘えて座らせてもらうことにした。
男の子は私がつかんでいたつり革につかまった。
立ってる時は隣りのおじさんに肩をぶつけてしまわないかを心配して気が付かなかったけど同じ年ぐらいに見える。
「あ、あの」と話しかけると、「なに?」と窓の外をボーっと眺めていた男の子が私に顔を向けた。
「ありがとう」
私がそう言うと男の子は「いや、こっちこそもっと早く変わってあげれなくってごめんな」と悪くないのに謝ってきてくれた。
この時私は好きになってしまったのかもしれない。
もしかしたら思い「受験生ですか?」と聞いてみると「そうだけど。お前も?」と返ってきた。
「うん」とうなずくと「そっか。じゃあお互い頑張ろうな」とキラキラとした笑顔で言ってくれた。
そんな事を話しているうちに目的の駅についてしまった。
「あ、俺ここだから」と男の子は「じゃあな」と私を見て言って先に降りて行った。
この時、あの男子に恋をしたと気づいていなかった私はこのドキドキした気持ちを受験のせいだと思っていた。
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無事に志望校に合格して今日は入学式の日。
もしかしたらあの男の子に会えるかもしれないと期待していた。
クラスメイトの中にはいなかったけど他のクラスを探してみるとあの男の子に似ている子を見つけることができた。
似ている人かもしれないと思ったけどその男の子の中学校の制服と、あの男の子が着ていた制服が同じだったから他のクラスの男の子と電車の中で出会った男の子は同一人物だと確信できた。
同じ中学校の子によると名前は佐藤楓真というらしい。
クラスは違ったけど廊下や学校行事で見ることができた。
佐藤くんを見るたびいつもキュンキュンしてキュン死しそうになってしまっていた。
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高校2年生、佐藤くんと同じクラスになる事が出来た。そして今は隣の席。
佐藤くんは韓国系イケメンで運動神経がよく、寝ているけど頭はいいから影で女子に人気。
そんな寝ている佐藤くんを眺めるのが習慣になっていた。
両腕を枕にして机にうつ伏せになって寝ていることが多いから寝顔は見られないけど、起きた後の眠そうな顔や行動はとても可愛いし、たまに見せてくれる寝顔はとても幸せそうでそれまた可愛い。
ナチュラルマッシュがよく似合うサラサラした髪をしている佐藤くん。
思わず手を伸ばして頭をよしよしとしたくなる。
数学の授業中の今もノートを書くふりをしながら佐藤くんをこっそり見ている。
優しくて、運動ができて、勉強ができて、カッコイイ佐藤くんが大好きだ。
「佐藤、起きろ~。お前ずっと授業で寝てるから先生泣くぞ~」
生徒と年齢が近くて人気がある数学の先生が言った。
「先生、俺は授業の最初と最後の5分は起きてます」
手を伸ばし伸びをしながら眠そうな顔をして佐藤くんは言った。
「ずっと寝ているわけじゃないんだな。__いや待て、最初と最後って……ほとんど雑談とかで大事なところ聞いてないやん」
先生は一瞬感心していたけどすぐ肩を落とした。
「先生、元気出して-!」「せんせー、俺たちはちゃんと起きてるから安心してください!」
と教室が活気に溢れた。
「お前のせいで怒られたじゃん」
「えっ?わ、私のせい?な、何もしてない気がするんだけど……」
佐藤くんに急に話しかけられたのと、怒られたのを私のせいだと言ってきたからびっくりしてあたふたして返してしまった。
すると佐藤くんは目を泳がして
「……ずっと俺の事見てただろ?」
「えっ、気付いてたの!?」
恥ずかしくて顔が赤くなっていくのがわかる。
「ご、ごめん!嫌だったよね………」
佐藤くんは耳まで赤くなった顔で目をちょっと泳がせてから今度はしっかり私を見て言った。
「いや、その__可愛い顔で見られると照れるっていうか………」
「えっ?誰が?」
「お前以外誰がいるんだよ」
「「あ」」
佐藤くんと声が揃った。もし佐藤くんが私の事を覚えてくれていたら……。
「私たちが初めて出会ったの今年じゃないって知ってる?」
「知ってるよ。受験の日電車で……。覚えててくれたんだな」
「そりゃあ覚えてるよ。……佐藤くんも覚えててくれたんだ」
佐藤くんは甘い笑顔で微笑んだ。
「俺、今日言ったことあの時も言ったよな」
「うん。あの時はありがとう。カッコよかったよ」
「やめろよ。照れる」
「おーい、なにそこいちゃついてるんだよ。佐藤起きてるんなら授業ちゃんと受けろ」
先生に怒られちゃった。
佐藤くんと私は目を合わせて「ふふ」と笑ってから「「すみません」」と謝った。
「先生2人の空間ぶち壊したらダメじゃないですか」
「え?あ、ごめん。__じゃない!今は授業中だから喋らないのが当たり前」
クラスメイトと先生の会話でまた教室が活気に溢れた。
あの時佐藤くんの事が好きになったっていうのはまだ秘密。
これから沢山話して仲良くなろうね、私が好きな佐藤くん。
今回友達に読んでもらってないので変だったらすみません。
キュンキュンしてもらえたら嬉しいです。
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