夏美へ
初投稿です。
これはとある女子大学生の話である。
女は大学一年の春、大学付近のアパートへと引っ越した。6畳の部屋であった。地方の大学のため、あたりにはアパートや飲み屋が多くあった。夜になれば同じ大学の学生が騒いでいる平和なところであった。
女に友達と呼べる存在は少なかった。小中高と昼休みは図書館で過ごす日々だったからだ。女は大学での友達作りを半ばあきらめていた。しかし、大学での講義で席がたまたま隣だった学生と友達になった。名は夏美といった。夏美は明るく、友達も多く、まさに天真爛漫な性格であった。女とは対照的だった。はじめは夏美のことを毛嫌いしていたがだんだんと心を開くようになっていった。
7月半ば、大学に入って初めてのテストを迎えた。女は夏美とともに同じ講義のテストを受けることになった。夏美はあまり頭の出来が良くなかったので前日まで夏美に教えていた。そのため、その科目は自信があった。無事にテストを終え、前期が終わった。夏休みの間、女は実家へ帰省することにしていた。帰省前に女は夏美の家に泊まることがあった。大学生のノリで夏美と二人で酒を飲み、眠った。その後携帯をなくしてしまった女は急いで実家へ帰った。
実家に帰った女は、両親にそのことを話し、新しい携帯を買ってもらった。8月の終わりごろ、成績発表があった。女は夏美とともに受けたテストだけでなく他の講義でも高得点の自信があった。しかし、結果は前期の単位をすべて落としていた。女は何が何だかわからなった。急いで大学に問い合わせてみたが、大学側は「メールの通りです」とだけだった。新しい携帯でメールを確認してみてもそのようなことは一切なかった。ショックと自分の不甲斐なさから女は実家にいることが苦しくなりアパートへ戻った。
9月の終わりになり、後期の授業が始まった。成績発表以降夏休みをアパートに閉じこもり過ごした女は久しぶりに夏美に会えることを楽しみにしていた。携帯を変えてからは連絡先がわからず、夏美とやり取りをしていなかったからだ。しかし、いざ講義室に入っても誰も女に目を合わせようとしない。むしろ遠くで女のことを笑っている。女はまたも何が何だかわからなかった。あたりを見回し夏美を探すが、夏美はすでに他のグループの人間たちといた。女は仕方なく端の席で講義をを受けた。講義が終わり、帰る支度をしていると遠くから「よく後期の授業に参加できるよな」「大学辞めてなかったんだ」「夏美さんがカンニング見てなかったら平気で過ごしてたって考えると許せないよね」と聞こえてきた。女は急いでその場から立ち去った。その足で夏美のアパートへ向かった。
夏美のアパートにつき、夏美を待った。夕方になり、夏美が帰ってきた。夏美は女を部屋に入れた。
事件が発覚したのは次の日であった。女子大学生が身元がわからないほど殴り殺されていたのだ。警察は調べを進め、殺されたのは夏美だとわかった。夏美の部屋からは女のものとみられる携帯が発見された。犯人は女であると推察し、女のアパートに向かった。女の部屋は6畳一面が真っ赤であった。首を包丁のようなもで切ったとみられる。女の手には遺書のようなものがあった。遺書にはこう書いてあった。
「夏美へ
あなたのことを友達だと思っていました。あなたがあんなことをするはずがないと思ってました。けれど現実は違った。あなたは私のことを友達だと思っていなかったし、面白半分で付き合っていた。大学に私がカンニングをしていたと嘘の報告をし、私の携帯を盗み、大学からの事実確認をすべて消していた。なぜあなたがそこまでしたのか理解できないまま私はあなたを殺した。許せませんでした。私はこの遺書を持ってあなたのいる地獄へ行きます。少しの間待っていてください。向こうでは仲良くしてくださいね。
××より」