表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

92/103

~89~ 紅い星に運ばれて ⑤

 



 キアリク達が、扉前へとたどり着くと、そこには数人の男達がいた。



「あ、あんた達は......十二騎士か」


「ああ、そうだが。 お前らは?」


 そうバーナルが聞き返す。


「俺たちは、あんたらの仲間の十二騎士、ノアの知り合いさ。 ノアはもう既に城へと入ったよ。 ベルフェゴールを倒すと言っていた」


「ノア......わかった。 行こう、バーナル、フローラ」



 そう言い走り出そうとしたとき、突然魔力の黒い渦が目の前に発生した。

 現れたのは、マーリン。黒きドレスのような衣服を纏い、妖艶に現れる。



「十二騎士様方、こんばんは。 突然ですが、王はこの城にはいません......入るだけ無駄ですよ」


 フローラの顔が険しくなる。


「あなたは......厄災の魔女。 なぜこの戦乱の渦中となったこの国へと現れたの?」


「フローラ......知ってるの? この人の事」


「知ってるわ。 前に起きた魔族の進軍を手引きしたのは、この女と言う話よ......一体どういう意図で、今あらわれたのかしら? マーリン」


「そう、怒らないで。 怖い怖い......私は意外と打たれ弱いのです。 そうですねえ、ひとつ答えるならば、私はこの国を愛しています。 だから私は皆様の味方です」


「はあ? あ、愛してるだあ?......でも、おまえ、魔族を招いたんだろ? なら敵以外の何者でもねえじゃねえかよ」


「あれは、必要な事だった......この国を世界で最も強大で強力な国へと変える為に。 だってそうでしょう? 人でも魔族でも、力なきものは強きものに全てを奪われる......それは国にも言えること」


「今、この国には神の子が現れました。 それを完成されたモノにすることでこの国は世界で最も強き国へと変わる......まあ、とにかくあなた方は中には入らない方がいいですよ?」



 それよりも......。と、前置きし、マーリンは町の方へ指を差す。


「みんな殺されてしまいますけど、大丈夫ですか? あちらに行かれた方がよくありません?」



 荒れ果てる町の光景、上がる火の手と起こり行く爆発、見るだけで死者の数が莫大なものだと言う事が理解できる。



「......王は、本当に中には居ないわ」


 キアリクが言う。


 マーリンが、はっと気がつく。左の足下に小さなかすり傷。


「彼女の心を読んだ。 王はこの人が捕らえている」


「なっ!?」


「やっぱり、こいつは......!」



 二人が臨戦態勢に入ろうとすると、キアリクはそれを制止した。



「けれど、敵ではないわ。 この人が本当に国の事を愛しているのは本当......」


「ええ、私は嘘、つきませんから。 で、どうします?」


 マーリンはにっこりと目を細める。


「フローラ、バーナル......中にはノアがいる。 ベルフェゴールは任せよう。 彼なら......きっと勝てる」


「おい、マジかよ!? ベルフェゴールだぞ!? 七つの大罪の! 一人で勝つなんて不可能だろ!」


 と、その時、レジスタンスの一人が言う。


「ノアは一人ではないはずですよ。 中にはヘンリーが......それに多分、警備に入っている十二騎士もいらっしゃるんですよね?」


「確かに......今日は、ミミとガルデアが居たはず。 けれど、それでも......ベルフェゴール隊長の力は凄まじいわ」


 するとマーリンが首を振り言う。


「いいえ、大丈夫よ。 むしろノアがやらなければダメなの。 あなた方は邪魔。 早く消えて欲しい......絶対に、ここは通さないわ」


 マーリンが何処からともなく出した杖をキアリクへと向けた。


「国は人......人によって作られるのが国。 これ以上町の人々に被害は出せない......フローラ、バーナル」


 くっ......と苦虫を潰したような表情を浮かべたバーナル。しかし、どうにか押し留める。


「お前、マーリン......これが罠だったなら、王が戻らなければ......俺はお前を殺しに行くからな」


「必ず、王を返して」


 バーナルとフローラがマーリンへとそう言うと、彼女は再び笑顔になり「ええ、勿論」と返した。



「行こう......」



 三人の騎士が町へと向かって走り去った。



 


 





 そう、ノアでなくては意味が無い。



 例え、彼が死んだとしても......。






 ◇◆◇◆◇◆







 ――ガキィッ!!!





 互いの力量を測るように、剣を振り抜き、拳をかわす。



 な、なんだこいつは......!?こんな訳のわからない魔力構造してる生物がいるんすか!?

 つーか魔力だけじゃねえ......なんだこりゃ!?


 その漆黒のコートを纏う剣士の、魔力、神力、精霊力、さらに妖力を内包している有り得ない体を目の当たりにし、シンララは動揺していた。


 今まで二つの属性を操る者は、何度か見たことがあった。しかし、本来的に存在しないとされている全ての属性を備える者を前にし、混乱せずにはいられない。



 す、すげえ、奇跡的なバランスで構築されている......これはそう、奇跡!奇跡としか言い様のない生命体っす!

 多分、これは......俺じゃあ、勝てねえ。



 シンララは恐ろしく強い。魔界でも上位へと位置する戦闘力があり、それ故に自分がノアには勝てないと、すぐに理解するに至った。


 スッ......と、両手をあげ、シンララは攻撃をやめた。


「......ん、俺の負けっす。 多分、俺はあんたには勝てない」


「うん、そっか。 でも、俺が君を見逃すと思う?」


「うんにゃあ、思わねえっすよ。 でも......」


 シンララはその瞬間、地面を破壊した。


 ドオーーーン!!


 大きな音と、割れた床。瓦礫に紛れてシンララは逃げを選択する。

 しかし、ノアはその中でも微かに見えた彼の姿へと向かって黒の剣《深淵刀》を放つ。

 その刀身から伸びる黒い木の根のような黒い刃が、シンララの肩へと突き刺さる。


「ぐ、あ!!? ......しまっ、がああああああ」


 そして、その部分からシンララの魔力を吸収し、その体内から更に漆黒の刃が突き出てくる。


「ぐふっ......がっ、マジ、か、よ......」


 身体中から木の枝が生えたような様相になるシンララ。そのまま下の階へと落ちていった。


 ノアはもう片方の手で、剣で壁を刺し落ちることを免れていた。



「......あんな強敵が残っていたのか。 ここで殺せて良かったな」




 ◇◆◇◆◇◆




 ノアの神器の気配、この建物の中から!



 ステラがノアの気配を追って来てみると、そこには無数の魔族が大きな光る樹木へ群がっていた。


「なんだこれは! 全然こわれねーぞ!?」


「どうなってやがる!!」


 ステラがその魔族を紅の雷で気絶させた。その光る大樹の中には子供がいたことに気がつき、救出の為に魔族達を寝かす。



「君、大丈夫? なぜそんなところで閉じ込められているの?」


「これは、お兄ちゃんが......この中にいれば安全だって」


 お兄ちゃん?この樹木......刺さっている剣から顕現している。神器の気配はこれだったんだ。

 そうか、これは......。


「そのお兄ちゃんのお名前、ノアって言ってなかった?」


「え? ......お姉ちゃん、お兄ちゃんの知り合いなの?」


「うん」


 やっぱり、ノアの神器だった。彼も戦っている!


「私、これから君を安全な所に連れていくから、そこから出て来て欲しいんだ。 出られる?」


「ううん、出られない」


 そうか、これは多分自分の神力でしか解除できない仕組みなんだ。

 でも、多分......



 ステラはノアの神器の大樹へと手を当てる。そして白雷を流し込む。


 ノアの中には私の白雷の神力がある。それをたどりこの神器を解除する。



 ――あった。



 大樹は、ボシュウウウー......と煙のような、光となり消えた。



「あ、あれ? 消えた? すごい! お姉ちゃん!」


「ふふ......早く行こう。 この人達が起きてしまわない射ちに」


 ステラが床に手を這わせ、白雷を全ての魔族へと流す。



 これで、多分......起きたときには戦意を失っているはず。





「いこっか」「うん!」










評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ