表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

84/103

~81~ 王都攻略戦 ⑰

 



 ガルデアはノアとの戦いで隻腕となった。片腕を失うと言う事は、本来の戦闘能力を失う事に他ならない。


 しかし、ガルデアはこの二年間、命を削り血反吐を吐くような努力を重ねた末に、以前の実力以上の力を手に入れる事になった。


 そのガルデアに足りなかったものが、今、芽生えた。



 ミミ、お前といるのが楽しい。お前がいなけりゃここまで来られなかった。

 今、やっとわかった......わかったんだ!


 俺はお前を......お前の事が!



 ガルデアの斧、宝王器《王乱陣斧》は斬撃を固定する能力。魔力を込め、振り下ろした場所に真空の刃にも似た見えない刃が現れる。約一分間存在し、その間触れたものを切り刻む。


「――ふっ! おらああああ!!!」


 ドゴォ!!!床に落ちたガルデアの斬撃に、シンララの立っていた場所が砕け散る。


「遅いすよ! 残念だけど、あんたじゃ相手になら......んなあッ!?」


 シンララの左肩が唐突に血を噴き出した。ガルデアの固定斬撃の置いてある場所へと回避し、見事思惑通りダメージを与える事に成功した。


 ――(!!! 突然斬られた!! これは、あの白鎧の女のチカラ? いや、違う! だとしたら今頃使い出すのはおかしい! こっちの十二騎士か!)――


「あんたの能力か......見えない刃? 厄介っすね」


 見えなければ分解出来ない。が、しかし対処はできる。この手の能力もたくさん見てきた。


 シンララは、手を開いたまま前に差し出し、空中を掴むように手を握る。すると、その拳に桃色のオーラ、魔力が集中する。



「動けば斬られるっすからね......このまま殺れば良い!」



 凝縮された魔力。高密度の魔力はそれだけで攻撃力を持つ。シンララはそれをガルデア......ではなく、ミミへと放った。



「なっ......!? まにあわ」



 魔力弾がミミへと直撃する寸前、ギリギリのタイミングで剣がそれを弾く。


「あっぶない!!」


 ミミへの攻撃を防いだのは、白い鎧を纏う白亜の騎士、ユリウスだった。


 しかし、戦闘経験の差か、はたまた戦闘センスか。どこをどう言う風に攻めれば、相手を崩すことが出来るのかを熟知しているシンララの本命はミミではなかった。


「あんたの能力は面倒だからな、さっさと殺す。 遊ぶのに邪魔っす」





 ――が





 はっ



 ボタッ――ボタッ




 血溜まりの足元には、いつかミミのくれたブローチが落ちていた。



「がぼっ、ぶふっ......」


 口から血を噴き出し、呼吸もままならない。ガルデアの心臓はシンララに貫かれ、そこを中心に赤く染まっていた。



「なんて言ってっかわかんねーすけど、あんたもう死ぬんすよ。 あはっ、今どんな気持ち? はは」



 いや......死ぬのは俺だけじゃ、ねえ!!



 ガルデアの宝王器《王乱陣斧》が光る。この武器は力をその場に留める能力と、そして武器に蓄積する能力があった。

 奥の手として長い月日を蓄積していた魔力......それを今解き放った。




 ――くらっ......え......!!!!!



 ボッ――



「あ?」




 ズギャギャガガガガガガガ!!!!



 斧を起点とし、その周囲に数千にも及ぶ斬撃の嵐が生じた。



 ゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!!!



「がばばばばっがぶああああああぐぎゃあっ!!!」



 切り刻まれるシンララ。しかし、ガルデアもそれと共に巻き込まれ魔族であり、耐久力のあるシンララとは違い一瞬でバラバラの肉塊へとなった。






 ――じゃあな、ミミ。 楽しかったぜ。





 ドオォオオオオオン!!!!



 吹き飛ぶシンララは血みどろになりながら壁へと激突した。





 ゴゴゴゴゴゴゴゴ......。





「......なんで、死んだら意味ねえじゃんか」



 ユリウスはそこに妹の影を見た。魔王討伐の戦いに赴き帰ってこなかった愛しき姉妹を。




「......ちて、あ」



 な!?と、声をあげるユリウス。凄まじい斬撃を受け飛ばされたそこから現れたのは、瓦礫を退けながらふらふらになって歩く、シンララだった。



「あ、あぶねえ......はははっ! 良い技持ってるね! 今のは良かった! 死ぬかと思ったっす」



 シンララは身体中にガルデアの攻撃を受け、裂傷だらけであった。

 しかし、それよりもユリウスが驚いたのは。


 黒いフードが刻まれなくなりその姿が露になったシンララ。それは、まるで馬......二足歩行する人形の馬だった。



 フードを被ってる時とは明らかに体格が違う。おそらく変化した......のか。魔力も大幅に上昇している。だから、ガルデアの攻撃をあれだけくらっても死ななかったのか。



 これは私ひとりじゃどうにも出来ないな。このミミを連れて一旦逃げるか。




「おいて、いけ......」


「! 意識が戻ったのか!」


「......私は、ほうって、おけ......もう魔眼のちから、も無い。 お前は......私を囮にして、逃げろ」


 ユリウスは考えた。このままでは殺される。二人で殺されるか、ミミを囮にし、逃げ延びるか。



 ガルデアの残したモノ。例え、もうすぐ尽きる命だろうと......私は捨てない。



「ダメだ、行くよ」


 ユリウスがミミの肩を担ぎ、逃げようと状態を起こしたとき、シンララが魔力弾を放ってきた。



 ドギィイイインッ!!!!



 それを弾くユリウスの式神、ウルファ。



「ナイス!! ウルファ!!! さっすが、カッコいいね!!」


「いや、そういうのいいから! 早く逃げろよ!!!」


 ウルファは考えた。ここから逃げるには、俺一匹じゃ難しい。とは言え、これ以上ユリウスに負担をかける訳にはいかない......俺を顕現させているだけでも相当な力を使い続けているからな。


 どうしたら良い......そういや、昔あいつが言ってたっけな。こういう危機的状況な時ほど、冷静に動けと。


 懐かしいな、刀一本と俺達式神三匹連れて鬼の国へと戦争仕掛けて......って、今はそんな事思い出してる場合じゃないよな。



 ウルファは体から分身を十匹出現させた。


「《犬群陣》!!」


 この分身はウルファ自身のオーラから作られていて、最大三十匹(自分含め)もの数を出せる。

 しかし、その分、多ければ多い程、分身は単純な命令しか受け付けることが出来なくなる。



 ウルファがこの時、分身へと出した命令は「攻撃を避けろ」「攻撃されたらカウンターしろ」「撹乱しろ」の三つ。



「流石、わんころ! はええっすね!」



 ウルファはシンララを翻弄し、ユリウスの時間を稼ぐ。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ