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~79~ 王都攻略戦 ⑮

 



 後ろから奇襲をかけてきたアカギの部下を、一人電撃で気絶させ、それに続いてきた二人も素早く気絶させる。


 ものの数秒、アカギの戦闘兵があっという間に無力化された。


「なっ......!? なんだこの娘は!!」


「つええ......俺らは戦闘のプロだぞ。 こんな......一瞬で」


 ステラはアカギ達の退けない理由を聞き、それがどうにもならないモノだと理解した。


 それが逆にステラの覚悟を決めさせた。


 私......町の人達を失いたくない。でも、敵の命は奪いたくもない。

 そんな事を考えながら、私はどうやってこの戦いに勝つつもりだったのだろう。

 ナツメも言っていた事、殺さなければ......終わらない。



 アカギはステラの眼が変わったのを見た。そして、このままやり合えば全滅する事を理解する。

 今の部下三人とのやりとり......彼女の実力は本物だ。おそらく隊の魔族全てで戦っても勝てない。殺される。


「お前達、退くぞ! 散れ!!!」


「「「了解!!」」」


 ステラから逃れるため、アカギ達がばらばらに逃げていく。しかし、ステラは冷静だった。

 地面へ手を当て、電撃を流し場の全ての魔族を感電により気絶させた。


「......がっ」「ぐ......くそ、なん」


 そしてステラは気絶した内の一人のもとへ足を運ぶ。


「ごめんなさい」


 電撃を纏わせた紅い刀身のダガーを振り上げた。その時――



「......アミナ、すま、ない」



 その魔族は誰かの名前を呼んだ。



 それを聞いた途端動けなくなる体。先程までの覚悟が霧散し、振り上げたダガーを下ろすことが出来ない。


 この人を殺したら、どうなる?命を奪ってどうなる?

 確かに生き残る事は出来る。あの人達も守れる......でも、またこの死によって、憎しみが生まれ繋がるんじゃないのか。



「......殺せ」


 あ......。ステラと魔族の眼が合う。




 だめだめだめだ。わたしはなんで?こんなこといつまでくりかえす?

 にげたいにげたいにげたいにげたい

 のあのあのあたすけてたすけて

 こわいこわいこわいこわい!いやだいやだいやだいやだいやだ

 じぶんがきらいだなんでこんなによわいの




「......はっ。 は、はっ」


 息が苦しい。上手く呼吸が、出来ない。



 その時、アカギが話しかけてきた。


「......どうした? お前がやらなければ、我々がお前を殺すだけだぞ」


 アカギはステラを揺さぶる。ステラの心の弱さ、揺らぎに勝機を見出だしたアカギはそこを攻めることでしか生き残る術がない事を理解していた。


 もう少しで麻痺が抜ける......そうすれば、今の奴ならば殺せる。




 ◇◆◇◆◇◆




 ノアが着いたとき、遠目から見えていた城を覆っていた結界は消えていた。



「......? 結界あったよな?」


 周りには魔族か人かもわからないが、大量の血と肉片が転がっていた。

 しかしまともな死体は一つもなく、不気味な惨状となっていた。


「戦いの痕跡はあるのに......いや、とにかく入ろう。 こうしていても何もわからない」


 城の敷地内には、外とはうってかわって争いの形跡が全く無い。

 侵入者はいなかったのか?どういう状況だ?


 ......見られている。


 何者かの視線にノアが気がつく。しかし敵意の無いことがわかり、話しかけてみる事にした。

 情報が欲しい。


「ねえ、そこにいる人。 話を聞かせて欲しいんだけどー!」


「え......あ、ノア? ノアなのか!」


 暗闇から現れたのはレジスタンスのメンバーだった。見知った顔も何人かいた。


「もしかして、王を獲りに来たの? 今、町がどうなってるか知ってるの?」


「わかってる、わかってるが、国を変えるにはこのタイミングしか無いんだ! 革命に犠牲はつきものだろ? いや、今はそんな事言ってる場合じゃない。 中にヘンリー隊長とエルナが入ったきり連絡が無いんだ!」


「ヘンリーとレナが? なんで二人だけで......」


「ヘンリー隊長は、まず城内に居るはずの十二騎士を仲間にしようと単独で入っていったんだ。 王を反逆したベルフェゴールは十二騎士の敵......我々と利害が一致するからな」


「しかし待機を命じられてから、すぐにエルナが一人で突入していっちまった」



 エルナ。彼女は十二騎士に仲間を殺されている。作戦とはいえその十二騎士と組むのが嫌だったのか。

 それとも......。


「話はわかった。 とにかく君たちは町の方に行ってくれ。 中の事は俺がやる」


「ノア、おそらく、中に入れば出てはこれないぞ。 通信用の魔石が全く機能しない」


「そうか......うん、わかった。 行ってくる......町の方、頼むよ」




 スパッ......ぶしゅっ





 レジスタンスの一人が首を落とされた。


 側には黒フードの男が一人。片足を上げ、装着されている鮮血のついたブレードをぶらぶらと揺らしている。

 隣の首が無くなったレジスタンスはその場で踊るようにくるくる回り、そして倒れた。


「おめーがノアかあ。 あ、結界結界と......」


 城を囲う結界がまた復活する。ノアを招き入れたのはマニアラの罠だった。


「こいつら、侵入者がお前の仲間で良かった。 結界張り直した甲斐があったな」


 スッ......と、ブレードの先をレジスタンス達へと差し向ける。


「簡単に言うと......こいつら、人質。 お前はこれから死ぬ。 動けば殺す。 魔力に揺らぎがあっても殺す。 喋っても何しても殺す、が、頷くことだけは許す......わかったか?」


 ノアに拒否権は無く、頷く。この黒フードは強い......動けば確実にレジスタンスの人の首は跳ぶだろう。


「おっけーおっけー。 いいこちゃんで嬉しいよ。 それじゃあ......お前の腰それ、その剣。 それで自害しろ」


 少しの間。ノアの視線が落ちる。


「あはは、やっぱり怖い? じぶんの命は大切だよなあ、やっぱり。 じゃあお仲間殺すからなあ......」


 ノアが腰の剣に手をかけた。選ぶ剣は、神器・心映の三本の一つ、白の剣アーマインノ。


「やるなら、さっさとやれよ。 めんどくさいなあ」


 ノアがアーマインノを抜くと、白い粉雪のような神力がキラキラと刀身を舞った。



「お前、神器使い......勇者か何かか? ここで始末できてらっきーだったな。 ははっ」



 ノアが剣の頭を胸の下、みぞおち辺りへと当てる。



 そして、その美しい剣はノアの体を貫いた。




 やがてノアの膝が崩れ、その場へと倒れた。







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