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~78~ 王都攻略戦 ⑭

 



 ――ギリギリ!っぶねえ!


 ベルフェゴールのバルバトスから、エルナを抱き寄せ転がるように回避した。


 巻き上がる爆炎のような埃と煙の中、バルバトスの刀身にある眼のような赤い部分から、電撃のような光が伸びる。


 ギキキキキキッ!とまるで悪魔の鳴き声のような音を発している。




「......ヘンリー、お前もか。 情報の漏れ具合から、十二騎士の誰かがレジスタンスに内通しているとは思っていたが」



 ヘンリーはエルナの体をゆらす。


「大丈夫か! お前、なんで勝手に来てんだよ!」


「ぼ、僕は......だって、皆の仇を」


「私怨......ちっ! 俺の考えが甘かった......作戦の事ばかりで、お前の気持ちを考えていなかった」



 起き上がろうとしたときヘンリーはバランスを崩し倒れた。


「あ? なん......」


 ヘンリーの左腕が吹き飛んでいた。肩から先が無くなっていた。


「ま、まじで?」


「ヘンリー、お前にはまだ選択肢がある。 このまま魔族側へとつくなら殺さずにいてやろう......ただし、その娘を」


「――黙れ」


 ベルフェゴールの言葉を遮り、睨み付ける。私怨、それは俺が一番理解している行動原理。

 それなのに......自分がこれ程恨ましく思えた事は無い。



「ベルフェゴール、あんたに反逆する理由はあっても、そちらへつく理由はねえ......娘と妻の仇。 そして、こいつらレジスタンスの志半ばで死んでいった奴らの仇! ここで果たさせて貰うぜ!」


「ははっ......ヘンリー、正気か? お前はその娘と違い、俺の力を知らぬわけではあるまい。 死ぬのはお前になるぞ」


「お前こそ、ベルフェゴール、人の力を知る時だ......俺達が黙って命を差し出していたと思うなよ」



 ベルフェゴールの戦闘力、ヘンリーの秘策として用意されたもの。

 それは、ベルフェゴールの体へと到達できれば勝機のある策である......が、しかしそれもレジスタンスの仲間がいて、はじめて出来る勝機であった。


 一人で挑めば、死を免れない事をヘンリーは理解していた。


 しかし、退けない理由がある。



 このままエルナの想いを残しては置けない。ここで、エルナの運命を、未来を変えて見せる。


 まだ生きている、この娘の為に。





 ◆◇◆◇◆◇





 時計台が炎に包まれた。



 紅蓮隊と呼ばれる、戦闘部隊の隊長、イビルデーモンのアカギと言う赤い牛のような頭を持つ魔族。

 彼が放った炎魔法《爆炎陣》は、避難していた人民ごと時計台を焼いた。


「すまない、すまない、すまない......私は、私は!」


 彼には部隊の部下達がいた。大命四魔が提示した人間を食べることで達する水準の魔力量、そこに到達できないものは殺される。

 アカギは元よりそのレベルに達してはいたが、部下の殆んどは満たしていなかった。


 人の家族を持っていたアカギは、それをも人質としてとられているため、人を襲うしかなかった。


「家族」と「部下」


 二つの守る物の為、彼はなんの罪もない、殺される理由のない人々を糧とし焼き殺す。



「......隊長、私達は」



「いいい、いい、私はもう人の世界には帰れない。 人の世界もこうなってしまえば......もう。 だからお前達を生かす、生き延びろ......この犠牲になった人間達の命を無駄にしないために」


 時計台からは蒸し焼き状態にされた人々の声が、悲鳴が聞こえてくる。



 ああ、私の力では一思いに焼き殺してはやれなかったか......すまない、すまない、すまない。


 許してくれ、許してくれ、許してくれ......!



 バチチチチ――ッ!!


 突如として現れ、炎にまみれた時計台を駆け上がっていく、赤い髪の娘。



「誰だ!?」



 ~数十分前~




「レナを捜す。 あれに勝つにはレナの力がいる......本当は私が一人で殺したいレベルの獲物だけど、この状況じゃ難しいし」


 ステラは炎に焼ける時計台を見る。


「時計台......確か、避難場所に指定されてる」


「だから焼いてるんだろうね。 ステラ、全ては救えない......何度言わせるの」


「ごめん、ナツメ。 でも、手の届く物は救える......救ってみせるのだわ! レナをお願い!」


 バチチチチチチッ――ドガッ!!!


 全身に雷を纏わせ、時計台へと飛ぶような勢いで駆けていった。


「はあ......本当、人の話きかないなあ......」


 ナツメは溜め息を吐き、レナを捜しに走り出した。





 ガッガ――!!



 あっという間に頂上へと登り詰める。予測どおり、沢山の人々が行き場を失い集まっていた。


 赤子を抱える母親、床に倒れる老人、泣き叫ぶ子供。



 ステラは左手に白の雷を纏わせる。――私の想いを、乗せる!



 バチィイイイイッ!!!



 ステラが人々に向かって円状の波紋のように放った白雷には、メッセージが込められていた。



 ――時計台の対岸、脱出ようの梯子をかける――



 手に持っていた特殊な梯子を時計台の柵にかけ、向こうに対のようにある大きな建物へと跳ぶ。

 壁を蹴り抜き、適当な場所へ梯子を繋ぐ。



 これで、よし。あとは下の魔族......また焼かれたら意味がない。



 ドゥッ!!



 ステラは建物を離れ、下にあつまる魔族達へと強襲する。



「なんだ!?」 「ぐあっ」 「てめえ!!がっ」


 一瞬にして三人を気絶させる。


「貴方がリーダーね」


 アカギを見据える。しかしアカギは答えない。答えずにステラに向かい炎を飛ばした。

 それを紅雷を纏わせた蹴りで打ち払う。


 後ろからアカギの部下が槍を突きだしてくる。それをかわしみぞおちへ一撃。

 更にその隙をついて別方向から二人攻撃してくる。


「死ねっ!」 「裏切り者の魔族が!」


 !!


 その攻撃をも見切りかわし、後方へと跳ね退く。


「裏切り者......?」


 アカギの部下が言う。


「裏切り者だろーが! なぜ人を助ける! 俺らに死ねと言っているも同然だろーが!」 「そうだ! それが裏切りでなくてなんなんだよ!」


「どういうこと......なぜ、あなた達が死ぬことに繋がるの?」


「お前、ベルフェゴール軍の魔族じゃねえのか」


「俺達、ベルフェゴール軍に属する魔族は、管理されているんだよ。 戦闘に関する数値、特に魔力値は日にち毎に記録されている......そして、今回それを利用し魔力増減の確認、指定された値の増幅を確認できなかった者は、殺されるんだよ」


「命を奪われるの? なんで、そこまで......」


 アカギがステラの前にでる。


「私の部下達は、殺させない......そこをどけ」




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