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~74~ 王都攻略戦 ⑩

 



 ノアが子供を預けるため、医療館へと近づくと、特殊な結界が張られているのがわかった。


 この結界は......。


「誰か! 結界を解いてくれないか? 子供を避難させたい」


「......すまない、無理だ」


 結界は見たところ、多少強力ではあるがさっきの魔族レベルの奴に襲われてしまうと、おそらく破られてしまう程度の物だ。

 子供を預けたとしても安全とは言えない。けれど、連れたまま戦える程、この先に待つ魔族は甘くは無いだろう。


「頼む、子供一人なんだ......俺はこれから城に向かいベルフェゴールを倒す。 それまでの間、頼めないか?」


「ベ、ベルフェゴールを!? あんな化物を? 無理だろははっ」


 別の男の声が蔑むように笑うと、またさっきの男が言う。


「すまない、本当に無理なんだ......さっき、その手で魔族に侵入されている。 何とか倒すことは出来たが、もうあんな目に遭うのは......こちらにも子供が何人かいる。 危険はおかせない」


 やはり、そういう事か。これはもう解いてはくれないな......しかし、どうする。この子を置いていく訳にはいかないし。


「お兄ちゃん、僕、大丈夫だよ......どこかのお家で隠れてるから」


「それは無理だ。 魔族は嗅覚が鋭い......すぐに見つかる」


 が、もう仕方ない。あれを使うか。

 ノアの腰に左右二つづつの鞘に入ったロングソードが現れた。

 そのうちの一本を抜く。


 刀身が緑に輝く剣、《ユグドラシル》。



 俺の持つ能力、神器・心映の三本の内の一つ。


「すまないが、君を結界で封じ込める。 魔族には見つかるが、この結界であれば破れるモノはいない......一人で怖い思いをすると思う。 でも......君の勇気を借りても良いかな?」


「うん、がんばる」


 ノアは子供の頭を撫でた。


「名前は?」


「イダ」


「イダ、良い名前だね。 君の勇気を借りる......《世界樹の檻》」


 ノアがユグドラシルを地面に突き刺し、そう唱えるとそこから翠色の透明な木の根が、イダの周辺へととぐろを巻くように壁となり覆う。

 キラキラとした光が舞っている。


「じゃあ、行くね......できるだけ早く戻るから」


「うん、お兄ちゃん......ありがとう。 頑張ってね!」


 イダの言葉を背に受け、城へと走り出す。ベルフェゴール......どうして。




 ◆◇◆◇◆◇





 ギィンッ!!!



「――っとォ!!! あぶねえ!!」


 ギリギリの所、首の皮に触れるか触れないかのラインを、槍が通り過ぎた。

 バーナルは次の攻撃が来ることを予測し、大きく後退する。




 フローラのやつ、まさかこんなやべえ能力を持ってるとはな!


 フローラは扇を奪われた後、その武器を取り戻そうとはしなかった。

 すぐに地面へと手を触れ、彼女の眼が赤く光った......その瞬間、そこから三体の鎧を纏いし騎士が現れた。


 体には薔薇が巻き付き、青い花を胸に付けていた。




 ――あれは、この国を守り続け戦死したはずの騎士達。先々代の王が連れていた王直属の《白百合の剣》って三騎士だ。


 フローラは死体を操れる!しかも......



 グアッ......ズドオオオオオオオン!!!!


 三騎士の一人が放った剣技により、辺りの斬り倒されていた木々が更にグシャグシャに吹き飛ばされる。


 魔剣、《デストラード》の放つカマイタチにより辺りは当初あった美しい庭園の姿を大きく変え、荒れ果てていた。



 三騎士に魔剣まで持たせてやがる......戦闘力はおそらく、生前に勝るとも劣らないレベル!

 俺一人じゃ......やべえかもな。



「あらあら、どうしたの? 逃げ回ってばかり......鬼ごっこがしたかったのかしら?」


「いいねえ! 鬼ごっこ! 懐かしいじゃねえか!」


「......私、遊んでる暇ないのだけれど。 そろそろ殺しても良い?」


「そーいわねえでよ! つきあってくれや!」


 フローラの後ろの壁へと回り込み、壁を蹴り勢いをつける。そしてそのまま斬りつけたが、三騎士の一人が魔剣でガードした。


「――ちっ!」


 ふふん、とフローラが鼻をならし言う。


「甘いわよ......そんなスピードでこの白百合の剣を上回る事なんて出来なくてよ」


 バーナルは、そのまま三騎士と斬り結びながら、フローラから遠退く。


「え、そうかな?(いや、俺、結構早いと思うんだけど......こいつらやっぱり強ええわ!)」


 その時、わずかにバーナルに隙が生まれた。その瞬間を三騎士は見逃さない。


「――よし、斬った」フローラがそう勝ちを確信したとき、宝王器《死剣千》が鳴いた。



 ギィイイイイイインンンン!!!!



 ブオッ――ッ!!



「え」



 ドオオオオオオンンンンンン!!!!



 とどめを刺しに来た三騎士の一人がまるでフローラへと吸い込まれるように吹き飛んでいった。


 フローラは突然の事に反応が遅れ、逃れきれずに騎士と共に壁へと激突した。



「......っ、くっ......何が、起こった」


 今のはバーナルの剣の能力?斬りつけたものを引き寄せる能力ではない......?

 なぜ私に向かって......私に?けれど私はあの剣には斬られることはおろか触れてすら......。


 直撃し破片の散らばる地へと伏しながら、フローラは思考を巡らす。

 その時、気がついた。


 散らばる破片からあの剣と同じオーラが出ている事に。そうか......私じゃなく、騎士はこの壁にあるオーラに引き寄せられたのね!


 と言うことは、あれは磁力的な力を与える事の出来る剣......。



 バーナルの持つ、宝王器《死剣千》はフローラの読み通り、磁力を与える事の出来る剣であった。


 与えられる対象は三つ。剣で触れられればプラスかマイナスの属性オーラを与える事が出来る。


 そしてこの能力の強み、それは、剣の所持者の意思でプラスとマイナスを自由に入れ換える事が出来、その発動タイミングもまた自由。


 オーラは発動した時の一瞬だけしか見えなく、それまでは何処についているかはわからない。



 フローラは騎士にあたった右腕が潰れ、壁へと突っ込んだ衝撃で体にかなりのダメージを受けていた。


 う、動けない......くっ。



 そして残りの二人の騎士が磁力により、ぶつかり砕けた。

 脚や腕などバラバラにされ、もうフローラの戦うすべが無くなってしまった。



「さて、鬼ごっこ......終わる?」



「そうね」



 顔をあげたフローラは、笑っていた。


 ......あ?なんで、笑って?

 


 !!!!



 バーナルは気がついた。体に薔薇が侵食している事に。



「私の能力が、死体を操るだなんて、誰も言ってないのだけれど?」



 ――くっそ......油断、した......!




 バーナルの意識が黒く塗りつぶされて行く。







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