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~58~ 会議室

 



 ――では、これより定例会議を始める。


 王が口を開く。


「皆の者、迅速な集合助かる。 ありがとう」


 欠席が六名、その内、四名が出張である。残り二人は無断欠席。

 その二人は俺がこの会議に参加しはじめてから一度も姿を見たことがない。


「では、報告からいこう。 No.1から頼む」


「はい、先月から~......」


 順々に報告をしていく十二騎士。会議自体は基本的に三十分くらいで終わり、騎士同士が揉めたり難題があげられるともっとかかる。


 今回は滞りなく進み終わった。温度の下がった紅茶を一気に喉奥へと流し込み席を立つ。


「ノア。 飯、いかねえか?」


 彼はNo.5 ガルデア・シーア。


「時間がなければまた今度でも良いわ。 ちなみに私のおごりよ......どう?」


 そして、ご飯へ一緒に行くと毎回おごってくれる彼女。


 No.2 ミミ・アマリアス。


 二人はかつて俺の敵で、殺しあいをした相手だ。

 港町ミーナル、そこのレジスタンスにお世話になっていた俺は、襲撃してきた王徒十二騎士に殺されかけ、仲間を殺された。


 怒りと憎しみに飲まれ、魔神と化した俺は二人を殺した......はずだったけど、そこにはもう一人十二騎士がいたらしく(偽物を生成する能力者により、二人は隙をみて入れ替えられていた)、二人は重症を負えど、命を落とすことは無かったらしい。


 ガルデアは、俺が斬り落とした片腕が無く隻腕で、ミミは片眼が潰れ再生能力も半減してしまったらしい。


「俺は良いけど......キア、行けるかな?」


「あ、え、うん......大丈夫......(あ、また私の事キアリクじゃなくてキアって......嬉しいかも)」


「わっかりやすいやつだなーお前」


 ガルデアがキアリクへ言うと、うるさい!と尻を蹴られていた。


 ガルデアとミミが俺に目をかけるのは......おそらく、殺してしまった償いと負い目からだろう。

 それでどうにかなるなんて、多分二人も思っていないけれど。


 俺も、今まで殺した命へと償いをしたとして、どうにもならないことはわかる。その価値に見合うものなど、決して他には無いから。


 けれど、俺達は仲間だ。今の俺は......この人達と関わり、理解を深めたことで、この二人の事も好きになっている。

 そう、心に傷を負っているのは、俺だけではない。この二人も過去に......。




 ◆◇◆◇◆◇




「王よ......ノアはどうだ?」


「うん。 彼ならば、やれるだろうね」


「ふむ。 では、例の作戦を?」


「そうだな......もうすでに国外でも戦果を出している。 少し大きな仕事になるが、それだけに得られるものも大きい」


 ノアにとっても。あの国はおそらく魔界の手に落ちている。であれば、彼の目的にも近づくはずだ。

 しかし......これは。


「ベルフェゴール......お前はどう思う?」


「......」


 王はその鎧により見えない目を見つめる。


「それは......ノアを信じるかどうかだな。 俺に問うことではない」


 ふっ......と、王は微笑み、それもそうか。と呟いた。

 王は確かな予感がしていた。近く、このグライン王都が魔族により攻められると言う予感が。


 おそらく内通者がいる。


 そして、タイミングを見計らっている。




 ◆◇◆◇◆◇




 ぽつ......。




 ......ぽつ......ぽつ......。





 雨が降り始める。




「おい、ミミ、おまえさー、なんでこんなこぼすのよ。 もったいねーだろ」


「うるさいぞ、ガルデア。 静かに食べろ......こぼしてごめんなさい」


「いや、お前がこぼすから......え? あ、はい(話の構成おかしくね?)」


「ふふ、ミミさんは食べるの一生懸命だから......」


 ノアが笑うとミミは顔を赤くする。


「ふ、ふん。 美味しいからな......仕方ないだろう」


「ガルデアさん、今日はお酒飲まないの?」


「ん? ああ、これから夜勤なんだよ......飲みてえけどな。 ははっ」


「ノア、お前はこれからなんかあるのか?」


「俺は王と手合わせを......」


「ああ、すげーな。 本当に期待されてんだな、お前。 王も仕事が山積みのはずだからな......ま、頑張って強くなって、俺らを楽させてくれや!」


 ガルデアは、にひひと笑顔を見せる。

 俺もにひひと笑い返す。


 その隣でミミが追加のオーダーをいれていた。まじで?まだ食うの?

 既にキアの三倍食べてるんだけど......。



「お、いたいた......ノア!」


 声のする店の出入口を見ると、ヘンリーがいた。彼も十二騎士の一人だ。


 No.7 ヘンリー・ストーン


 雨に濡れた服の色が変わっていて、降っている雨の強さを現している。


「王との用事おわったら家来てくれ。 お前今日はそのあと予定なにも無いって言ってたよな?」


「うん。 あ、でもキア......」


「良いわよ。 私もヘンリーの家には用があるしね」


「おし、決まりだ......ん、おめーらもくるか? ガルデアとミミ」


「いや、俺は夜勤あるからな。 また今度誘ってくれ」


「私もやることがあるから......すまない」


「いやいや、急に誘ってわりいな。 またな!」


 そういうと、持ち帰り用のワインをオーダーし購入。んじゃ、待ってるからな!と、扉をあけどしゃ降りの雨の中帰っていった。


「雨、やまなそうだしね......しかたないか」


 ミミがグリラムのチキンクリームパスタを頬張りながら言った。


 ......。


 しかたがないから、どしゃ降りの中帰らないとねって事?

 それともしかたないから色々食べて時間潰すって事?


 どっちにもとれるなこの人。




 ◆◇◆◇◆◇



 結局、雨は上がらずその中を移動した。途中で傘を買い、キアと一緒に入り王の待つ城へと到着した。


 時間までまだあるな。


 今は......十八時三十五分。大きな掛け時計を見ているとあることに気がつく。


 あ、あの秒針......剣の形だ。今、初めて気がついた。


 その時、正面の大きな階段からベルゴが降りてきた。


「ノアか......久しいな」


「あ、ベルゴ......じゃない、隊長。 うん、久しぶり。 半年ぶりかな」


「お前の活躍は聞いている。 誇らしいぞ......良い騎士になったな」


「ありがとう......」


「約束は覚えている。 そう心配するな」


 !


「うん、ありがとう。 頼んだよ、隊長」


 ベルゴは、通りすぎ様にノアの肩をポンと手をのせた。


 そうだ、俺が今出来ることは......強くなること。力がなければ何も出来ないのだから。


 勿論、それだけでも足りないけど。



「......ノア? 大丈夫?」


 キアが物思いに更ける俺を心配する。


「あ、うん、ごめん......行こうか」




 そして、王の待つ部屋の扉を開けた。





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