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~番外編~ ある勇者の


ブックマークが100件つきましたので、記念にあるキャラクターのサイドストーリーを書きました!


皆様、応援ありがとうございます!φ(゜゜)

 



 俺が生まれたのは、暗い森の奥。とある里......ではない。


 勇者である俺だが、本来の勇者の出生地となる、「勇者の里」の者ではないのだ。


 そのため勇者の里には行ったこともないし、その途中にある選ばれた者しか正しい道を進む事の出来ない「迷いの森」を越えることが出来ない。


 では、どこで生まれ育ち、勇者になるのに必須である戦闘教育を受けたのか?


 実は俺は王都グラインの王の息子なのだ。そこでは何故か勇者の里でしか生まれるはずのない勇者の俺が生まれた。

 物心つく時には剣を握り、振り回し、八歳になる頃には魔物や魔族、魔獣を倒しその血にまみれていた。


 俺には兄弟もいたが、彼等は俺を嫌っていた。兄二人と妹が一人。彼等には勇者の素質もなく神力が無く、魔物討伐や戦闘教育が俺ばかりに集中。


 それが要因なのか原因なのか、兄二人による嫌がらせが頻発した。

 時には訓練用の剣を隠され、時には食べ物の中に虫をいれられ、酷い時には階段を突き落とされた。

 まあ、俺は勇者の体で頑丈だからものともしなかったが、普通死にかねないぞ、と。俺で良かったな、と思った。


 まあ、「勇者」だからそう言う事をされているのかと言う事を考えると、なんとも言えないけど。

 俺も普通の人間だったなら、皆と普通に遊んだり勉強したり......過ごせたのかな。


「お前は我がグライン王国の希望だ」


 王である父上は、毎日のようにその言葉を俺に言っていた。


 希望......か。



「父上が俺の事、希望だって。 希望ってなに? なんで希望なの?」


 銀髪の彼女は、長い髪を撫でながらこう言った。ちなみに彼女はいつも花のついた杖を持ち、俺の側にいる。


「そうですね。 この国は魔族が多いですからね......知ってますか? 魔族が多くなってきたの、ここ数年の事で割りと最近の事なんですよ」


「? それが何なの?」


「おそらくですが、グラインは狙われているんです。 ここ最近目にする魔族には、魔界種の物が多く目立つ。 それを王は察知し、あなたならそれらから国を守り抜けると信じておられるんですよ」


「そうかなあ、俺そんなに自分が強いとは思えないんだけど」


「ふふ......」


 彼女は自分の頭につけている花の髪飾りに少し触れ、微笑む。

 なんと可憐で美しい事か。ちなみに俺はこの人の事が好きだ。

 見た目二十くらいに見えるが、詳しくは教えてくれなかったけど、俺とかなりの歳が離れているらしい。


「あなたが戦いで使っている武器......神器は、普通はある儀式をしなければ発現させる事が出来ないんです。 それだけでもとてつもない才能が有る事がわかりますが......」


「あなたの内包する神力。 それは十四歳である今の時点で、かつての勇者達の神力量を越えているんですよ」


 さすがにそれは無いでしょ。と内心、俺へのやる気をださせる為のあれかなと思っていた。


「そっか......あ、ちょっと友達と話してくる。 すぐ戻るから父上には言わないでね!」


「はい。 お気をつけて」


 そして俺は走る。グラインの町はとてつもなく広い。その外側にある農家の集まる地区があるんだけど(王城の正反対にあるから全力で走っても三十分くらいかかる。遠すぎる)、そこに俺の友達がいる。


 そいつは農家の娘でシルフィと言う。


 女の子で、見た目がとても美しい。髪は茶髪の髪色で肩にかかるかかからないかくらいの長さ。耳横に三つ編みをたらしている。......まあ、さっきの銀髪のマーリンには勝てないけど!(ごめんね、シルフィ)


「おーい! もうそろそろ昼休憩だろー? 遊ぼーぜ!」


「ん? あ、またお前か、二番。 待ってろすぐ行く」


 シルフィは割りと口が悪い。ちゃんと嫁として貰い手がつくのか心配である。(まえにこれ言ったら半殺しにされかけた)


「おー、わかった。 ゆっくりでいいよー!」


「ああ、あんがと」


 一生懸命に草取りしてる。本当に頭の下がることだ。俺が食べている物もこの人達が作ってる物でしょ?

 こんな大変な作業を毎日ずっと。そう言う意味では俺よりよっぽど強いよな、この農家の人達は。


「ふぃー、やっと終わったぜ。 ちょっと剣もってくるから......あ、終わったら、ごはんお前も食うか。 なら家の方行こうぜ」


 シルフィがそう言った。


「うん、ありがとう。 こんどまた食事代もってくるね。 お肉が良い?」


「ばーか、そんなの気にすんなって。 俺のかーちゃんととーちゃんも気にしてない。でも、肉でお願いします。 鶏肉がいいかな!」


 俺とか言っちゃってるけど、この人女の子だからね。ちなみにこの素直な所が結構好きだったりする。




 ――ヒュン!


 ふっ!......っと!


 ガキィーン!――シュン!


 よっ、ほっ......!



 火花が散る剣の撃ち合い。シルフィの剣速に後手で俺が打ち続ける。ヤバい、負けそう。


「おい、いいのか? また押しきられるぜ?」


「く、くっそ......!」


 シルフィは頭が良い。これは挑発。俺の食いつきそうな部分を的確に判断し、言葉をなげてくる。

 この「また」と言うのがポイントである。


 ――シッ!ガキィーンッッ!!!


 俺の剣が吹き飛び、喉元にシルフィが剣先を突きつけた。


「お前さあ、こんな軽い挑発に乗ってんじゃないよ。 だから()()なんだよ。 ぷぷぷ」


「う、うるさい! 笑うな!」


「また」「二番」そう、これはまたで、二番なのだ。

 シルフィとの出会いはグラインでの剣技の大会であった。


 これは魔法等の飛び道具が禁止され、魔力や神力も封じ、純粋な剣の力のみを見る大会で、国中の腕自慢が集まり競うもで俺達はそれに参加していたのだ。


 俺は王族で勇者である事からとてつもない程の戦闘教育を受け剣の技術もかなりのものとなってたから、そこそこ上にはいけると思っていた。大体十位以内に入れれば良いかな、と。


 けれど始まってみると、これがびっくり。あっという間に決勝にまであがっていた。嘘だろ、俺、子供だぞ......と、この国に住まう剣士達の力に不安を覚えた俺だが、さらに嘘だろと言う出来事が起こる。


 決勝の相手が同い年くらいの女の子だったのだ。まじでこの国大丈夫か?と思った。


「よろしく。 まさか、君みたいな可愛い女の子が決勝の相手だなんて......びっくりだよ」


 そう俺が言うと、彼女は獣も裸足(裸足だけど)で逃げ出す程の威圧感と鋭い睨みで俺の心を折ってきた。


「......はっ。 王族の期待の子供だか勇者だかしらないけど、舐めてると恥かくぜ? 農家の娘に負けるなんて」


 ええ、こわっ......なにこの子まじで同い年?すげー威圧感と殺気なんだけど!

 でも俺だってここまで勝ち上がってきたし、魔物とか倒してるし、プライドだってあるんだよ!やってやるよ!

 その狂犬染みた態度とプライドをボッキボキに叩きおってやるよ!!


「......お手柔らかにお願いします」


 多分この時点で勝敗が決したのだと思う。心がね、負けてたんだね。



 結果はシルフィが優勝で俺が準優勝。この時から彼女が俺を二番と呼ぶようになった。


 そして、その剣術はどこで習ったのか分からないが(我流だった。化物かよ)自分より強いものと手合わせすれば、俺の実力もあがるだろうと言うことで王の許しを得て、友達になった。

 ......彼女には最初すごい嫌がられたけど。


 まあ、俺はそんな事は関係なくシルフィとは友達になりたかったんだけど。実は剣の腕を上げるの方が口実だったりする。


 それからは、剣の手合わせ以外にも、食事や普通に釣りしたり虫取したり、たまに農業の手伝いをしたりした。

 そしてたくさんの時間を共にし、話をしてわかった。シルフィは口は尋常じゃなく悪いけど、優しいし一緒にいて楽しい。


「......なに、にやにやしてんだよ」


「え、いや、別に」


「なんだこいつ......まあ、あれだね。 剣、腕上がってんじゃん」


「え......ありがとう」


 たまに顔を赤らめて、照れながら誉めてくれるのもポイント高い。ツンデレってやつか?






 これが後に俺の勇者パーティーの一人となる、シルフィ・クイーンだった。







皆様、応援ありがとうございます!

これからも頑張りますので、よろしくお願いします!


また何かの節目で色んなキャラクターのサイドストーリーの短編を載せます。


ブックマ、評価、読んでくれている皆様、本当にありがとうございます!φ(゜゜)

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