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57/103

~55~ 王

 











 ――ぽたっ。






 ――ぽたっ。







 目がさめると、身体中に白い布が巻かれていた。




 手足をベルトで固定され、身をよじる事すら出来ない。




 動けない。




 自由なのは、目くらいなもので、しかし目が自由なので、辺りを見回す事ができる。




 あ、耳と鼻も()くしそれも自由と言えば自由か。




 見える範囲にあるものは、扉が一つ。



 天井には灯用の魔石を使った装飾が吊るされている。



 部屋は全体的に白一色で、なんだか落ち着かない。




 ......。




 ここは何処だ?




「......っ!」





 身体中が痛い。僕は確か......あの時......そうだ、あの時。





 ガチャ。





 記憶を辿ろうと、ゆっくりと思考を働かし始めた時、ドアが開いた。




「......はぁ、まったく。 何で私がこんなこと。 どうせ今日も起きないわよ。 いや、今日どころか死ぬまで起きないのに。 もう()()この状態なのよ? いい加減にしてほしいわ......」



 凄く不機嫌そうな女の子が入ってきた。




 背がすごく低い。僕より年下のようにみえる......子供?




 白髪で、腰の辺りまでありそうなロングヘアー。目はとても綺麗な紫で、まるで硝子玉のように透き通っている。





 そして



「何が兵器利用よ......私だって忙しいのに......」



 ん?



「......」




 彼女と僕の視線が交差した。




「......え」


 白髪の女の子は目を丸くしていた。動きがぴたりと止まり、十数秒の時がすぎた頃、口を開いた。


「お目覚め、ね。 さて」


 そう言って彼女は腰に携えていたナイフを抜いた。


「殺しはしないから暴れないで。 少し血を貰うだけよ」


 指先をちくりと刃物の先端で刺す......少しだけ血液が付着する。

 それを彼女は指先へと付け、()()()


 あ、え......な、舐めた......?見間違いか?


 白髪の女の子は


「......え」


 と、言った。


 彼女は対象の血液を舐めると、相手の心と魂を見ることの出来る、《深心眼》と言う魔眼を持つ。効果時間は三分間で、再度同じ相手の心を読むには、また同じく血を舐めなければならない。


 彼女は思った。()()()()()()()()()()()()()()()()



 今まで、こうした尋問や戦いで、多くの人と魔族の魂を見てきたが、これ程の力強くて優しい......淡く碧翆に光る魂の形を見るのは、初めてだった。



 この子は......そうか。彼がこだわる理由がわかった。

 私を担当に指名した理由も......これは、魂を可視できるものなら、惹かれてしまう。


 強く感じる。覚悟と悲しみ、そして強烈な意思の力を。




「――キアリクさん?」


 扉の方から声がした。いつの間にか扉が開かれていて、白い帽子を頭に乗せた、糸目で金髪ショートの女の子が顔をひょっこり出していた。


「さっきからたたずんで、どうしたんです? って、あれ......え!? 目覚めてる!!」


「シータ......報告は少し待って。 とりあえず体調を確認してくれる?」


「キアリクさん、それ......命令違反なんですが。 いや、いつもの事か......」


「あまーいもの、食べたくない?」


「おっけー! そこどいてください!」


「はやっ」



 機敏な動きで検査を始めるシータ。



「君は、どうしてここにいるかわかる? 貴方は長い間眠ってたの......記憶はある?」


 問いかけ、心を読む。そのため彼女に嘘は通じなく、故に尋問を担当する事が多かった。


 だが、キアリクがその相手に興味をひかれるのは初めてで、本来であれば、他に人の立ち会いを求め行う尋問だが、心情を一人占めしたいと思ってしまった。


 これが、彼女の人生を狂わせる事になるのだった。





 私は、この人の事をもっと......知りたい。





 ◆◇◆◇◆◇





「これは......?」


 手首に赤色の手錠をかけられた。ちょっと大きい。あとゴツイ。


「封印具よ。 簡易的な物ではあるけれど、これはただ魔力、神力を抑えるものじゃない......自分へと帰ってくるの。 だから破壊不可」


 成る程。力ずくで壊そうとしても、循環して破壊できないようになっているのか......。


 ひんやりとする封印具の感触が、不思議と心地良い。


 この白髪の子、名前をキアリクと言うらしい。金髪の女の子はシータ。お互いにそう呼んでいた。


 キアリクが僕に幾つかの質問をしたあとに、また人が増えた。今、室内には僕含め六人。


 キアリクとシータの他は男の人で、名前はわからない。わかるのは何かがあった時のための戦闘兵だと言うこと。

 武器を皆携帯している。


 そして様々な検査と質問をされ、数時間が経った。


 キアリクが誰かと連絡用の魔石で話をしている。


 それを終えると、僕は立たされ、目隠しをされた。次に、部屋をでるよう促される。



 いったいここは何処なんだろう。



 沢山の疑問と思いが出ては消えて行く。



 けれど、不思議と不安は無かった。




「どこへ......?」



「......もうすぐよ。 足元、気をつけて」



 キアリクが返す。



 目隠しをされているが、周りに人がいるのがわかる。視線を感じる。





 やがて僕の手を引いてた人の足が止まった。




「SS+死刑囚、連れてきました」





 大きなドアがゆっくりと開く音がした。





 目隠しを外される。




 僕は、大きな部屋に連れてこられていた。



 そして目の前には、金髪の鎧を着た男が、僕を迎えるように立っている。


 そして思った通り、沢山の人が距離をとって周りにいた。皆僕を見ていた。



 目の前の金髪の男が話し出す。



「君が......成る程。 ......さて、体調は如何かな? 眼が覚めてすぐに歩けるとは思っていなかったが......流石だね。 それでこそ、だ」



「あの......僕はいったい......。 どうしたらいいの? 早く皆の所へ戻らなきゃいけないんだけど......」



「いや、残念だが君は帰せない。 しかしここへ呼んだのはその事について、話をしたかったからなんだ」


 帰れない......いや、僕は帰る。皆が待っている。半年も待たせているんだ。どんな方法を使おうとも、帰る。


「君は沢山の人を殺した。 故に今君は、重犯罪者として死刑になる予定だ......しかし、それを回避することもできる。 が、それには時間もおそろしくかかる」



「その内容とは、この国での兵力となること。 君の力は殺すには惜しい......だからこの国へと力を貸して欲しいんだ。 それに応じ、君の罪は軽くなっていく......簡単に言えばそんな話だ」


 それは......多分、一生とか、そのくらいの途方もない時間がかかるんでしょ?


 そんなの......



「が、もう一つ、道を用意した」



 まわりがざわめく。「もう一つ?」「そんな話会議ではなかったぞ?」「何を言っているんだ?」と、沢山の人が口々に言う。




「この場で私と戦い、殺せれば君の罪を無くそう」




 ざわめいていた場が一気にどよめきと変わり、側にいたキアリクが叫ぶ。


「な、なにを言っているんですか!? 貴方は自分の立場をご理解しておられるのですか!? 撤回してください!!」


 キアリクの言葉を聞かずに、彼は剣を抜く。そして僕にも同じものを投げてよこした。



「......!」



「使うが良い。 能力もな」



「僕は、無駄に命を奪うことは、もうしたくない......」



「だが、このままではお前の時間という命が奪われるぞ? お前の守りたいものも守れないかもしれないな?」



 守りたいもの――




 そうか......じゃあ戦うしかない。僕には守らなければならない物がある。

 これは仕方ない事。覚悟を決めろ。



「いい目付きだ......思い出したか。 何が大事かを」




 僕も剣を抜く。彼はマイナと言う人に、今の会話を記録しているな?と確認をとっていた。私が殺されれば彼は無罪だ、いいな?と。


 側のキアリクが僕に声を潜めて言う。



「......あなたに言っておくわ」



「今、あなたが戦おうとしてる人は、あなたの会いたがっていた人よ......この際、やってみるといい」


「あなたの想いをぶつけてみるの......」



「僕の......? 彼はいったい」



「あの人が......この国の、グライン王国の」





「王様よ」







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