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~42~ だから彼は

 


 レジスタンスって、なに......?グライン王国に反逆?

 国を変えるってこと?


 急に言われて混乱する......でも、それって、それが本当なら、僕がやろうとしていることを、この組織はしようとしてるってこと?


 だったら、僕の戦う場所はここなのかもしれない。まだ、わからないけれど、この人達と一緒に戦えば......もしかして、変えられるかもしれない。


「まあ、この組織や入隊の話はボスが帰ってきてからだな。 旅の疲れもあるだろう。 部屋を用意させるからお前らは......あー、とりあえず、そうだな」


「「「海!!!」」」


 おお、ステラとレナとエルナが同時に叫んだ。そして、そんな三人をみてリンドがぴょんぴょんしながら尻尾をふって、キュウ!と鳴いた。可愛い。


「おめーら、行くぞい! 海に入るようのあの......あれだ、着るもの貸してやる! こっちこーい!」


 エルナがはしゃいでそう言った。


 ◆◇◆◇◆◇



 なんっっっっじゃ、こりゃ!?


 ステラ達が着替えにいって戻ってきたとき、僕は衝撃をうけた。なんか下着みたいな姿で帰ってきた!?と。

 僕は思った。身に付けている、着ている部分って、胸と下の部分だけ......ってか、もうパンツじゃん!下着じゃん!

 こ、これ、こんな格好で泳ぐのか......?これ、僕、見ていいの?


 あまりの肌の露出に見ていてくらくらしてくる。なんか暑くなってきた。


 ステラはスカートみたいなのを履いていたが、いままでそんな格好をしたことがなかったため、赤面し、目が潤んでいる。

 きっと二人と遊びたくて、頑張ってあの姿になったんだろう。そう考えると......ちょっと、可愛すぎませんか?


 興味の無さそうなふりをするノアに、レナが近づいてくる。きらきらとレナの美しい金髪と笑顔が眩しい。


「ノアさん! ノアさんもほら、海はいりましょう! 冷たくて気持ちいいですよ!」


「あ......い、いや、僕は......」


「なんだよ、泳がないの? せっかくガンディーから泳ぐのにそれ借りたんだろー? 気持ちいいぞ? あ、魔物の心配? ミーナルはかなり強い結界はってるからな。 海の中にもあるし。 襲われる心配はないぞ」


「あ、うん。 でも、なんか怖くない? 海って......」


 海の大きさと、魔物は出ないと言われたけど、このどこまでいっても広がってそうな深々としている感じ。引きずり込まれそうで怖い。

 あの人とか......あっちのあの人とか、よくあんな遠くまで泳いで行けるな。


「ああ、まあ、初めての海だから、泳ぐの怖いってのはわかるわ」


「そうですね、私も最初は近づくのも怖かったです」


「ノア、私と一緒に浜辺でいるのだわ」


「うん、そうする。 エルナとレナは泳いでて」


「おー、わかった」「はい、です! 行くよーリンド!」


 キュウ!と、二人と一匹は走って海に突撃していった。リンド、元は紙のはずだけど大丈夫なのか?

 あ、大丈夫っぽい。普通に泳いでる。


 楽しげなエルナとレナ、リンドの声を聞きながらステラを見る。最初は恥ずかしくてあまり見れなかったけれど、この格好のステラも綺麗だ。


 ステラって本当に美人さんだよね。なんか、まつ毛ながいし瞳の色も緋色で、時々光できらきらしているし。唇はふっくらとしていて、艶っぽい。

 髪も長いけれど、艶々していてさらさら。黒の中に赤みがあるのがまた独特な美しさがある。

 とか考えていたら、ふいっとそっぽを向かれてしまった。


 あれ?


「......そ、そんなにじっと見つめられると、は、恥ずかしいのだわ」


 あ、しまった。あまりのステラの美しさに見惚れていた。


「あ、しまった、あまりのステラの美しさに......あ?」


 やばい!気が動転していて、思ってる事口走ってしまった!間抜けかっ!僕は!


「......なっ、なに言ってるの! ノアはそういう所あるのだわ。 そうやって、気持ちを振り回す......」


「え、あ、ごめんなさい......」


「ごめんなさい? や、やっぱりそうなのだわ。 私はあくまで守る対象ってことよね......あ、いえ、違うの。 なんでもないから、気にしないで」


 ステラが何を言ってるのか、よくわからない。きっと彼女も僕の言葉で混乱しているんだ。

 急にあんな事を言ったら、そりゃ恥ずかしくて混乱するよね。ごめんなさい。


「......うん、こっちこそ、ごめんなさい」


「あ......うん、だ、大丈夫なのだわ」


 妙な間が、空気として流れる。なんだか、ステラの元気がなくなってしまった気がする。


 いや......違う。これは気のせいではないと思う。


 さっきの「なんでもない」は嘘の匂いがした。


 なんで、元気がなくなったんだろう。わかるのは今の会話の中でステラに変化があったと言うこと。

 ......うーん。わからない。見つめていたから身の危険を感じたとか?......違うな。多分。違ってほしい。


「......あ」


 と、僕が考え込み、下をうつ向いていたらステラがふいに声をあげた。

 僕はどうしたのかと、ん?と言い顔をあげると、町を囲うように設置された魔石の明かりが灯っていた。日が落ちはじめて、自動的に反応して光始めたのだろう。


「綺麗......なのだわ」


 ステラは明かりを見上げ笑顔になっていた。ダーナムの村にあった灯りの魔石とはまた違い、様々な彩りで飾られていて淡く幻想的に見えるように設置されている。


「すごい、ステラ、すごい綺麗だね!」


 綺麗だ。本当に......ん?綺麗......。


 ふと横のステラを見ると、目が合う。男と女、体格の差でステラは僕を少し見上げるように見つめている。


「......あ、ごめんなさい」


「ううん。 綺麗だね」


「星みたいなのだわ」


「本当に......ステラみたいだね」


 そういう事だよね。ステラが落ち込んでいたの......ステラは、前に私のノアと言った。

 あれが聞き間違えで無いのなら......いや、違うだろ。

 ずっと一緒にいて今まで何を見てきたんだ?


 この子は、彼女はずっと僕の側に居てくれて、身を案じてくれて、そうだ、最初からだ。

 出会ってから、そう、ずっと。


「ステラ、僕ね」


 ?と、頭に浮かべるステラ。僕の顔を見上げたまま聞いている。



「僕、ステラの事が大切なんだ」



「え......」



「ステラは、いつも僕の側にいてくれて支えてくれて......だから、まだ先の長い旅だけれど、頑張れる」


 ステラの緋色の瞳を見つめ言う。


「ステラの事......えっと」


「好き、だ」



 少しの間。



 ステラは頷き、答える。


「うん......わたしも、ノアが好きだよ」


 にっこりと笑うステラは煌めく星の輝きにも似た美しさだった。





 想いを伝える。伝わらないものをたくさん見てきた......だから、大切な僕の想いを。




 ステラが、この先それを大切に生きていけるなら、僕は......。





 憎しみと歪みに身を投じた僕は、この先どうなるかわからない。


 せめて、彼女の記憶にのこそう。





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