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~99~ 白い月

 



「ノア、少し良いかな?」


 まだ修繕作業の途中にある城の廊下を歩いていると、背に声を掛けられた。


「あ、王......どうしたんですか?」


 ノアは資料室へと向かう途中で、王の間とは反対の方向だったためこんな場所で会うとは思わなかった。

 少し驚き気味のノアに王は続けた。


「相談、と言うか頼み事なんだが......」


「......」


 その時、ノアは表情で意思表示をする。


「そ、そんな嫌そうな顔をしないでくれ。 まあ、無理もない反応だが......と、とにかく資料室まで行こうか?」


 少し焦った王は行く先を促す。

 王はよく頼み事を俺にする。しかもそのいずれも結構な面倒事で、例えば、どこだかの国へ行き内乱をおさめろだの、魔獣を倒してこいだの、一癖も二癖もある頼み事なのだ。


 今度は何だろうと考えている顔が、自然に険しい表情に見えたのか。

 でもそれは仕方ないでしょ?王の頼み事が毎回そんな感じなんだから。


 そんな事を考えていると、資料室へと到着した。ドアノブに手を掛けた時、王はこう言った。


「......ありがとう。 ベルフェゴールの事。 彼を送るのは、俺の役目だったのに」


 それは、今までに聞いたことのない声色で、ともすれば少年のような雰囲気だった。


「え?」


「彼は行き場を失っていた。 勿論、ベルフェゴールは七つの大罪で人の敵だ。 けれど、彼がこの国へ残してくれたもの、護ったものは大きい......今回の内乱での死は、彼の願いだったんだ。 だから、これは王ではなく、俺、個人としての礼だ」


「......俺は、今でもわからないです。 ベルフェゴールの想いはあの剣と共に確かに受け取った。 けれど、俺の手も血にまみれ、汚れている......そんな俺が、想いを継ぐべきだったのか」


「ノア......」


 王の声は優しく、諭す様に言う。


「それだよ。 想いを継ぐべき者で無ければ、その涙は流れない......」


 ノアは言われて、泣いている事に気がつく。



 ベルゴ、俺に......戦い方や生き方を教えてくれた。


 十二騎士へと所属するまでは、毎日の様に稽古をしに来てくれた。



 ベルフェゴールの最期を思い出す。彼の優しい言葉をノアは心に反芻し、継いだ想いを確認する。




 そうだ。俺は......やらなければ。




「王、もしかして、俺への頼み事って......」


 彼は静かに頷き、また王の口調へと戻る。


「ああ、魔王討伐の件だ。 まあ、なんだ。 こんな所で何時までも立話もな。 部屋へ入ろう......」



 ? 資料室で話をするのか?王の間でなく?


 と、部屋へ入るとすぐに王は結界を張った。


「結界? なんで......」


「ああ、簡単な結界だ。 けれどこれで私達の会話は聴かれない」


「......聴かれない? 誰に?」


「ノア、この国には大きく分けて三つの勢力があると言う話はしたな? しかし、それは大きく分けての話で、我が国王サイドにも私を良く思っていない人間は居る......」


「反乱分子って事......?」


「いいや、単に私のやり方が気にくわない連中さ。 隙あらば王の座を狙っている。 ちなみに今回の件......あれ、私、拐われて戦いに参加できて無かっただろ? あれをネチネチやられたりしている」


 何だろう、言い方のせいかあんまり......。

 結界張らないとダメなの?って感じなんだけど。


「まあ、そんな感じで俺は今魔王討伐へと行かされそうになっているんだよ」


 !?


「え、もしかして、あれって王が考えた事じゃ無いんですか?」


「そりゃそうさ、一時的にでも私が居なくなったらこの国、ヤバイぞ? そんな事聞き付けた他国が侵略してくる。 ......まあ、それも狙いの奴も居たりするがね」


 それは反乱分子だ。ええ......軽めに見せて重い話だったんだけど。


「と、それは良いんだが、そうだ、お前への頼み事。 それは、ステラにも関係しているんだ。 彼女は魔王の娘なんだよな?」


 ステラの事、レジスタンスの事、俺は全て王へと打ち明けた。王は話せばちゃんと聞いてくれる人だと言うことをこの数年の月日でわかっていた。

 現に討伐対象にもしないし、むしろ話したいから連れてこいと言われ、三人で食事をしたこともある。見張り付きだったけど。



「ステラは、そうですけど......それが?」


「ノア、ステラ、二人には魔王と話をしてきて欲しい」




 ......ん?なんて?





「ん? なんて?」


「うん、魔王を説得してきて欲しい」


 あれ、お願い何かグレードアップしてない?


「私が魔王討伐に言ったときの事、お前に話した事あるだろ? 私は......私達はあの魔族を討伐対象としてみれなくて帰って来た。 だから、万一また私が魔王と対峙したとしても、倒すことは出来ない」


「だから、話し合い......けど、言いましたよね? ステラは魔王に追放されたんです。 話し合いになんてならないでしょう」


「うん。 けど、私達が魔王城に行った時、魔王は娘をかなり溺愛してきたのを目撃している......っていうか、実際ノロケられたしな。 その時、実は私は抱っこされているステラも見ている」


 あー、やばいかも。ちょっと混乱極まってきたわ。え、え?魔王ってそんななの?

 そんな親バカ的な魔族なの?

 こう、血も涙もないような感じじゃないの?

 

「まあ、そんな反応になるのも無理はない。 だからお前達には確かめに行って欲しい。 本当に魔族は人と相成れないのか......どうすれば双方、こんな悲しみを生まないで済むのか」


「で、でも、魔界に入るとか無理でしょ? 行くとしたらあのヤバい国のどれかに入国しなければならないんですよね? 俺一人じゃ無理ですよ」


「一人じゃない。 お前が選んでいい。 十二騎士でも誰でも好きに連れていけ」


 ええー、そんなん無茶苦茶じゃん。誰もこねーよ!

 と、暴言を吐きそうになる口を押さえる。


「......」


 あ、やべ、また怒ってる。と、王は内心どきどきしていた。


「ベルフェゴールの望みが......。 これが多分一番近い方法、ですよね」


「......ああ、そうだな。 限り無く不可能に思えるが、上手くいけば血も涙も流れない。 平和が訪れる」


 今まで、幾人もの勇者や騎士、戦士が夢を見て戦い続けていた。けれど、現実は何も変わらず魔族と人との関係は悪化していくばかり。

 そう、決して簡単な話ではない。けれど......




「わかりました。 俺とステラが魔王との対話へ......旅します」




 こうして、新たなノアの旅が始まる事になった。













今連載させて頂いている、【落ちこぼれ勇者と追放された魔王の娘】は100話で一度完結させていただきます!


続きは軽く書き留めてから7月中に新たな作品として、連載し始めようと思います。

日にちは決まり次第、追って活動報告にてお知らせします!


ノアとステラの新たな冒険に、またお付き合い下さると嬉しいです!

よろしくお願いいたします!φ(゜゜)ノ


ちなみに、100話到達記念とpv100000到達記念の短編を新たに始める連載の方でやろうと思っているので、よろしければお願いいたします。


ここまで続けてこられたのは、読んでくださった皆様のおかげです。

そして何よりも大きな力となったのは、ブックマークや評価をつけてくださった皆様です。

心から感謝しています。ありがとうございますφ(゜゜)ノ


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