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~97~ 魔族の人夢

 




 城の地下。



 捕らえられた魔族が一人。封印式と鎖により身動きの取れない黒フード。



「てめえ、さっさと、これを解きやがれ......」


 にこにこと笑いながらそれを見ているのは、魔術師マーリン。


「ダメに決まっているじゃないですか......あなたは超危険人物なんですから。 怖くて解けるわけないじゃないですかー」


 けらけらと笑う声が響く。



「あいつは......ベルフェゴールは、最期になんて言っていた?」


「ごめんなさい、私、その場には居なかったので、聞いてませんね」


「そうか」


 黒フードの魔族、ウリアラは内乱時、この国の防御結界を破壊するべく、城の地下へと複数の半魔(魔族へ改造した人間)を連れ降りた。

 しかし、そこに待ち構えていたのは三人の神人。


 ウリアラと連れていた半魔の兵は、そのたった三人の神人に倒され捕らえられていた。



「あなた、なぜ逃げなかったの? あの領域で神人に勝てるハズないでしょ? 神力の流れる、神脈......あそこでは神人のあつかえる神力は無限にも等しい」


「......まあ、な。 けど俺らには、もう」


 俯くウリアラにマーリンは興味無さそうに言い放つ。


「まあ、何でも良いわ。 あなたが役にたってくれれさえすればね......処刑まで一週間。 大人しくしてなさい」


 晒し首、か。まあ、良いか......残してきた魔族達が心配だが、こうなってはもうどうにもならんからな。


 ああ、良いよ......ベルフェゴール、いや......アクト兄さん。

 賭けはあんたの勝ちだ。


 俺達は、その礎になろう......あんたの愛した人の平和の。




「人か、魔族か......この戦いに終わりは無く、あるとすればどちらかが滅んだその先。 共存なんて無理なのさ」


 未だ多くの魔族が、人と神人に憎悪の念を抱いている。人も多く魔族に命を奪われてしまった現状では、本当の意味での平和は......。




 ◆◇◆◇◆◇




「ねえ、ティアラ様......何故こんなになるまで遊ぶの? 修復するの私達なんですけれど?」


 ぷんぷんと怒る金髪の女の子は、その三つ編みになった髪を右手で振り払う。

 それを微笑みながら、楽しそうに眺めているのはティアラ。


「だって、楽しかったんですもの。 あとこうでもならないとあなた達帰って来てくれないじゃないですか? リマ、アマ」


 先の怒りながら教会を修復している三つ編みの娘が、リマ。

 そして......。


「ねえ様......だめ。 ティアラ様には......何を言っても、無駄よ」


 こちらのゆったりと喋る、赤髪のショートカットの娘がアマ。二人で一つの特殊能力を持ち、リマが「修復」アマが「記憶」。

 アマが記憶をリマに流し込み、それをリマが修復する。


 恐ろしい量の神力が必要だが、無機物ならなんでも元に戻せてしまう。



「ティアラ様、わかっていると思いますけど、花は無理よ?」


 しゅんとするティアラ。


「わかっています。 ありがとう......」


 そしてリマが、ん?と、頭上に「?」を浮かべた。そう言えば。


「襲撃してきた魔族って、どうなったの? 殺したなら死体は?」


「ああ......彼は」









 這い出てくる幾つもの白骨に、カミナラは体の自由を奪われる。


「なん......これは! ありえねえ、これ程の神力......一個の生命体が保有できる量じゃねえぞ!!」



「あはははは......! どうしますか? ねえ、ねえねえ! ほらほら十秒だけ待ってあげよーか? うふふふ」



 カミナラはこの時、生きては帰れないことを悟る。そして、それならばと、自分が此処で死してもまだやれる事があると、使役している最後の魔神へ命を流した。


 記憶も能力も保持は出来ないが、殺されてはこの先魔族の悲願を叶えることは出来ない。

 で、あれば、とにかく生きる。それが最優先。


「え、あ......まって! だめ!」


 それに気がつくと、悲しそうな声色でカミナラへとすがり付くように言う。


「もう少し、もう少しだけ、遊んでください! 一人に......しないで」


 そうしてカミナラの気配が消え、彼だったモノの死体だけが残った。



 荒れ果てた大聖堂に、女の泣く声が響いていた。









「もう少し、遊びたかった......」


 呆れた顔をするリマとアマ。


「ティアラ様、これは遊びではありませんよ! まったく、いつまでもその調子だと困ります」


「ティアラ様......敵は、ちゃんと、殺さないと......またお花、潰されちゃうよ?」


 ティアラ、頭の上に「!」を出した。


「確かに。 それはいけないわ......わかりました。 今度お会いした時には、しっかりと殺してあげましょう」



「そう言えば、あの子は? あのーほら、十二騎士の」


「ああ、ノアですか?」


「そうそう。 今回の内乱は参加してなかったんですか?」


「参加してましたよ。 ふふふ、彼、戦績良いですよ。 なんと、大命四魔二人とベルフェゴールを殺ってます」


 リマ、アマが目を見開く。アマは普段感情を表に出さない子だったので、これはレアだ。と、ティアラは思った。


「......嘘でしょ? だって、大命四魔って......ティアラ様ならともかく、簡単に倒せる相手じゃ無い」


「そ、それに......ベルフェゴール......って、あの、ベルフェゴールだよね? 七つの大罪の......ティアラ様か王様じゃないとまともに戦うことも......できないはず」



 何故か、ふふん!と胸を張るティアラ。まるで自分が褒められているかのように嬉しそうだ。



「あの子はできる子なのです! ちなみに他にも魔界で名のあるらしき魔族も何体か倒してますよ。 ナナが言ってました」


 ナナとは、神徒教会の忍で情報収集の任務を主に行っている。今回はノアの成長ぶりを確認してきてとのティアラのワガママで、半ば無理矢理につかされた。



「またこきつかわれてんのかい......不備だな」


「大丈夫、沢山おやつを与えています」


 うん......何が......大丈夫なの?と内心ツッコミをいれたアマ。

 ちなみにナナは十二才。天才忍である。




「......あ、そうだ。 アマ、内乱と言えば、第三支部の教徒達の反乱はどうなりましたか?」


「......あれは、あそこの......神父が皆喰い殺して終わり......ゴールズ、すごく強いから......」


「あらあら。 それでは人手が足りないのでは......うちから何人か派遣しましょうか?」


 リマが首を横に振った。


「やめよう。 反乱はおこるべくしておこったんだよ、ティアラ様。 派遣なんてしたら、家族が殺されてしまう......」


「ああ、成る程......彼、少々暴力的な方ですものね。 殺されてしまったら、殺しに誰かをまた派遣しないといけませんからね」




 遥か西にある国、オオドール。そこには神徒教会第三支部がある。

 そこの大聖堂をおさめているのが神父ゴールズ。


 日に三十もの人の肉を食べる、喰人鬼。







読んでいただいて、ありがとうございます!

もし、続きが気になる!と思っていただけたなら、下にある☆☆☆☆☆を押して応援してくださると嬉しいです。


面白いと思っていただけたら星5つ、あんまり面白くないと思ったら星1つ。もちろん正直に感じた気持ちで!


そして、もしよろしければブックマークも押していただけると嬉しいです!


皆様に、応援とブックマークや感想をいただくことで、執筆をがんばれるので、よろしくお願いします!


◆◇◆◇◆◇



皆様、いつもありがとうございます!

このお話も、もうすぐ100話をこえようとしています。

ここまで読んでくださりありがとうございます!

そして、お知らせなのですが、一旦、王都編+後日談で終わらせようと思います。

勿論、続編は書きます!

詳しくは、活動報告にて近々書きます!φ(゜゜)ノシ







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