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自転美少女  作者: 夜行画伯
第1章 中学1年生と小学生時代
5/17

第5話   凍りついた表情 ★

現時点で、全5話中3話分が過去編になっていますが、今後は割合を少なくしていく予定なので、お付き合いいただければ、と思います。

あとは、毎日投稿がいつまで続くか…ですね。

隣の家の向こうで麻衣ちゃんが、笑みを浮かべながら、両手を広げてぐるぐると回っていた。

その麻衣ちゃんの姿に、僕はどこか釘付けになった。

理由は、彼女が回っている姿がどこか美しかったからだ。


初対面で会ったかわいさとは、また違ったものを感じた。

まだ…といっても、今日が初対面だったわけだが、もっともっと彼女の新たな一面を見たいと強く思った。


しばらくすると、麻衣ちゃんの身体がふらつき始めた。

表情を見ても、明らかに目が回っている。

そこから3秒ぐらいすると、麻衣ちゃんの姿が見えなくなった。

おそらく倒れたのだろう。


少し心配にはなったが、まぁ大丈夫だろうと結論づけた。

それでも心配ではあるので、明日聞きに行こう。

うんっ、これで明日会う理由が作れた。

それに、僕たちが通う小学校は、どういう雰囲気の学校かを教える必要がある。


今日も、会う前は麻衣ちゃんのお母さんの後ろに隠れていた。

新たな学校生活も最初は不安な気持ちに違いない。

だったら少しでも、麻衣ちゃんの不安が消えるようにしていかなければいけない。


明日、何時ぐらいに行けばいいかな…。



~そして次の日~


行くタイミングを前日から考えた結果、行くなら昼頃かな…と思っていたが、僕から行く必要がなくなった。

なぜなら…僕が行く前に、麻衣ちゃんが僕の家に来たからだ。


『優くんっ。おはよう!!』


麻衣ちゃんが来た時間は、朝の9時だった。

僕と違って行動が早い…。

まぁ僕の事情を麻衣ちゃんが知るよしもないのだが。


『あ、今日も昨日と同じで、僕の部屋に入る?』

『うんっ!!おじゃましま~す。』


さらっと今回も麻衣ちゃんを自分の部屋に誘ったけど、冷静に考えてみれば、男女が二人っきりという状況なんだよな。

しかも、昨日が初対面という。

うん…それは、麻衣ちゃんが僕のことを信頼しているからだと思う。

だから、その信頼を裏切らないようにしたい。


『お茶を出すから、ちょっと待っててね。』

『あっ、何かゴメンね…。』

『ううん、全然いいよ。』

『優くん…ありがと。』


お茶を出す以外に、部屋を抜けた理由はもうひとつある。

それは、少し頭の中を整理して、落ち着きたかったからだ。

まずは、麻衣ちゃんがここに来た理由を聞くのがいいだろう。


コンコン

『はぁ~い。』

『おまたせ。お茶もってきたよ。』

『ありがと~。じゃあいただくねっ。』


お茶を飲んでお互いに一息ついたところで、僕のほうから話を切り出した。


『今日はどうしたの?』

『あっ、そうだね。いきなり来たからビックリしたよね。』

『ううん、別に大丈夫だよ。』


嘘です。実はビックリしました。


『えっと、まだ来たばかりで分からないことが多いから、優くんに色々と教えてもらおうと思って。学校のこととか。』


どうやら、僕が麻衣ちゃんに会おうとしてた理由と、ほぼ同じ理由らしい。


『そうなんだ。実は、僕も麻衣ちゃんと同じ理由で、昼頃に行こうかな…って思ってたから、ちょうど良かった。』

『そっかぁ…優くんも同じことを考えてたんだ。でも…そうなると、麻衣が先に動いたから、麻衣の勝ちだねっ。』


いつの間にか麻衣ちゃんの中では勝負になってて、僕は負けてしまったようだ。

でもまぁ確かに…と納得はしていたので

『次は負けないよ。』

と言っておいた。


そこからは、僕たちが住んでいる町の情報や、学校の情報などを麻衣ちゃんに教えた。

色々なことを教えている内に、時刻は11時になっていた。


麻衣ちゃんが家に来てから、2時間経過していたことになる。


『もう2時間経ってたんだね。』

『うん…すごくはやい。』

『学校楽しみになってきた?』

『うんっ!!まだ少し不安はあるけど、優くんもいるから。』


うん、良かった。

これで今日の目標は、ほぼ達成したようなものだ。

麻衣ちゃんにとっても良かったと思う。


『新しいところで、初めて仲良くなった人が優くんで良かった。昨日会ったばかりの麻衣にとても優しくしてくれたから。』

『うん…。僕も麻衣ちゃんと仲良くなれて良かったと思ってるよ。』


なんか照れる。

麻衣ちゃんも『えへへぇ~』って笑ってるし。


そんな穏やかな雰囲気のなかで、【昨日】というフレーズが出たことで、ある出来事を思い出した。

『あっ…そういえば、昨日のことで思い出したんだけど…。』

『ん?なあに?』


僕が今日麻衣ちゃんに会ったら、聞いておきたかったことの一つだ。


『昨日の夕方ぐらいのとき、麻衣ちゃんぐるぐる回って倒れてたよね。あのあとケガとかしてなかった?』


今日一緒に話をしている限りでは、ケガをしてるような素振りはなかった。

だから大丈夫だとは思うが、それでも心配ではあった。

僕からすれば、特におかしいことを言ったつもりはないと思う。




しかし…




『えっ………。ど、どうして………。』




僕の質問を聞いた彼女は、凍りついた表情を浮かべていた。

次の話で、2人の出会いに関する過去編は終わります。

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