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暗闇  作者: もんじろう
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7

 私と中田は手前の通路の陰から様子を伺った。


 しばしの後、急に明かりがついた。


 どうやらランタンが設置されており、妻がそれに火をつけたようだ。


 わざわざ、ここでしか使わないとは念の入ったことだ。


 入口で誰かに見とがめられたときの用心か、それともランタンがひとつしかないのか。


 何にせよ、これで妻の姿はよく見える。


 妻は何度もこの場所を訪れているからか、とても落ち着いて見えた。


 半分こちらを向いた顔が最近、見せることが無くなった、花のように可憐な笑顔であることに私の全身の血が逆流した。


 本来、私に向けられるはずの妻の愛は、これからここに現れるであろう男に盗まれていたのだ。


 そして妻は。


 歌を口ずさみ始めた。


 花畑で遊ぶ少女のように。


 隠しきれない喜びが妻の口から外へと、こぼれ出したのだ。


 私の中の何かが壊れた。


 もちろん、こうなるおそれのあることは分かっていた。


 そのための準備も、ちゃんとしてきている。

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