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「そう、浮気相手の住む別荘は、大原さんの屋敷の近くにあるのです。2人は水曜日と金曜日の昼間、お互いの家を出て、廃坑の中で合流するわけです。さすがに坑内までは確かめていませんが、2人の様子からして不貞は間違いないかと」
私はショックを受けた。
予想はしていても、真実を目の当たりにするのはつらいものだ。
「ここから追加の費用をいただければ、画像や証拠を揃えて、お渡しします。離婚の際には、かなりの有利になりますよ」
中田が揉み手して言った。
本当に嫌な奴だ。
私は中田が思っているのとは別の案を切り出した。
「2人が逢っているところを私が押さえたい」
「ええ!?」
中田の目が丸くなった。
「それは…」
困った顔を見せた。
「あまり、おすすめは出来ませんね。その…修羅場というのは何が起こるか分かりませんし」
私は中田が要求していた金額の10倍の額を提示した。
中田はすぐに難色を引っ込めて、私の案を了承した。