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暗闇  作者: もんじろう
20/23

20

 極度に緊張した状況では、短い時間も長く感じる。


 ライトが何かを照らした。


 人だ。


 人が倒れている。


 小野が倒れているのか?


 私は警戒しながら、倒れている人物に近づいた。


 うつ伏せだ。


 顔が見えない。


 後頭部から血を流している。


 頭のそばには野球のボールほどの大きさの石が転がっていた。


 石には血がついている。


 何だ、これは?


 小野が殴られたのか?


 誰に殴られたというのだ?


 ここには私と小野しか、生きている者は居ないはずだ。


 私はまったく動かない人物へと手を伸ばした。


 ひどく嫌な予感がする。


 何かがおかしい。


 明らかにおかしなことが起こっている。


 私はうつ伏せの人物の身体を仰向けに動かした。


 小野ではない。


 知らない男だ。


 よく見てみれば、ハイキング向けの服を着ているが、小野のものとはデザインがまるで違う。


 何なのだ、これは?


 この男は、いったい誰なのか?


 混乱する私の後ろから、ぬっと手が伸びてきて、右手のナイフを叩き落とした。


 落ちたナイフを拾おうと反射的に屈んだ私を誰かが突き飛ばす。


 私は簡単にバランスを崩し、地面へと倒れた。


 とっさに両手を前に出す。


 危うく顔面を打つのは回避できた。


 倒れた状態から後ろへライトを向けると、そこにはナイフを拾った小野が立っていた。


 またも、してやられた。


 小野は、もうひとつの坑道に居たのか?


 そして私をやり過ごし、背後から近づいたのか?


 立場は逆転した。


 私は狩る側から狩られる側になったのだ。


 小野のライトが私を照らす。


「これは誰だ!?」


 私は小野に訊いた。


 まったく見当がつかなかった。


 危機的状況だというのに好奇心が抑えられなかった。


 小野は無表情だった。


「それは大原夫人の浮気相手の小野です」


 小野が…いや、小野ではないと言いだした男が答えた。


 恐怖がジワジワと全身を侵食していく。


「じゃあ…君は誰なんだ!?」


 私は言った。

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