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小野は中田の死体の上着に手を伸ばし、財布を取り出した。
財布の中の運転免許証を見つける。
小野の動きは止まらない。
さらに上着を調べ、中田の名刺入れも発見した。
小野は免許証と名刺を何度も交互に確認している。
小野がこちらへ顔を向けた。
私のライトの光に浮かび上がった小野の顔は蒼白になっていた。
唇が震えている。
「あなたが名乗った中田というのは、この人の名前です…そしてこの人は探偵だ…そうすると…」
私は生つばを飲んだ。
小野は真実を知ってしまった。
もう、決着をつけるしかない。
「あなたはいったい誰ですか?」
小野が訊いた。
私はロープ以外にも用意してきている物があった。
なるべく使いたくはなかったが。
祖父がコレクションしていたナイフの中から、使い勝手の良さそうなひとつを持ってきていたのだ。
私はポケットからナイフを出して、鞘から抜いた。
小野は私の動きを見ていた。
そして。
突然、猛獣のような声をあげ、私に向かってきた。




