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これ以上の裏切りがあるだろうか?
私の判断は間違っていなかった。
そう、私は正しい。
正しいからには、この難局も乗り越えられるはず。
妻と2人で私を嘲笑っていたに違いない小野にも罰を与えなければならない。
折れかけていた私の闘志に火がついた。
腹をくくると全てが楽になった。
そうなると、不思議なことに私は尿意をもよおした。
これから小野を殺害する前に、すっきりしておくのが良いだろう。
私は小野に尿意を告げ、坑道の陰で事を終えた。
そしてランタンに照らされた場所へと戻った。
小野の姿が無かった。
私は愕然となった。
どこへ行ったのか?
私に止められて、奥へ行くのを諦めた小野の顔が浮かんだ。
いけない。
私は奥の坑道へと走りだした。
しばらく進むと、小野が居た。
やはり、奥の道へと活路を求めたのだ。
小野はライトを持っていた。
そのライトを地面の1点に当てている。
中田の死体を照らしていた。




