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暗闇  作者: もんじろう
13/23

13

 男と見つめ合い、どれほどの時間が過ぎただろう?


 ひどく長く感じたが、実際は1、2秒だったのではないか?


 突然、ものすごい轟音が響いた。


 私と男は、お互いが出会った驚きも忘れ動揺した。


 何かが崩れるような音が、私と中田が入ってきた入口の方向から聞こえた。


 天井からパラパラと砂ぼこりが落ちてくる。


「まさか!?」


 私は思わず、そう言った。


 嫌な予感がする。


 音が次第に収まってきた。


 私は2人の死体も妻の浮気相手も忘れ、上着を放り出し、ライトをつけて入口への道を走った。


 やはり、恐れていた事態が起こっていた。


 入口の天井が崩れ、完全に通路が塞がっていたのだ。


 これでは外には出られない。


 長い年月で坑道の天井が老朽化していたのだろうか?


 そして、ついに崩れ落ちた?


 何と運が無いのか。


 何もこのタイミングでなくても良いだろうに!!


 うなだれた私は、とぼとぼとランタンの場所へと戻った。


 妻の死体が私を出迎えた。


 死んだ妻は大人しい。


 浮気相手の男の姿が見えない。


 そう思った途端に男が現れた。


 私と中田が入ってきたのとは別の坑道からだ。


 すなわち、男が入ってきた入口に通じる道ということになる。


 男の顔にも私と同じ疲労の色があった。


 と、いうことは…。


「こっちはダメでした」


 私の心を読んだかのように、男が言った。


 何てことだ。


 私とこの男は、廃坑に閉じ込められたのだ。


「こっちも塞がっていた」


 私の言葉に男は落胆した。


 男は妻の遺体と私の両方に距離を取っている。


 当然だが、私を警戒しているだろう。


「ところで」


 男が口を開いた。


「あなたは誰ですか?」

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