82 マジックポーション?
『フィア、なにたべてるの?いいにおいする。』
ハンバーガーの匂いにつられたのか、ハクが目を開けた。
「ハクも食べる?私の創ったハンバーガーっていう食べ物よ。」
万能庫からもう一つ出してハクの鼻先に近付けると、赤ちゃん犬サイズのまま、可愛くカプッっと齧った。
『んんー!おいしいよ!フィアのまりょくだ!』
そう言いながらあっと言う間に食べてしまった。
ハク…今のこのハンバーガー2個分くらいの体格で何処に収まってしまったのか。まあ、これは仮の姿なんだろうけどね。深くは考えないよ。
「美味しい?良かった。もっと食べる?」
『うん!これたべると、まりょく、すぐいっぱいなるみたい。ちからいっぱいでるよ!』
んー?ハクの魔力が満タンになる?私の魔力で創ったハンバーガーは魔力の塊という事かな?
…って事は?マジックポーションと同じ効果も出せる?
私も食べたけど、わかんないわ。自分で出した魔力をまた戻した感じ?
元々自動回復速度が早いし、元の値がデカ過ぎて差異がわからないのね。死にそうになった時、便利かもしれない…死にそうな(本当は死んだんだけど)事態はもう経験したくないから、断固回避しますけどね。
…誰かを実験台に…兄様きっとお仕事で疲れてるだろうなぁ。小腹が空いちゃうんだろうなぁ…ふふ。私が今から美味しいオヤツを差し入れしますからね。
あ、でも頭使ってるだけで、魔法使ってないから意味ない?だけど、一応食べさせてみよう。
うーん、魔力が回復するかどうかの実験体、どっかに……!いるいる!ギルドマスター!数時間でどれくらい回復するのか知らないけど、まだ全回復してないんじゃないかしら。
転移するまでも無く、すぐに冒険者ギルドが見えて来た。
受付のお姉さんに聞いたら不在だった…ギルドマスターは既にマジックポーションを使って、またどこかに出掛けてしまったという事だ。残念。
仕方ない。今日は諦めよう。
領軍の魔法士達が、魔の森ダンジョンで活動し始めたら、提供してみるしかないわね。
それじゃ、急いで邸に戻ろう。




