81 楽しいわー!
「全く…お前が次々に何事か起こすから、私はまだ領主をアルに渡せなくなったぞ。やらねばならん事が増えていくばかりだ。だが、楽しくなって来たな。何と言っても、建物や整地はフィア、お前が居るお陰で理想的な物が出来る。金もかからんのが凄い。本当は街の人足に作らせて、景気を良くする方が良いのかもしれんが、一時的な需要では街は潤わん。冒険者が増えれば、街が潤うが街の治安維持が疎かになる。だが、この方法なら、冒険者も呼べるし街の中の治安も保ちやすくなるだろう。」
良かった…それじゃ、ガンガン造りますかね!
広場はちょっとした村ぐらいまでの大きさに広げ、南門の対角にある場所から真っ直ぐ魔の森まで石畳を造る事にした。幅は馬車がすれ違えるくらいが良いかな。
目に見える範囲まで造り、転移して、またその先を造る。周りは草原でウサギとかが潜んでいるだろうけどね、お構い無しよ。きっと逃げてるでしょ。
これなら、今日中に終わるだろう。
…私の魔力はまだまだ、大丈夫そうだ。
ハクは私の腕の中でスヤスヤ眠っている。うう…可愛い過ぎる。今の大きさは赤ちゃん犬くらいの大きさまで小さくなってて、軽いし、ふわふわだし、もうたまらん!って感じよ。
おお、森の端っこが見えて来た。
私が最初にトレントを駆逐した場所とは少しズレてるから、また駆除して、道を開かないとダメね。
多分ここら辺一帯は本物の木は無いと思うから、更地に出来るでしょう。
更地にしたら、森に入る前の中継地でも造りますかね。だって、普通に歩いてきたら、数日かかる距離だもの。私には転移があるから日帰り出来るのよね。
あ。父様、門の所に置いて来てしまった…。連れて来た方が良いかな?
私が南門に転移で戻ると、門番兵2人が慌てて走ってきた。
最敬礼をされ、魔法士の手配が終わったと、ガダン兵長が迎えに来て、父様は既に邸に戻ったと報告された…畏まってめっちゃ丁寧に説明してくれた。
急いで戻って来ることなかったなー。トレントやっつけてくれば良かったよ。葉っぱも欲しかったし。
まあ、いっか。取り敢えず私も帰ろう。今日はちょっと疲れたよ。お腹も空いて来たから、もうすぐ夕方なんじゃないかな?
ちょっと、さっきストックしたハンバーガー食べてみようかな。そういえば味は確かめてなかったよ。もし、食べてみて味が無いなんて事になったら、最悪だわ。
眠っているハクを片手に、ローブから出すフリをしてハンバーガーを1個出す。
歩きながら一口齧ってみる。
おお…お、美味しい!懐かしのハンバーグの味が口の中に広がり、涙が出そうになった…。
ケチャップの味も懐かしい…。ソースとケチャップを半々に混ぜて絡めたやつも食べたいよ。
ああ…そう、ケチャップで思い出した。オムライスも食べたいわぁ。
やっぱり、この世界で米を探さねば。絶対にあると信じてみよう。女神様…お願いします。コメを!米をこの世界に創造して下さい…お願いします。
今度また教会にお祈りしに行こう。あ、そうね、教会ももっと大きく綺麗な建物にしよう。孤児院もね。
私は転移するのをやめて、南門から邸まで歩いて帰る事にした。
今の街の様子を眺めながら帰ろう。
ああ…楽しいわー。
うふふ。今夜からはハクが居るから、モフモフ抱き枕があるのよー!あぁ楽しみ。今日もぐっすり眠れそうよ。




