77 前世の食事が懐かしいの
用意されていた食事は、謎肉の塩味ソテーと塩味のスープ、果物、パンだった。もう、この薄味には慣れてしまったけれど、前世の食事が懐かしい。
怖くて試していないが『プリーズ』でカレーライスとか、ハンバーガーが出せるだろうか。もし、出せたらどうしよう。時間とか空間とか次元とか色々超えちゃって、日本から召喚しちゃってるとしか考えられない。日本のどこかのご家庭やお店から無断でお取り寄せしちゃってるならば、食べ物が忽然と消える不思議事件、或いは泥棒騒ぎになってしまうだろう。
んー?でも、魔石のネックレスは、絶対私が創ったんだと思う!って事は、言霊先生が私の魔力と想像力を原料にして創ってる可能性もある…。
やっぱり、後で試してみる方がいいかもしれない。
だって、出たら出たでガンガン万能庫にストックしておけばいいのよ。きっとこれから、ダンジョン攻略で必要になるかもしれないんだもの。
因みに、お肉を精霊魔法で焼いてみた事はある。炭化したとだけ言っておく。そして、生活魔法では生焼けでした。
なので、私の万能庫の中に食べ物は、以前くすねたパンしか入ってません…。お家で食事はしっかりとっていたので、今まで食べる必要もなくて、ずっと入れっぱなしなのよね。腐らないのは、以前のゴブリン収納で実証済みだから、まだちゃんと食べれるはず。
◇◇◇
食事を終え、部屋に戻るとハクは私のベッドの上でぐっすり眠っていた。…可愛い。
あ。そういえば、ハクのご飯は?この子は今まで一体何を食べて生きてきたのだろう。起きたら聞いてみよう。
そっと、身体を撫でてみる。
真っ白でふわふわの毛が気持ちいい。
あ…起きちゃった。触ったからね。ごめん。
『フィア、もっと、なでて』
「ごめんね。気持ち良く眠ってたのに、起こしちゃって。」
『いい。フィア、なでてくれたら、まりょくもらえる。げんきでる。』
「うん。じゃあ、沢山撫でてあげるね!だけど、ハクはお腹空かないの?森では何を食べてたの?」
『フィア、まりょくくれたら、おなかすかない。もりでは、まものたべて、まりょくにしたよ。』
「なるほど、魔物を食べて魔力を補給してたのね。魔力がご飯なのね?」
魔の森のフォレスト系の魔物を食べて、魔力を補給して生きてきたらしい。てっきり私は、ハクがフォレスト系の魔物達を従えてダンジョン魔物達と戦っていたのかと思ってたけど、フォレスト系魔物は仲間じゃなく只の食料だった様だ。
…良かった。ハクの仲間達だったら、討伐出来ないなぁどうしようと考えてたからね。




