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8覚醒(再)

 

「…うう…いやぁああっ…魔物がくるぅ…私死んだわぁ…あ…え?」


 …死んでない?助かったの?これは!


「私死んでないーっ!助かったー!やったぁ!ラッキー!」


 …と、ここはどこ?


「知らない天井だ…。」


 えへへ 一度言ってみたかっただけなんだけどね。


 ここは少なくとも、あの周りが吹き飛んだ場所ではない。


 フカフカのベッドで寝てます。


 身体の調子も悪くない…ちゃんと動きそう。


「よしっ!」


 気合いを入れつつ上半身を起こし…


「生きてるって、いいわぁ!もう瀕死はこりごりっ!

 健康が一番ねっ!」


 両腕を上に上げてガッツポーズしてみた。


 うん。問題なくちゃんと動くよ。嬉しい!


 …ん?


 目の前を光がよぎる。


 よく見ると、いくつものカラフルな光の玉のようなモノが私の周りをフヨフヨ漂っている。


 なんだろ。でっかい蛍みたい。きれい。夜だったらもっと幻想的で楽しめるかも。


 思わずその光の玉に触れてみたくて、手を伸ばすが…


 普通に届く感覚で伸ばしたけど、腕短っ!なんでっ?


 手も…ちっちゃっ!


 まるで幼児くらいの小さな手のひら。


 よくよく考えたら、目線も低い。以前の半分ほどの高さと思われる。


 ええーっと、なんか私の身体縮んでるんですけど。


 なんで?…いったいコレはどういう事なのでしょう?


 ふと、目の端に見えた自分の髪。長いのは知っていたが…


「…白い…?」


 さらりと腕にかかる、真っ直ぐでさらっさらな白髪。


 天然ウェーブのかかった真っ黒な自分の髪ではない。


「おばあちゃんになってしまったのかな?」


 あの魔物ショックで髪が白く…身体が小さく……それは無いな。


 老後のまったり充実生活を懇願し過ぎて、本当のおばあちゃんに……これも無いわ。だってシワシワ老人の手じゃないもん。


「鏡…鏡が欲しいっ!鏡プリーズっ!」


 なーんて言っても鏡が出てくるはずもな…く…?


 手のひらの上に小さな手鏡が現れた。


 で、出てきたぁーっ?!


 恐る恐る覗き込むと、大きくつぶらな美しい金の瞳がこちらを見つめていた。


 肌は陶器のように滑らか、色白で頰は微かにピンク色に染まり、髪は白髪では無く、日の光に透けて白金に輝いていた。文句なしの美幼女だ。


 こんな小さな時から美人だなんて…大人になったらどうなることか。この先が心配だわ。おばちゃんは。


 って、これ自分だった。


 髪に触れてみる。


「きれい…ツヤツヤ〜サラサラ〜気持ちいー…」


 あ…ステータス…。


 確認する癖をつけようと言ってたのに、もう忘れてた。鑑定とステータス。


「ステータスオープン」



 フィアルリーナ・ディラント(人族)


 5歳


 精霊魔法士


 Lv1


 LP (生命力)18000/18000


 MP(魔力)998999/999999


 AT(物理攻撃)300


 DF (物理防御)300


 MA(魔法攻撃)85000


 MD(魔法防御)72000


 魔法:

 精霊魔法(全属性使役可)

 生活魔法

 神聖魔法

 光属性魔法

 空間魔法


 スキル:

 錬金

 調薬


 固有スキル:

 精密鑑定

 言霊創造

 多重結界

 全言語理解

 万能庫


 称号:

 異世界からの召喚者・女神に愛されし者・王子の隷属者・王子に愛されし者・王国の守護者・覚醒者・転生者・精霊の愛し児


 装備:

 なし



 …はあ。転生者かぁ。ははは…やっぱり私はあの時死んだんだね。魔物にやられたような痛みとか感じてないから、その前にもうLPがゼロになったのだろう。


 にしても、なんなの。この派手なステータスは!


 前世のステ引き継いじゃってるよ。


 とても5歳児につけていいようなモノではないよ。この数字。


 称号だって、意味不明だし。消し去りたいものも残ったままだし。


 死んだのは、まるでつい昨日のような気がするくらいだし。


 もしかして、この子の身体を奪ってしまった…?


 そうだったらどうしよう…どうにもならないとは思うけど。


 この身体の5年間を思い出せたら、大丈夫。乗っ取った訳じゃない証明になるはず。


 うーんと…。


 しばらく目を閉じて考えてみる…と、朧げに色々な出来事が浮かんでくる。


 はっ!そう。馬車に乗って移動してる途中で、魔物が…そう、あの二足歩行の豚ーっ!アイツの顔見てショックを受けたんだ。


 トラウマになっちゃってるわ。


 そのショックで前世の私が覚醒してしまったと。


 こんな感じか…な…


 ん…?なんか視線を感じる。


 そういえば、この部屋には…私だけではない可能性があった事を忘れていたよ。しかも、鏡出しちゃったし。


 あ。もうこの際、万能庫にさっさとしまっておこう。


 小声で、下を向きながら「入庫」と呟くと、手鏡は消えた。


 そして、何もなかったようにさりげなく、視線の刺さってくる斜め後ろを振り向いた。



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