66 魔石
「…間引き…。フィアルリーナ様、トレントは防御特化した冒険者がギリギリ防ぎ、その間に攻撃魔法士や魔法剣士が火属性で削って倒す、手強い魔物なんですよ?…それを…こんなに沢山…倒したのですか?」
えー?炎ちゃんのファイアーアロー1本でワンパンだったけど…。
「はあ…そうですね。ファイアーアローを顔にブッ刺したら消えました。顔が弱点なのは皆さん知ってたりしました?」
お姉さんは溜め息をひとつ吐いて言った。
「トレントの攻撃はとても激しくその枝を掻い潜って、顔の位置を確認し、正確に攻撃をするのが至難の業なんですよ。」
ああ!そうね!私の場合は、精霊ちゃんがオートで攻撃してくれちゃうから、私何にも苦労してないです。私がしてたのは、ひたすらドロップアイテムを拾い集めて回るだけの簡単なお仕事でしたよ。
これをお姉さんに話して良いのかわからないので、そういうのが得意なんですと言っておいた。
それと、魔石の事も聞かれた。今回の魔石の中に、とんでもない高価な魔石が3個入っていて、それが何の魔物の物なのか不明で、ドラゴンなどの大型魔物の魔石と内包されている魔力量が似ているとの事。大きさはフォレストリザードなどと同じくらいだが、一体どんな魔物だったのかと聞かれた…。どうしよう。だが、先ず聞くのはこれだろう。
「それはいくらで買取になりますか?お金になるんなら、もっと出しますけど。」
「まあ、いくらで買取かと言われたら、1つ金貨100枚です。もっと…出す?!」
あー面倒くさい。金貨100枚で売れるんなら、手っ取り早くガンガン売りたい。魔物の魔石じゃない事は、よく調べられたらその内バレちゃうだろうし。
「はい…これは、私が合成した錬金魔石なので、いくらでも作れます。」
と、懐から出すように万能庫から更に10個くらい出して見せた。
お姉さんは、口をポカンと開けて私の手の上に乗っているまん丸の魔石を凝視した。
そもそも、魔石は何に使うものなのだろう?
聞いてみると、お姉さんは我に返って教えてくれた。魔道具を動かす動力源になるとか、杖に組み込み魔法士の魔法発動補助にしたり、剣に埋め込んで魔法剣にするのだそう。
そういえば、確かに私の国宝杖にもリタにプレゼントした杖にも先端に魔石が付いてたよ。
お姉さんありがとう。勉強になります。
良い事を聞いたよ。
…お風呂、作れるかも!兄様の魔法剣とかも作ってみたい!
お金に換えられる事が分かったから、これからは緊急の場合だけ売る事にしよう。




