58 あの防壁はダメですか?
あの魔術師の事件から数日たったある日、私は父様に呼ばれた。
なんだか、ご機嫌斜めの様だ。
ん…ん?なんかしたっけ。うーん…。
「フィア。『壁』で思い当たる事はないか?」
はっ!しまったぁぁ!父様に作った事さえ言ってなかった。やべぇッス。なーんも考えずに、毎日、ゴブ廃棄場所として使ってましたー!
「あの壁はフィアが作った物で間違いないのだな?」
「はい…。申し訳ございません。すぐに撤去して参ります。」
「いや、撤去はしなくてもいい。私はグランダ皇国との国境に壁を作った事に怒っているのではないのだ。寧ろ、壁の建設をしようと考えていたから、フィアには感謝している。しかし、問題は、アンデッドが多数、あの壁の向こうに出現する様になった事なのだ。…何か心当たりが有るのではないか?」
あ。そうね。そのアンデッドはゴブリンの姿をしてはおりませんか?
忘れてた…本に書いてあったっけ。魔素の多い場所では魔物や人の死体を火葬、浄化しておかないとアンデッドに変わると。私、なーんも考えずにポイポイしてました。
…壁の向こう側はホネホネランドかゾンビの国かな?てへっ。
「…では、どうすれば宜しいのでしょうか?あれはグランダ皇国からの侵入者を防ぐ為に作った壁なのです。あの国の者達は、単に壁を作るだけでは乗り越えて来てしまいます。その為の監視の人員を常に配置しておくのも、魔の森間近では危険だと思います。実は壁は2つ作ってあるのです。その2つの壁の間に魔物を使っての天然の罠地帯を作ったのです。そこにアンデッドが加わったとしても、寧ろ防御力が高まったと思えるのですが。」
「ふむ…。」
「もし、不都合な事があれば、私はすぐにでも魔物を殲滅し、浄化して、壁も撤去致します。」
「いや、わかった。そのままでいい。アンデッドや魔物が、こちら側に溢れて来る様ならまた作り直せばいい。」
良かった…撤去するのはもったいないよ。
「フィア…。これから何か新しい事をしようと思った時は、必ず私を呼びなさい。わかったね。」
「はい。父様。」
よし、これで何かをする時は父様も巻き込んでしまおう。転移なら一瞬で連れていけるもの。報告よりも直接見てもらった方が早いよね。
さあ、今日も張り切って稼ぎに行きますかね。
ゴブリンとウサギは飽きて来たし、ここら辺で魔の森の中の探検でもしてみたいね。
以前は目視できる場所に転移を繰り返しただけで、オークの巣にビビってすぐに帰って来ちゃったけど、今日から本格的にマップ埋めも兼ねて、森の中に入ってみたい。
これは、少し危険だから、兄様は連れて行けない。
敵わない敵がいたら、すぐに転移で逃げ帰る!




