56 兄様と散歩
あっと…兄様のことをすっかり忘れていました。
振り向くと、呆然としたままポツンと佇むイケメン兄様。あほヅラにならない所が凄い。大体、漫画とかなら、鼻水垂らして目が飛び出ちゃったりしてるもんね。はぁ…漫画、また読みたいなぁ…。
おっと、兄様は確か丸腰じゃなかったかしら。これからは武器を必ず携帯してもらおう。
ここはゴブリン平原(私命名)だから、早速パラパラと集まってきたわ。3匹いる。大体いつも3匹なのね。スリーマンセルとかで動いてるのかしら。
兄様にも、もちろん多重結界してあるから安全よ。
「兄様、そこ動かないでねー。雷ちゃん、サンダーランス。」
そして、ゴブリン達は3匹同時に倒れた。
そして、分別万能庫に入れて、魔石と本体を分別できた事に満足しながら、今度は、ゴブリン本体だけを取り出す。
「転移」
その3匹はすぐに壁の向こうにポイ…えへっ。
「あ、そうだ。兄様。騎士学院で冒険者に登録はしましたか?…兄様?」
返事が無い。(シカバネじゃナイヨ)
「フィア…。俺は…。」
あ…私、こんな人外の事いきなり見せちゃって、嫌われたのかな。少しだけ悲しいけど、家族に隠すのは性に合わないから。
「こんな…こんな凄い魔法初めて見た!俺は魔法剣士だから、剣に魔法を付与して戦うんだが、フィアは凄いな!」
あら…ほぼリタと同じ反応でした。良かった。嫌われなくて。家族なのに避けられたら嫌だもん。
その後、兄様と草原を散策しながら、ゴブリンを30匹くらい倒して、壁の向こうに処分をして、ここら辺にはウサギが沢山いたので、ウサギも30匹くらい確保して、冒険者ギルドの裏に転移した。
「…フィアはもう、なんでも有りだな。将来はこのディラント領で俺の補佐して貰いたいくらいだ…。ううーむ、だが、王子と婚約なんかしてるし…無理か。何とかならないか。」
ひ…独り言が大きいね。兄様。私も自由でいたいから、王子様との婚約は消滅してくれる事を期待しているのよ。王妃なんて、無理。ムリムリよ。
そして、冒険者ギルドに入って、通路の左手、買取カウンターの方に近づくと、今朝の受付のお姉さんが、慌ててやって来た。
「フィアルリーナ様、今度はどんな御用ですか?」
とにこやかに尋ねてきた。でも、私の隣に居るイケメン兄様を見ると、目が釘付けになったよ?目がハート(私の勝手な主観)になってない?減るからやめてくださいね。
「買取お願いします。」
一言言って、お姉さんの意識をこちらに戻し、カウンターの上にあらかじめ麻袋に入れた魔石とウサギをとりあえず一匹置いた。
「は、はい。魔石とフォレストラビット1匹ですね。」
「いいえ、ウサギ、まだ有ります。ここで全部は出せないので。」
「はい。かしこまりました。で、では、こちらの部屋へどうぞ。」
今度は一番手前の部屋に案内され、そこは、沢山の獲物を置けるような大きなテーブルがあった。私はそこに30匹のウサギを次々と出して積み上げた。
ウサギって言っても小学校の時に飼育してたのとは違う。体長は約50センチ程、額の部分に20センチ程の鋭いツノが生えてて、下顎から牙が2本上に向かって生えてるの。体毛は薄茶色であんまりモフりたいとは思えないゴワゴワ感がある。
「あ…ありがとうございます…直ぐに報酬を計算致しますので、ギルドカードもお願いします。」




