47 ディラント領に帰るよ
あれから、アレスト王子と一緒に挨拶まわり的な事で、なんとか愛想笑いを絞り出し、婚約式を終えた。
王様達は私を王城に住まわせたかった感じ。
やだよ。そんなの。それに王妃教育とか…ありえない。私はディラント領が好きなのよ。だから、さっさと帰りますよ。ああ…アレスト王子、そんな寂しそうな顔しないで。ごめん。ごめんなさい。だけど、これは譲れない。私はディラント領に帰ります。
今は一応婚約してるけど、何があるかわからないし(婚約解消とか)、あと2年経ったら、王都の学校に入らないといけないんだから、ディラント領で少しでもマップ埋めとか、魔物の素材集めとか、やりたい事はたくさんあるのよ。
アレスト王子は『私も落ち着いたら、ディラントに向かいます。』とか何とか言ってたけど、私は心の中で、『それ無理っしょ…アンタ10歳、学校あるんでしょ?それに王子だよ!』って突っ込んでいた。
そして、現在、馬車に揺られて退屈しております。
うーん…転移で帰れば、すぐなんだけどなぁ。
暇つぶしに、マップを展開している。
赤い点が多くある…でも、盗賊なのか魔物なのか、判別出来ないのが問題。何とか鑑定を組み入れられないだろうか。効果を限定すればいいのかな。
盗賊なら、雷ちゃんで気絶させただけでは解決にならない。他の人達が犯罪に巻き込まれたら駄目だから、捕まえて犯罪奴隷にした方がいいと聞いた。奴隷って聞くと、ちょっと思う所はあるけれど…。
敵かそれ以外なのか判る点と職業だけでも表示されれば良いわけだよね。魔物なら、魔物名。うーん…人族とかも名前が出た方がいいのかなぁ。
自動的に鑑定…。
「…自動鑑定?マップ改良。」
うん。言霊さんのお仕事はやっぱり凄いわ。赤い点に魔物の名前が付いた。
フォレストラビット。たくさんいる。結構街道から離れた場所に点在している。
王都に来る時雷ちゃんに出した指令は、ほとんどこの兎ちゃん達を標的にしていたのかもしれない…なんかそんなに脅威な魔物じゃなくて、可哀想な事したみたい。
隣に座っているアル兄様に兎ちゃんの事を聞いてみたら、全然可哀想じゃなかった。鋭いツノと牙、後脚が強くて、遭遇すると突進してくるらしい。怖い。ふいを突かれふくらはぎを負傷したり、馬車の馬の脚を折ってくる厄介者だった。体毛が茶色なので、発見しにくいらしい。レアな白いのは、毛皮がいい値段で売れるそうだ。いい事聞いた。
あと、魔石というものを体内に持っていて、それも売れるらしい。
まだ、私の万能庫に大量に入ってて、処分できてないゴブリンも爪くらいのちっさい魔石を持っているそうで、安いけど買取しているらしい。
…取り出したいけど、解体が面倒だし、気持ち悪いんだよね。これも言霊さんで何とかならないでしょうか。
万能庫を利用して、中に魔物入れたら自動で解体してくれるーとか。んー、解体したくない物までやっちゃったらダメだし。
…分別できるかな。皮、肉、血、魔石、その他とか。その他の部分にも、もしかして貴重な部分があるかもだから取っておける。液体を取り出す時は何か容れ物を用意してからそこに注ぐ感じね。錬金とか調薬で使えそう。
私の万能庫、多分無限に収納出来そうだから、たまに整理するだけでいいんじゃないかな。ちょっと生臭くなりそうな気はするけれど、資源は有効に使わなければ。
ゴブリンだけに使ってるのはもったいないよね…。




