45 婚約…。
翌日、私達家族全員が、王城へと招かれた。
「えーと…?」
私は父様達に、今のこの状況を聞きたかったのだけど…目をそらされた。
こうなると…知ってたな?
到着したとたん、私はお城のメイドさん達に拉致されたのだ。
確か、今日は公爵家(母様のお兄様)の方々ととウチの家族と国王様との親戚同士のご挨拶だったはずでは?
おおう…なに、このドレス…めっちゃ高そう。これを私が着るの?汚したら大変よ?だって、白地に金糸の刺繍が半端なく縫い込まれてて、豪華だよ。
お食事会、ご馳走出るんでしょ?がっつり食べれない…。
…なんで、サイズがぴったりなのかな。この世界って、オーダーメイドじゃなかったっけ?採寸なんてしてないよ?なんで知ってるの…ああ、父様達が教えたんなら、わかるね。いや、それ以前に…どんだけ短時間で作ったの!?
ねえ!なに、そのティアラは!?
「お嬢様、とてもよく似合っておいでです。髪もお肌もツヤツヤでとてもお美しゅうございますね。」
メイドさん達が褒めてくれるが、そりゃまだ8歳だからねぇ。綺麗に決まってるよ。
うん…ほんとはね、わかっちゃってるんだ。この前、父様からお話のあった婚約のお披露目、今日しちゃうんだね。
王子様、婚約しても、冒険者やらせてくれるかな…。
け、け、結婚するのはいつなのかな?
13歳で成人って、早くない?現代日本だと、まだ中学生だよー?
い、一応、私、中身は30歳プラス8歳だから、こ、怖くなんてないけど、どんな相手なのかもわかんないのは、少し不安なだけよ。
この後、会えるんだろうけど、顔も知らない人とだなんて、やっぱり、貴族の義務とか大変なんだね。
私は支度を終えて、広間に向かって案内された。
そして、広間の入り口の前には男の子が待っていた。
おう…イケメンだ…ね?あぁ…この人見た事がある。
あの呪い解いてあげた子じゃん…そうか、あのおじさんが国王様だったってことなのね。
あーわかりました。
私が自分でこの事態をまねいたのですな。
ま、いっか…。
充実した老後を実現するにあたって、結婚は必要だし。
自分で相手を見つけるなんて出来そうにないからね。
だって、前世もアラサーで彼氏なしの独身だったんだもん。
今回だって自力で見つける自信なかったから、ちょうどいいんだと、思う事にする。
私、こんなにガサツだから、もしかして、王子様に愛想つかされて、婚約解消とかありえるし。
そしたら、冒険者しながら魔の森開拓と、父様と兄様の補佐とかして、ディラント領の向上に尽力させていただきますよ。
そして、綺麗な金髪王子様は私に微笑んで…
「ミスリル姫、私はアレスト・バルディアと申します。このバルディア王国第一王子で、これからは貴女の婚約者となります。どうぞよろしくお願い致します。」
とっても丁寧にご挨拶を頂いた。
金髪に綺麗なアクアマリンの瞳の王子様。
王子様って聞いて、高慢ちきだったらやだなって思ってたから、ちょっとホッとしたよ。
ん?ミスリル…姫?
もう…いいや。これ以上深く考えることはやめよう。
こんなにイケメンな王子様が婚約者だなんて奇跡としか思えないし、結婚するのはまだまだ何年も先よ。
私は考えるのを放棄して、素敵なイケメン王子様にエスコートされて、広間に足を踏み入れた。




