閑話 アルフレット・ディラント編
兄の独り言
父から今回の事件を聞いた。
そのうち、国王陛下から公にされるだろうが、先に詳細を聞いたのだ。
妹のフィアルリーナが侯爵に、弟のエルドレットがグランダ皇国に狙われたらしい。
そして、侯爵は処刑、バルト侯爵家は取り潰し、仮だが、新侯爵には父が陞爵される事になった事。(辺境伯爵はほぼ侯爵と同じくらいの爵位なのだが、一応王都での役職では陞爵)
それによって、俺がすぐにでもディラント領主を継ぐと言う様な感じになってるらしい。
…本音を言えば、まだ王都に居たい気がする。
父が元気だから、領主になるなどまだまだ先の話だと考えていたし…少し重圧を感じる。
上手く領主が務まるだろうか。
最初は父が一緒にいると言われホッとした。
本当は領に帰るのは少し不安なんだが…。
俺は約3年ぶりに家族に会った。
この3年間は騎士学院で鍛錬するのに必死で、ディラント領に帰れない事は、全く苦にならなかった。
それどころか、あまり帰りたくないとさえ思っていた。
俺は、妹のことが不気味に思えて、家にいる時も、あまり近づくことはしなかった。
確かに体が弱く、いつもベッドの上で静かにしている妹は、とても美しく整った顔立ちをしていた。
ただ、それは魂の抜けた無表情な人形のようだった。
一言も話さず、ただ、生きているだけの人形。
「…アルにいさま…?」
…だが!なんだ、この目の前にいるのは。
本当に、あの妹なのか?
弟のエルドレットが俺に言う。
「にいさま、ぼく、おおきくなったら、ねえさまをおよめさんにするの。だから、とらないでね!」
こんなエルドも可愛いらしいが…。
エルドの髪の色は、母と似ていて白銀の髪で、前髪に俺と同じ濃紺の髪が一房混じっており、瞳は俺と同じグリーン。
だが、俺の妹は…。
長く美しいミスリルの髪。朝日に透けて虹色に輝いている。そして、大きくぱっちりとした父譲りの黄金の瞳。
ミスリルは王城で初めて目にした貴重な金属。
あの、美しい輝きの武具は俺たち若手騎士の憧れだ。
はっきり言って…美しい…可愛い!
やばい…妹でなければ、絶対、求婚してるぞ。
俺は!この3年間、何故家に帰らなかったんだ!
こんな可愛い妹…やばい…嬉しそうに抱きつかれた。
「アル兄様、お久しぶりです。お会いしたかったです。」
と俺を見上げて微笑む妹。
…やばい。




