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閑話 ダルグレット・ディラント編

遅筆申し訳ありません。


 

 父親の独り言


 フィア達の安否が気になり、すぐに屋敷に行きたかったのだが、陛下に報告しに行かねばならなかった。


 フィア達が帰っていないか確認するようにと、先に妻のシルリーナとメイドのエリーを屋敷へと帰した。


 私は直ちに陛下によばれ、侯爵の屋敷には数人の娘達が隷属されていた事、自分の娘と息子は居なかった事などを報告した。


 陛下は既に侯爵の尋問を終え、過去に行方不明になった子供達は侯爵に略取された後、ほぼ記憶のないまま、各地の教会付属の孤児院に放り出された可能性が高いと言った。


 陛下は直ちに、各地孤児院に兵を派遣し、鑑定の宝珠を使い、親元の貴族家に戻ることができるように手配した。


 そして陛下は、この事件の裏にはグランダ皇国が絡んでいて、侯爵の犯罪を手助けする見返りに、白い髪の子供をグランダ皇国に渡す手筈だったらしいと言った。


 そう、私の大切な天使達をだ。


 これは、さらに侯爵家で捕らえた者達を尋問する必要がある様だ。


 捕らえた者の中に、グランダ皇国の者がいるかもしれない。


 一体、どうしてそんな企みをしたのか…。


 そんな事を考えていたら、陛下がうち内の話があるからと、別室に案内された。


 …嫌な予感がする。


 予感的中だった。


 やはり、フィアの婚約の話だった。


 8歳にもなれば、婚約など貴族なら当たり前だが、陛下はなんと、第一王子とフィアを婚約させたいと言った。


 そうなると、将来は王妃になるかもしれないのだ。


 ついては、この私を新侯爵とし、ディラント辺境伯爵を成人した長男のアルフレットに譲れば良いと陛下は仰った。


 後々、新侯爵家は次男のエルドレットに継がせれば良いと。


 そして、こうとも言われた。


「この先、そなたの娘はどんな輩に狙われるかもしれん。この国の第一王子の婚約者、未来の王妃ならば、国を挙げて護れるぞ。それに、この婚約は第一王子のアレスト・バルディアたっての願いなのだ。是非ともそなたの娘、フィアルリーナ・ディラントを王子妃に迎えたいとな。」


「そ…それは…」


 私としても、その様な良縁ならば、承諾したいところなのだが、フィアがなんと言うか。


 自分で自分の身くらい護れます…くらい言うような気がする。


「返事は今すぐとは言わんが、早めにな。」


「はい…。畏まりました。」


「それから、今日、そなたの家族と公爵家を呼んでの謁見は、この騒ぎのため延期とし、後日改めてとする。そなたの自慢の娘に会えるのを楽しみにしておるぞ。」


 …どうすればいいのか。これはフィアが嫌だと言っても、断れないだろう。だが、確か第一王子は病気だったのではなかったか?第二王子の間違いなのか…いや、第二王子のブラスト殿下は公爵家の令嬢と婚約していたはず。では、第三王子の間違いなのだろうか。


 ああ…とにかく、今は、早く御前を辞して屋敷に帰りたい。フィアとエルドが屋敷に戻っていない場合は、婚約話どころの騒ぎではない。すぐに捜索しなければならないのだ。先ずは安否を確認するのが先決だ。



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