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閑話 ダルグレット・ディラント

 

 〜父親の独り言〜


「父様、母様。私、先程、侯爵に奴隷にされそうになりました。多分、エルドを攫ったのも侯爵だと思います。だから私、今から侯爵家に行ってエルドを助けてきますね。」


「フィア?!何を言ってる?そんな危険な事…」


「大丈夫です。父様。すぐにエルドを連れて戻って来ますから、心配しないで待っていてください。」


「駄目だ!フィア…私が陛下に侯爵の事を報告して、兵を出してもらうから。それまでおとなしく…」


「それじゃあ遅いのです。エルドに何かあったら大変ですから。…転移。」


 そう言ってフィアは一瞬で消えた。


 何が起こった!?…フィアが…私の可愛い天使が…消えた?!


 護衛メイドのエリーが、かつて私に報告した事は真実だったと?


 フィアには、賊に攫われても、自らの力で平然と戻ってくる、凄い力があると、エリーは言っていた。


 いや、ここでこうしていても駄目だ。すぐに王城に行かねば。


 一刻も早く侯爵を捕らえて、エルドとフィアを助けねば!


 フィアは侯爵家に行くと言っていた。


 そういえば、この大教会は侯爵の管轄下だ、安全ではない。


 私はシルリーナと護衛メイドのエリーを連れ、王城に向かった。


 それにしても、侯爵め、こんな事をしてただでは済まさん…。


 ◇◇◇


 王城に着くと、そこでは慌ただしく兵達が動いていて、既にどこかに兵を出す準備をしていた。


 こちらも急いでいるが、とても陛下と会えそうな雰囲気ではない。


 どうしたのかと尋ねてみると、既に陛下は、侯爵を城に呼び、その場で捕らえたということのようだ。


 …既に誰かが大教会での一件をお知らせしていたのか?


 いや、だが、侯爵は捕らえられたが、侯爵家に向かったフィアを助け出してもらいたいのだ。


 私が侯爵の件でお話があると伝えると、すぐに陛下にお会いする事が出来た。


 今までにあった全てをお話すると、王は激昂し、すでに準備が整っていた事もあり、すぐに兵達を侯爵家に差し向けて下さった。


 侯爵家には、何の抵抗も無くすんなり入れた。


 何故か、抵抗しそうな者達は全て戦闘不能となっていた。


 …フィアがやったのか?まさかな…


 そして、当主の侯爵は既に捕らえられて牢の中。


 使用人達などは抵抗しようなどとは思うまい。


 そして、屋敷内にいた者達を全て拘束した。


 その中には、全身火傷を負った瀕死の男もいた。私はその男を知っている。かつてフィアを攫ったあの男だ。


 火傷で全身ひどい状態にもかかわらず、顔だけは傷が無く人相が一目でわかった為、あの男だと判明したのだが…。


 それと、拘束された者達とは別に、数人の子供が保護された…あの黒い噂は本当だったのだ。


 それは、大教会で職を授かった後、行方不明となっていた、貴族の子供達だった。


 だが、今までに行方不明となった、全ての子供が保護された訳ではないようだ。


 ここにいた子達は最近行方不明になった子供達しかいなかった。


 子供達を攫った犯人は、大教会を管轄下に置く侯爵ではないかと疑われてはいた。


 今までは証拠が無く、口実もなくて屋敷内の捜索など出来なかったが、今回の侯爵捕縛で、屋敷内に囚われていた子供達を、無事助け出す事が出来たのだ。


 だが、フィアもエルドもその中にはいなかった。


 私の天使達は一体どこへ行ってしまったのだろうか…。


 これ以前に囚われていた子達も、一体どこへ連れて行かれたのか…。


 まさか、もう…殺されているなどという事は…。


 いや、いなくなった子達の件は、きっと陛下が侯爵から聞き出して下さる。


 とにかくフィアとエルドがどこにいるか…


 私が思案していると…


「きっと…お嬢様ならご領主様のお屋敷に帰られるはずです。お嬢様は、まだ侯爵が捕らえられたことをご存知ないので、侯爵の息のかかった大教会には戻らず、エルドレット様を休ませるために、直接お屋敷に帰られたのではないでしょうか。」


 そう、エリーは言った。


 …ありうるな。


 すぐに屋敷に戻ってみよう。


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