閑話 王城
〜国王の独り言〜
我が息子、アレスト・バルディアはこの国の第一王子である。
何年間も、原因不明の病と闘ってきたその最愛の息子が、かなり危険な状態になっているとの報告で、我は急ぎアレストの部屋に向かった。
瀕死の息子の部屋に入ると息子の傍らに何者かがいた。
子供…?白い…髪?
我以外は誰も入れるなと言ってあったはず。
「そなたは誰だ!そこで何をしている!」
誰何すると、その白い髪の娘は呪いを解きたいと言った。
「呪い…?」
この王城のなかで、しかもこの国の第一王子に呪いだと?!そんな馬鹿な!その様なものは、既に大教会から大司教を呼び調べさせたし、回復と浄化の治療もさせていたのだ。そんな事はあり得ない…はず。
我は訳が分からず…呆然としていた。
そして、その娘は…解呪…そして、完全回復とつぶやいた。
その変化は我にも感じられた。
周りに黄金の輝きが溢れ、この部屋全体が清浄な気配に満たされた。
その娘は、軽々と呪いを解き、我が王家に伝わる伝説の聖女の御業…完全回復を我が息子に施したのだ。
しかも、伝説の聖女と同じく無詠唱で。
伝えられている通り、たちまち瀕死だった我が息子が健康な肢体に変わってゆく様は、まさに奇跡であった。
娘は姿を消す直前、確かにこう言った。
…呪いは女神像から出ていた。と。
なんということかっ!我は謀られていたのかっ!
この女神像を枕元に置き、毎日祈りを捧げれば、きっとすぐに良くなる…などと!あの者はコレを贈り物と称して王子に献上してきたのだ。
確かにコレが原因だと考えると辻褄が合うのだ。
最初は、軽い体調不良だったのだ。だが、大司教に治癒してもらったにも関わらず、原因不明の熱が出始め、アレストはベッドで安静にする日々が増えた…。
そして、あの女神像は体調不良になった時に、あの者が持ってきたものだった。
大教会は侯爵の管轄下にある…もし、侯爵と大司教がこれを共謀していたのなら?
「…誰かっ!侯爵を…侯爵を呼べ!大司教もだっ!」
「…父上。」
「アレスト…もう、起きられるの…か?」
息子が…ずっと何年も寝たきりだった我が息子が、上半身を起こしてこちらを見ていた。
「はい。身体がとても楽なのです。私の病は治ったのですね?」
「ああ…そうだ、もう治ったのだ。安心するが良い。その原因も解ったのだ。もう二度とこの様な事はさせん。」
「あの美しい娘が、私を治癒して下さったのですね。あの娘が黄金の光で、私を癒してくれたのが朧げですが、見えていました。」
我は元気になったアレストに、身支度を整えて待つよう言い、呼び出した者達を尋問するために、謁見の場に向かった。




