38 ただいま
転移した先は、大教会。
エリーは…私の消えた辺りで、座り込みハラハラと涙を零して泣いていた。
「お……おじょぉさまぁぁ…うう…。」
エリー…ダメじゃん。あなたは私の護衛でバトルメイドでしょ。あれから、そうね…20分くらい経ってるよ?ずっと泣いてたの?
「エリー?ただいま。泣いてちゃダメよ?」
私が声をかけると…抱きしめられた…というより飛びつかれた。
「も、申し訳ありませんっ!フィアルリーナ様…私護衛失格です…うぅ。」
良いのよ。あれは仕方ないもの。侯爵が仕掛けてきた罠だったんだから。
ん…?よく考えたら、ここ大教会よね?侯爵はどうやってこの部屋に魔方陣を仕掛けたの?
嫌な予感がした。
エルド…は?父様母様は?
「エリー!父様達の所に行くわよ!さっきのは侯爵の仕業だったの。私を奴隷にしようとしてたわ。」
父様達に何かしてないと良いのだけれど。
レーダー反応は…青色がない。黄色がふたつ…だけ?周りに白い点が無数にある。多分この気絶色の黄色が父様達。
ひとつ足りない…エルド?
レーダー反応のある部屋に走る。
その部屋に辿り着くと、やはり父様と母様しかおらず、エルドの姿はない。
シスター達が、倒れた父様達に回復魔法を施していたので大丈夫、すぐに意識が戻ったみたい。
「父様!母様!大丈夫ですか!」
「エルドは!エルドはどこですか!?」
姿の見えないエルドの事が気がかりだったけど、先ずは、目を覚ました父様にあれから何があったのか聞いた。
儀式の為、先にエルドが部屋に入って、その後、父様達が入り儀式が始まったのだが、エルドに職が授けられると同時に、父様達は後ろから何者かに気絶させられたらしい。
そして、今に至ると。
ダメじゃん。それ何にもわかんないって事よね。
ふと、目に入った司教の身体の周りには紫色の鎖が巻きついてる。嫌な感じがする。
よく見ると、この部屋に元々いたと思われる儀式の関係者、シスター達にもこの紫色の鎖が巻きついているのが視える。
あれは…隷属の印?
あの黄金のチョーカーに巻きついていた紫色の鎖と同じモノが、この部屋の数人に巻きついている。
多分だけど、侯爵が首輪と同じような魔道具で彼等を隷属しているのではないかと思う。
じゃあこの人達、侯爵とグルって事なのかしら…。
隷属されてると、レーダーに赤い敵意の反応が出ないのは厄介ね。
無理矢理従わされてるだけだから、敵意がないと判断されるのか。
さっきも思ったが、侯爵はどうやってこの大教会の人達を隷属したり、罠を仕掛けたりする事が出来たのかしら。
それに、どうしてエルドも攫ったの?
ただのロリエロ豚侯爵じゃなかったのかな?
まさか…可愛い男の子も対象だとか…やめてぇー!
ダメよ!そんなコトは絶対ダメ!
「えっと…父様。それで、エルドは一体どんな職を授かったのですか?」
《精霊魔弓士》
こりゃまた凄そうな職業出てきたなぁ。これも私と同じくらい珍しい職業だそうな。
何の為なのかわからないけれど、侯爵は珍しい希少な職業を得た子供を集めてる?
ほぼ間違いなく、私の可愛い癒しの天使を連れ去ったのは侯爵ね……ゼッタイユルサナイ…よ…?
先ずはエルドを助けに行かなきゃねぇ…?
エルドの安全を確保しない事には、侯爵の屋敷を潰せない。いや、消滅させよう。
うーん…ダメかな。屋敷を消滅させたら、私、人外認定されちゃう。それは困るから、侯爵達はこっそり行方不明にしてあげよう。
そして、残った屋敷は、リサイクルできるように綺麗に浄化してあげる。代わりの誰かがすぐに使えるように…。
ふふ…私、良いとこ知ってるの。そこに侯爵達を送って差し上げるわよ。二度と悪い事出来ないようにね。
私、直接手を下すのはやっぱり遠慮したいもの。
さて、侯爵の屋敷はさっきの場所で間違いないよね。
エルド待ってて。
姉様が今から助けにいくよ。




