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閑話 王城

 

 〜国王の独り言〜


 この王都の貴族の間をある噂が駆け巡った。それはかつてない最強の職業が大教会で与えられたと言う噂。だが、それは噂ではなく本当の話。すぐに緘口令を出した。我が国でそれが出たのは、建国以来初めてなのだ。


『精霊魔法士』


 精霊魔術師なら割と出る職業なのだが、精霊魔法士はその扱う魔法の威力がとても強力で、全ての属性精霊を使役出来る。


 それを授かった者は、広範囲殲滅魔法を扱えると言われている。


 100年程前に、魔の森から魔物が溢れ出し、それに面した我が国リルディア王国と隣国グランダ皇国は危機に直面した。


 我が国は為すすべなく王都を追われ、その時精霊魔法士を擁していた隣国グランダ皇国は、そのたった一人の力で、魔物の大群を防ぎきったと言われている。


 …我が王家には、密かに伝えられてきた悲願がある。


『魔の森から我が国土、真の王都を取り戻す』


 それには、この精霊魔法士の力が必要なのだ。


 我が息子達の誰かと婚姻を結ばせるのが一番なのだが…あの頑固な聖騎士のダルグが溺愛している娘だ。


 例え相手が王族だとしても、簡単には良い返事をもらえぬだろう。


 だが、婚姻しなくても、後々宮廷魔道士として迎え入れても良い。


 第一王子は病弱だから無理だとしても、取り敢えずは第二王子と第三王子のどちらかに、婚約を申し入れさせることにする。


 ◇◇◇



 〜第二王子の側近の独り言〜


 わたくしは王より、我が王子とある令嬢との婚約を成せとの事で、急ぎそのディラント辺境伯爵家のご令嬢、フィアルリーナ嬢に婚約の申し込みをいたしました。


 ですが、それを王子にご報告すると、令嬢の容姿を聞かれましたので、白い髪に金の瞳のお美しいご令嬢らしいとお答えいたしました。


 すると、王子は「今すぐ断れ」と申されました。


「白い髪の娘など、まるで老婆の様ではないか。そんな娘とは結婚などしたくない。」と言われました。


 わたくしは申し込みの使者として伺った際に、白い髪のとてもお美しい奥方様ともお会いしましたので、お嬢様もかなりの美人になるのではないかと思ったのですが…仕方ありません。


 王にこの事をお知らせして、もう一度伺い、取消しを申入れに参りましょう。


 第三王子、公爵家、侯爵家、伯爵家、男爵家、子爵家それぞれ王都中の貴族家全てが申し込みに来ているのではないかと思うほど、顔見知りがおりました。


 侯爵家にはご子息がおられないはずなので、少しだけ疑問に思いましたが…。


 噂を聞いた限り(緘口令は出ておりますが周知の事実)では、珍しい戦闘職をお持ちになったお嬢様なので、皆獲得に動いているのです。


 出来れば、このお嬢様と、我が第二王子とのご婚約をお勧めしたかった…もし成されれば、きっと王子の次期国王の座が確かなものになったかもしれませんから。


 後悔なさらないと良いのですが…。




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