23 孤児院
お読みいただきありがとうございます。
助けた女の子の名前は、リタ。8歳。冒険者見習い。
まだ、見習いなので、魔物の討伐依頼は受けられないのだそう。ちょっと残念。ついていって魔物ガンガン倒そうと思ったのに。
だけど、薬草取りなどの依頼は受けられるし、偶然倒した魔物の素材も売ることが出来る。
あ。だけど、私身分証ない。だから、街の門が通れない…。
ん?私、身分証ないと街に出入り出来ないなんて勝手に思ってたけど。
よく考えたら、子供は街の外に出られないの?他の町や村に行きたい時はどうしてるの?
聞いてみたらなんと!この街の子供は、身分証を持っている者が一緒ならば、フリーパスで出入りできるらしい!
うう…知らなかった…本には書いてなかったし…もっと早く知りたかったよ…。
リタに力仕事は無理なので、毎日、街から近い場所で薬草取りをしているのだそう。街の外ならどこでも生えてる草で採取しやすいが、単価が安いので、普通の冒険者は取らないらしい。
彼女は武器が買えないので、どちらにせよ、魔物に遭遇したら、即逃げるだけだそう。だから、足の速さは自慢らしい。
彼女に話を聞きながら、しばらく歩くと、小さな教会の横にこじんまりと建物があり、孤児院になっていた。
その教会のシスターが孤児達の世話をしてくれているという事だ。
シスターは普段ほとんど教会の方で働いていて、孤児院の方の建物には、朝食、夕食の支度、そして寝泊りするだけらしい。孤児達はかなり自由みたいだ。
まあ、保母さんとかじゃなく、教会で働いてるんだから、そうなっても仕方ないのかな。
リタも稼いだお金はシスターに渡し、食費の足しにしているそう。
「こっちよ。」
孤児院の中に招き入れられた。
石造りの建物。中は、シスターの部屋と4人部屋が3つある。
大体、年齢で分けて、5歳以上は男女で分けている。
現在8人が暮らしている。
13歳の成人を迎えると孤児院から出て行かないといけないんだそう。ちょうどこの前3人が冒険者パーティを組んで独り立ちしていったのだという。
リタはその3人に街の外に連れて行ってもらい、薬草の知識を教えてもらったのだそう。
この孤児院では、そうやって皆、冒険者になるらしい。
…転移できそうな場所は…。あるある。建物の裏。ちょうど表から見えないし、死角になってる。これで、いつでも安心して転移してこれる。スラムの端っこだから、そんなに危なくないし。あ。何かあっても撃退できると思うけどね。安全に越したことはない。
そして、リタに冒険者見習いカードを見せてもらった。色は灰色。名前と登録した街が書かれているだけだ。
カード自体が魔道具で、魔物の討伐数が記録されていく。年齢が曖昧な人が多くいるので、多少早く登録しても、咎められる事はないという。鑑定なんて使わないし、そんな魔道具は高価すぎて、治癒師ギルドか教会にしか置いてない。
申し込みの時に、名前を書いて魔力を少し流すだけで、登録できるらしい。
どうする?これを機に誤魔化して登録しちゃう?
だけど、後から困るよね…10歳の本登録で7歳では、無理があると思う。出来れば嘘はつきたくない。
…登録は、8歳になるまで我慢しよう。
リタに連れて行ってもらえば、街の外に出られるのだから。
後は、転移で直に街の外に移動すればいい!
ブックマークありがとうございます。
漢字や表現など少し修正したりすることもありますが、話の流れは変わりませんので、宜しければこれからもお読みください。よろしくお願い申し上げます。




