21 お金ぇー!
露店が出ている通りを過ぎて、今度は市場が見えてきた。
適当に歩くだけってのは、ちょっと飽きてくる。何か目的決めようかな。転移で現れても怪しまれない場所ってあるのかな。…宿屋?ダメお金ない。宿泊手続きしてないのに居たら騒ぎになる。…飲食店も同じね。
お金かかるとこは全部アウト。
冒険者ギルドに入っても、登録さえ出来ない…ってか、入れないだろうなぁ。転移なんてできる場所じゃないし、騒ぎになるわ。
お腹すいてきた。
せっかく市場にいるのに、お金がない。
美味しそうな果物。どこで採れたものだろう?りんごに似てる。あれでたっぷりのカスタードクリーム入りのアップルパイとか作りたい。
前世で買った様な謎肉の串焼きを売る屋台もある。香ばしい匂いだぁ。ヨダレ出そう。バーベキューを思い出す。
ああああ…お金ぇー!
この世界って、お小遣いとかはー?とうさまにおねだりしたら貰える?あかん使い道怪しまれるし。
私は本来ならここには居ないはずの人間なのだから。
もう今日はこれくらいにして帰ろうかな?次もまたスラムのあの小屋に転移することに…
え…っ?!何?!
なんか視線感じる…よ。これマズイやつ?結界効いてて目立たないハズなのに。さりげなくチラ見したら…目が合っちゃった!
うーんと…男の子ね。どこかの貴族かな?綺麗なカッコしてる。私よりも少し年上ってとこかな。
侯爵の関係者ではなさそうでホッとしたよ。
でも、見てるってことは、見えてるってことで…絡まれる前にさっさと逃げましょう。
今日の探索は終わりです。
早足でスラム方向へ歩き出す。
走って近づいてくる気配を感じるのでスラムの入り口に素早く駆け込み…
「転移」
…無事に自分の部屋に戻れた。
部屋には誰も入った形跡もなく、私が抜け出した事は全くバレてなかった!
しかし、今日の探索でわかったことがある。
お金がない。お腹が減る。街の中じゃ魔法の練習できる所なんてありません。
以上。反省。
どうにかして、街の外に出る方法を考えないと。
そして、お金を稼ぐ方法も考えないと。
お弁当は必須。次は、おやつでも作ってもらおう。万能庫に入れて出掛けよう。




