表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/172

閑話 エリー

 〜メイドの独り言〜


 私、見てしまったのです。


 あの夜、お嬢様の部屋の前の廊下で目が覚めました。


 普通は、そんな廊下で寝てしまうメイドなどいるはずないのですよ。


 なのに、私はいつの間にか眠っていた様なのです。


 そして、目覚めたその時、見てしまったのです。


 倒れた使用人達を次々と癒してゆく、神々しいお姿を。


 私はお嬢様の部屋から一番近かったので、最初に癒していただけたのです。


 そのおかげで、お嬢様が神の御業をお使いになられた全てを見ることができたのでございます。


 私は、目覚めたものの、すぐに立ちあがることが出来ませんでしたので、這ってお嬢様を追いかけました。


 2階の階段の踊り場から1階を見て、愕然としました。


 この邸の主人であるご領主様が、たくさんの血を流し倒れていらっしゃるのが見えました。


 そしてお嬢様が叫びながら、ご領主様のもとにたどり着いたのが見えました。


 私も行かなければと、頑張って階下に降りようとしていたのです。


 その時、お嬢様からまばゆい黄金の光が溢れて、ご領主様のお身体を包んだのです。


 お嬢様はその後、ご領主様を護るように寄り添い眠ってしまわれたようです。


 その頃には、他の使用人達も動けるようになっており、ご領主様達に駆け寄って行きました。


 私も、階段の手すりにつかまりながら階段を降りて、なんとかそちらにたどり着きました。


 辺り一面血の海で、重傷だったと思われたご領主様のお怪我は、全て治癒されており、改めてお嬢様のお力の凄さを感じたのでございます。


 ご領主様は、自ら立ちあがりお嬢様を大事そうに優しく抱き上げ、客間のベッドまで運んで行かれました。


 なぜこの様な事態になったのかを聞いた時、私は恐ろしくて体が震えてしまいました。


 ですが、ご領主様はお嬢様が連れ去られたと仰っておりましたが、お嬢様は確かに2階のご自分のお部屋から出て来られたのではないかと思うのです。


 そうでなければ、私が一番最初に癒されるはずがありません。ご領主様が一番重傷だったのですから。


 あのような素晴らしい神の御業を使う事がお出来になるお嬢様なら、賊から逃れ、ご自身のお力でお戻りになられたのかもしれないと、私は思うのでございます。


 ご領主様は、皆にそれぞれお話をされた後に、私達にもあの時のことをお聞きになりました。


 私はとても迷いました。お嬢様の成した神の御業を軽々しく話してしまっても良いのかと。


 ですが、ご領主様もその尊いお力をお知りになるべきだと思い直し、私の見た全てをお話ししたのでございます。


 そもそも、私はお嬢様の専属護衛となるべく、ようやくバトルメイドに転職出来たのです。怖がっている場合ではないのです。今回の事は眠り薬を使われたとはいえ、一番近くにいた私の失態と言われても仕方ないのですから。


 お嬢様を攫おうとしたのは、このような辺境の地の庶民にも、悪い意味でとても有名な、あの幼女好きの豚侯爵だということを知らされました。


 怒り心頭でございます。


 お嬢様を豚の毒牙からお護りするためにも、私は更なるレベルアップをせねばなりません。


 レベルアップをするには、その間お嬢様のお側を離れなければならないという事だけが、心配でなりません。


 ですが、今のまま弱ければお側にいても盾にすらならないでしょう。私が強くならねば、大切なお嬢様をお護り出来ないのですから、私は急ぎ強くなります!


 この命にかけてもお嬢様を護り通さねば!


 頑張ります!私の至宝。フィアルリーナお嬢様の為に!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ